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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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2011年01月 の投稿一覧

新は虫類・両生類館実況。

順調に工事が進んでおりますよ、新は虫類・両生類館。
まさに宗兄弟のラストスパートって感じでございまして、急ピッチで作業が行われています。
新施設の展示は大きく分けまして、3つのゾーンがあるんですね。
まずはセンターラボ。


センターラボは建物の中心に位置しておりまして、ガラス張りの公開型のバックヤードです。
そして全てのゾーンをコンロトールする心臓部でもあります。
爬虫類や両生類は繁殖、孵化、育成など裏で行う細かい作業が多いですからね。
それらをタイムリーで観察してもらうという粋な場所でございます。
中で働く飼育員自体も展示物となっておりますので気が抜けませんよ。
包み隠さず全てをさらす、ほんとドモホルンリンクルばりの透明性です。



そして大展示場ゾーン。
ここは5つの展示場があり、4種を展示します。
すでにアクリルパネルがはいっておりますね。



中ではこんな作業が行われています。
これは配筋工事です、展示場の造形はこのように進められていくのですね。
僕は毎日現場に足を運んでおりますが、職人さんたちの技術と誇りにいつも深い感銘を受けております。



こちらは配筋が終わり、すでにラス貼りという作業に入っております。
だんだん形が見えてきて、少しずつイメージしやすくなってきてますよ。



そして小中ケージが並ぶゾーン。
ここには40個の展示場が設置されます。
枠と壁が立ち上がってきております。
ケージ群はですね、別の場所で作成しているんですよ。



素晴らしい出来栄えのケージが並んでおります。
ここでも職人さんたちは休み返上でラストスパートに入ってるんですよ。
僕も頻繁に足を運んで打ち合わせを行っております。

そして非公開の地下施設。
ここにはネズミ室とコオロギ室と検疫室があります。


ここはコオロギ室。
餌用のコオロギを繁殖させる場所です。
ほんと毎日各サイズ大量のコオロギを使いますからね。
今でも大きな衣装ケースを50個使って繁殖させてるんですよ。
それでも足りないくらいなんです。



ネズミも大量に養殖できるスペースを確保してます。
実際、コオロギやネズミといった餌用動物の管理が一番手間がかかりますね。
ほんと大変ですよ。

素晴らしい施設ができつつあります、実に完成が楽しみです。
皆様も期待して経過を見守ってくださいね。
ではまた。



バックヤードから2(カメレオン)

いやーほんと大雪が降りましてね、除雪三昧の日々ですよ。
周りのみんなも除雪のおかげで「筋肉痛だー、体イテー」って口を揃えて言ってます。
ほんと情けないですね。
僕なんてね、どっこも痛くないですよ、全然平気です。
僕の場合は2,3日遅れてきますからね。
あまりのタイムラグに、なんで筋肉痛になっているのか正直わからない時もあります。
ほんと真のタフガイですね、僕ってやつは。

では今宵はですね、広い認知度にも関わらずお茶の間で語られる事の少ない動物「カメレオン」についてお話しますね。
円山動物園には現在2種類のカメレオンが飼育されております。
一昔前はカメレオンは3ヶ月間生きていれば万々歳と言われていたんですよ。
そのくらい飼育が難しいってことなんですね。

今は飼育法もある程度確立され、長期飼育も可能となってきています。
それでも爬虫類の中では最も手間がかかる部類なんですよ。
僕も飼育が安定するまではほんと振り回されっぱなしでしたもん。
今こうして瞳を閉じると、導入時の苦悩の日々が思い出されます。
20110114-10.jpg

これはパンサーカメレオン、マダガスカルに生息しています。
すごい色ですよね、体色が派手なのはオスでメスはものすごく地味なんですよ。



カメレオンってのは体調や気分によって体色を様々に変化させます。
だからある意味わかりやすい動物なんですね。
声は出さないけど、体色変化で積極的に意思表示してくれるんですよ。
このピンク色の個体は発情中のメスです。
「繁殖の準備ができましたよー」って教えてくれてるんですね。
こうなったらオスと同居をさせるんですよ。

20110114-09.jpg

そして交尾。
タイミングが合っていれば、同居後すぐに交尾が行われます。
交尾時間は30分から1時間ってとこですね。

20110114-12.jpg

こちらは交尾から数日後のメス。
この何とも言えない天井のシミのような体色は「妊娠しましたよー」っていうサインなんですね。
ほんとおしゃべりな子達なんです。

20110114-11.jpg

そして産卵。
交尾から産卵までの期間は早くて20日程度。
円山動物園では2回目の産卵なんですが、交尾後24日目でした。



卵はですね、すごく小さくて長径2cm程度、そして多産です。
前回は初卵ってこともあってか、サイズも小さくすぐにダメになってしまいました。
今回は前回よりは良い感じですね。
そのうち小さなクリーチャー達が誕生するかもしれませんよ。
皆様、期待しないで待っていてくださいね。









バックヤードから。(ミツヅノコノハガエルの繁殖編)

あ、皆様あけましておめでとうございます。
本年も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いします。

さて今回からはバックヤードで管理している動物達をちょこちょこと紹介していきますね。

まずは両生類。
まあ僕はこれまで両生類管理に関しては真剣に取り組んだことなかったんですよ。
だからこのカゲロウのように繊細な生き物達を管理することに不安があったんですね。

正直、両生類なんて何がおもしろいだって思いましたよ。
でももうすっかりやられてしまいましたね、彼らの魅力に翻弄されっぱなしです。
彼らの事を考えるだけで、気がついたらいつも午前様ですよ。

これはミツヅノコノハガエル。
実にエキゾチックでいて且つナウロマンティックな魅力を持っています。


現在1ペアで飼育しておりして、しかもこのペアがすごく良いんですよ。
だから新爬虫類・両生類館に展示する前に繁殖に取り組もうってことになったんですね。

この種に関しては乾季、雨季を再現することで産卵を誘発できます。
円山では9月の「暖房を入れるほどでもないけど、少し寒い」という時期を利用して温度と湿度を下げました。
んでしばらく管理した後に暖房を入れて温度を上げた時点で産卵用ケージに移したんですね。

産卵用ケージに移したら、噴霧器を2台使って1日3回大量に雨を降らすんです。


そうするとオスが盛んに鳴き始め、メスに乗っかる行動が頻繁に見られるんですよ。

これが産卵用ケージね。
底に排水の穴が開いているのと、水深8cmの少し広めの水場があるだけのシンプルスタイルです。



そして産卵。





卵に変化が現れたのは7日目です。


半分くらいが無事に発生したんですよ。

そして孵化。
まだまだオタマらしくないですね。



現在のオタマたちです。
普段は水草の中に隠れていて姿は見えないんですが、餌をやるとこの通り。
何匹いるかわからないけど大量のオタマがワシャワシャ出てくるんですよ。
20110105-07.JPG

このカエルのオタマはすごく変わっていて、口が上向きで漏斗型なんですね。
これで水面の餌を食べるんですよ。

今のところ全てのオタマが順調に育っています。
ここからどれくらいのオタマが無事にカエルになって上陸してくれるかほんと楽しみですよ。

また経過を報告しますね。
ではでは。

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