札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

2007年12月 の投稿一覧

行く年よ。

こんばんわ。
大晦日の夜、皆様いかがお過ごしですか?



飼育員はね、生き物が相手ですから盆も正月もないんですよ。
僕はいつもと変わらぬ平凡で非日常的な夜を過ごしております。
動物園は元旦から通常開園しておりますので参拝帰りにでも寄ってくださいね。

でもほんと鷹やらヘビやらいじってる間に今年も終わってしまうのですね。
このブログも更新頻度が少ないにも関わらずたくさんの方に見ていただけたようで大変感謝しております。
来年はもっともっとDeepな世界へとお誘いしますのでよろしくお願いしますね。

いやーでも今年もいろいろありましたよ。
スネークアート展の開催、トガリネズミとの出会い、スパイスガールズの再結成。
ほんと激動の年でしたね。

そして来年はさらに激動であってほしいと思っていますよ。
やっぱ人ってのは誰しも社会と関わって生きていかなくてはいけませんよね。
んでその社会の中で「何かしらの役割を担いたい」、「何者かでありたい」と願っているんじゃないかなあ。

僕もそうなんですよ。
んで僕なんてもんは動物という媒体がないと自分を見出せないですからね。
でもある意味楽です、やりたいことやるべきことが決まっているから脇目も振らずに進めばいいんです。
何かを懸命に長く続けてる人ってのは絶対に強いですよ。
いくら多才な加山雄三や男前の草刈正雄でも、そういう人間にはきっとかなわないですからね。
そんな精神と理念の基、来年も元気に過ごしていこうと思っております。
加山雄三なんかに負けるわけにいかないですから。

では今年最後のブログはタカサゴナメラ(Elaphe mandarina)でお別れです。


皆様、来年も円山動物園をよろしくお願いいたします。
素敵な年越しを。

クリスマスの思い出。

今年のクリスマスはですね、日頃の感謝の意味もこめて同僚達を誘いカモパーティーをやったんですよ。
鷹狩りで得たカモたちをこの日のためにとっておいたんですね。

いやーでもクリスマスと言えばいろいろな思い出がありますよ。
僕は小6までサンタさんを信じているような素敵な子だったんですね。
イブの夜はいつもサンタさんに手紙を書いて枕元の袋に入れて眠りについてました。
んで朝にちゃんと袋にプレゼントが入っているんですよ。
でもそれがいつも微妙でしてね。
とにかくお願いした物とはかけ離れた物が入っているんですよ。

例えばある年なんかは、手紙に「超合金のロボットをください」って書いたんですよ。
んで朝袋の中身を見ると、入っていたのは「額」ね。
賞状とか入れるあの「額」ですよ。
「額」ってのはね、世界中の子供達がクリスマスプレゼントとして最も望んでいない物の一つですよ。
額で笑顔を見せる子なんて世界中探したって見つかりませんって。
「なぜサンタは僕にこんなもんをよこすんだ・・・」
お願いした物とのギャップの激しさにショックを受けましてね、あの時ばかりは二度寝しましたよ。
頼むから夢であってほしいってね。
ほんと今思えばうちの親ってとってもクレイジーで素敵です。

まあそんなこんなで今回のカモパーティーの風景です。



まあイブってこともあって集まる人も限られており、予想通りの面子でございました。


足利さんはひたすらカモを食う。
胸にはエクトプラズムが写りこんでいます。


マミちゃんと獣医神谷さんはワインをガブガブ。


ルーツはこぼれ落ちるご馳走を期待し、ひたすら下で待機。
まあパーティーの雰囲気は得に盛り上がるわけでもなく淡々としておりました。


「メリークリスマス」
今宵はもう晦日。
ではでは。

信じる道を突き進む。

日付が変わってしまってので今日放送ですね。




北海道ひと物語 「信じる道を突き進む」
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/90
NHK総合午後8時からでございます。
裏番組をぶっとばせ。
20071221-02.JPG

初登場「淡雪」、ただいま出張中。



たぶんNG集はエンディングで流れると思います(ジャッキー・チェン風)

トガリネズミ。

ワイルドマウス展にて展示中のトガリネズミ達。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/2008eto.html
ここからネズミ達の画像をDLし放題です。じゃんじゃん使ってくださいね。


でもほんとこの動物は最高っすね。
僕はやっぱ見た目も内面も「尖がった野郎達」が好きですよ。

でも残念ながらまだ僕の手の中にはいませんね。
毎日の給餌、水換え、観察という、低レベルでの「作業」しか行えていないわけです。
ただ死なないように必死に維持をしているだけね。
残念ながら「飼育」という次元にすら達していないんですよ。
大切な借り物ですから、冒険するわけにもいかないですからね。

おかげでトウキョウトガリを太らせてしまいました・・・


いくら代謝が高く大量の餌が必要と言っても、安定した飼育下という環境では給餌量のコントロールをしないと肥満になってしまいます。
まあ他の種であれば食べすぎによってどうにかなるわけでもないんですが、トガリの場合は違います。
通常体重は2g程度、これが3gを超えるとすでに危険なんです。
餌が少なくてもやりすぎても死んでしまう・・・こわいっすね。
だらか1g範囲で体重を維持させないといけないわけなんですね。
環境温度、餌の質によっても給餌量はかわります。
まだそのへんの感覚がつかめないんですね。
良い状態のイメージすら頭の中で作れない。
なかなか奴さん、キュートな顔して手ごわいですよ、ほんと。

今の僕の状態は例えていうと「何もインストールされていないパソコン」って感じ。
とりあえず電源は入るし、起動はするけど何にもできないただの箱ね。
これまで様々な動物を管理してきた中で得てきたものもたくさんあるんだけど、この種には通用しない感じがするんだな・・・
インターネットも3Dアニメも表計算もワープロもできるけど、なんかまったく新しい作業に取り掛かる感じ。
今までのパソコンじゃ機能が不足してますよ。
トガリネズミ達を「飼育する」という次元に達するには、これから様々なソフトをインストールしていかなきゃいけないですね。
いや、燃えるわ・・・まじで。



姿を現したオオアシトガリネズミ。
身近でありながら謎だらけのトガリネズミ達。
最高です。

皆さん、彼ら同様僕らも尖がって生きていきましょうね。
ではグッナイ。

ワイルドマウス。

<ワイルドマウス展・北海道の野ネズミたち>
本日より開催でございます。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/gyouji/2007december.html
http://www.kiritappu.or.jp/center/

この展示会は酪農学園大学との共催で行われております。
また浜中町霧多布湿原センターの協力により非常に貴重な種の展示も実現することができました。

身近でありながら謎だらけの野ネズミたち。
複雑な生態系システムの中でも重要な役割を担う野ネズミたち。
そんな彼らの生態や役割などメッセージ満載の展示会でございます。

外来種であるドブネズミやクマネズミといったイエネズミとは違います。
彼らは自然豊かな森で暮らす野ネズミ達。
普段目にすることの少ない彼らの姿を間近で観察できるなんて・・・本当にすばらしい。
ほんと毎日世話していても日々感動でアドレナリンが止まりません。

今回の主役・・それはトガリネズミ達です。


まずはトウキョウトガリネズミ。
世界最小哺乳類のひとつでございます。
トウキョウと名のつくものの、実は北海道の一部にしか生息しておりません。
その名の由来は「世界三大勘違い」のひとつとして語り継いでもいいでしょう。
この種は多摩動物公園と今回協力していただいた霧多布湿原センターでしか飼育しておりません。
体重わずか2g、繊細な種のため飼育管理には気を使います。



こちらはエゾトガリネズミ。
酪農学園大学より提供、生きた姿を見ることは非常に稀でございます。



オオアシトガリネズミ
北海道に生息するトガリネズミでは最大で最も地中生活に適応している種。
よく道端でモグラが死んでいたと耳にすることがありますが、それはこのトガリネズミ達です。
北海道にモグラは生息していないんですよ。

人生で3度あると言われる素敵な動物との出会い。
僕の場合は爬虫類と猛禽類だったのですが、とうとうきちゃいましたね。
人生を変える3度目の出会いが・・・・
このブログも「爬虫類と猛禽類とトガリネズミのDeepな世界」に改名される日も近いでしょう。

ほんとこのトガリネズミ達、非常に興味深いです。
円山動物園では大学や専門機関と共にこの種の調査研究、飼育下においての繁殖技術の確立を目指し今後も活動していきたいと考えております。
サングラスがとても似合いそうなトガリネズミ達、ほんとに感動が溢れてきますよ。



トガリネズミは非常に繊細な種です。
展示会と言っても彼らの飼育環境を最優先しているため観察できないこともしばしばです。
でもじっと待ってみてくださいね、彼らは捕食のため必ず姿を現します。
トガリネズミは非常に代謝が高く、頻繁に餌を食べていないと死んでしまうからです。
慌てず騒がず彼らのペースで観察してみてくださいね。





他にもエゾヤチネズミ、エゾアカネズミ、エゾヒメネズミ、ミカドネズミといった野ネズミ達、また6種類の外国産種も展示しております。
ぜひこの機会に貴重な彼らの姿を観察してみてくださいね。


世界で最もキュートな害獣 「エゾヤチネズミ」

ほんとにものすごく貴重な展示会です。
皆様のご来園をお待ちしております。

おやすみハニー。

こんばんわ、本田☆直也です。
我が家のハニー達(爬虫類)がとうとう冬眠に入りましてね。
もう明日から世話などほとんどありません。

現在爬虫類部屋の温度は10℃前後。
我が家では亜熱帯産種も寝かせてしまいます。
これから4ヶ月間しばしのお別れです。

まあ今の家は爬虫類部屋があるからほんといいですよ。
実家暮らしの時は自室兼飼育部屋でしたからね。
家で動物を飼育する際は人の居住空間とは隔離するべきですよ。
人の住空間ってのは恐ろしく不自然ですからね。
暖房や照明も付いたり消えたりするでしょ?
これだと動物の体内リズムが崩れてしまって安定した飼育管理が難しくなるんです。
だから実家暮らしの時は僕が動物に合わす必要があったんですね。

冬は過酷でしたよ、冬眠させなきゃいけないから暖房ができないわけですよ。
古い家なもんだからほんと冷えてね、真冬の室温は3℃くらい。
常にコートを着込んで生活全てが布団の中で営まれてましたよ。
布団の中は常にお菓子クズでザラザラでしたね。
あと部屋中のダニたちが寒いもんだから一斉に僕の布団に集まるわけですよ。
冬なのに虫刺されみたいになっていつもかゆかった。
今となっては素敵な愛のメモリーです。

http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/68
以前紹介したヘビたちの卵
どうなったかと言いますと・・・・


ちゃんと産まれてますよ。元気です。
ヨナグニシュウダ(Elaphe carinata yonaguniensis)は産まれた直後から悪人面です。
3匹が無事に孵化。


サキシマスジオ(Orthriophis taeniura schmackeri)は孵化率悪かったな。
たくさん産んだのに半分もの卵がダメになってしまいました。
来年は環境の要改善ですね。



ヒラセガメ(Pyxidea mouhotii mouhotii)の孵化
現在はこの個体も一回り大きくなってます。
スペングラーヤマガメ(Geoemyda spengleri )の仔ガメ達もやっと安定しましたね。
飼育下産まれの個体であっても相変わらず厄介な種です。

今シーズン、プライベートでの爬虫類生活はとりあえず終了でございます。

みんな来春までグッバイ。
ザ・グッバイ野村義男。

アルマジロトカゲ。

インフルエンザが流行ってますね。
皆さん感染しないよう気をつけてくださいね。


僕はね、インフルエンザにはかからないんですよ。
昔から流行には乗らないって決めてますから。
流行に乗っちゃうような大人にはなりたくないってね。
よくいるでしょ、流行語とかすぐに使っちゃう人って。

例えば、今だったら「そんなの関係ねー」とかさ。
これね、僕の口癖だったんです。いい加減な男がよく言うセリフですね。
でも小島ヨシオのブレイクによって僕はこの口癖を完全に封印しました。
流行に乗ってると思われたくないからね。
まあいくら「関係ねー」って言ったところで、実際世の中関係ある事ばかりですよ。
現実逃避はいけません。

まあそんなこともあって今は「だっちゅーの」を使うようにしています。
懐かしすぎて誰も気づかないですからね。
とってもクールですよ。お勧めです。

ではアルマジロトカゲを紹介します。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-58.html




この特徴的な大きなウロコ、まさに恐竜みたいですよね。
南アフリカの乾燥地帯に住んでいます。
円山では現在5匹飼育展示中です。
ほんとはもっと早くに展示開始する予定だったんですが、なかなか施設の準備がうまくいかなくて。

展示にあたり擬岩の色を塗り変えたんですよ。
でも僕は塗装センスがないから塗れば塗るほど、イメージとかけ離れていっちゃうんですね。
乾燥した岩場のイメージがなぜか「場末のスナック」みたいになっちゃうんですよ。
それで結局美術センス抜群の田村飼育員に治してもらったんです。


乾燥地や砂漠というと=「乾燥させる」ってことが頭に浮かびますよね?
そう、普通こういう種を飼育する際は、湿度を下げ乾燥させることに気が行きがちなんです。

でもね、実はそれが大きな間違いになることもあるんですよ。
乾燥地帯に住んでる種ほど乾燥に弱いってこともあるんです。
飼育下の乾燥状態ってのは明らかに不自然で安易なものですからね。

普通砂漠ってのは灼熱の乾燥状態ですよね?人間だったらとても耐えられません。
これは動物にとっても同じでこの環境の中活動できる種っては実は少ないんですよ。
じゃあ彼らはいつ活動してるのか。
砂漠ってのは昼夜の温度差が激しく、その温度差により朝夕に湿度が上がります。
そう、乾燥地に住んでる種ってのはこういう時間帯に活動し、日中は穴や岩場に隠れているんですよ。
穴や岩場ってのは通常湿度が保たれているのが普通。
だから実際砂漠に住んでいても乾燥した環境に晒されているわけではないんですね。
そんなこともあって乾燥地に生息する種を過度に乾燥させた環境におくと脱水して死んでしまうこともあるわけです。

一般的に気候帯が砂漠やサバンナなどと区分されていても年間を通して日本より湿度が高いって地域は普通にあります。
雨季はもちろん雨が降らない乾季であっても湿度が下がらない地域もあるんですね。
だから砂漠=乾燥ってのは動物を管理する際非常に危険な固定概念になるんです。

飼育下では温度管理ばかりに気をとられがちです。
でも湿度管理ってのはそれ以上に大切なものなんですね。
今後は暖房方式の改善も含め同時に湿度を維持できる環境が必要です。
飼育下の動物達は乾ききってます。
彼らにもっともっとうるおいを。

pageTop