札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

2007年11月 の投稿一覧

ドキュメンタリー。

いやー冬到来ですね。
冬はやっぱりさみーなー(あき竹城)





実はドキュメンタリー番組が製作されているんです。
NHK 「北海道ひと物語」
http://www.nhk.or.jp/sapporo/pg_guide.html
そう、僕の人生を描いた番組が作られているんです。
まあ時期が時期なもんで爬虫類色は薄く鷹匠としての活動が主なんですが。
んで昨日全ての撮影が終了したんですよ。
長かった・・・打ち合わせ期間も含めなんだかんだで一ヶ月くらいかかりましたからね。

僕はドキュメンタリー番組にはかなりうるさい方でしてね。
毎日ナショジオ、ディスカバリー、ヒストリー、アニマルプラネットなんかを観ながら暮らしてますから。
でも今まで数々の野生動物を題材としたドキュメンタリーを観てきたけど、心に残る物ってほんと少ない。
人間側の捻じ曲がった主観的視点の中だけで野生動物を映し出しちゃっているわけですよ。
そこには野生動物を理解する際に最も重要な客観的視点が欠如してしまっているわけです。

野生動物ってそのまんまの姿だけで感動できる存在なんです。
わざわざ「お涙ちょうだいストーリー」という不自然な囲いを作り、そこに強引に野生動物を入れちゃう必要はないわけです。
名画「モナリザ」のおでこに「こうした方が良いんじゃない?」って感じで「肉」って書き込んでしまうくらいありえないことだと思うんですよね。
そのまんまで十分感動できるし素敵なんです。

まあテレビ的にはそれでおもしろいのかもしれないですけどね。
でもそんなんで野生動物達の捻じ曲げられた姿が世間に広がるのはつらいものですよ。
テレビの持つ影響力ってものすごいものですからね。
誰に対しても刷り込み可能なわけですよ。

だから今回も最初は「鷹と人間の友情物語」みたいなものを作りたいのかなって思ったんですね。
そもそも鷹と人間には友情も信頼関係もないわけですから無理なんですよ。
人間のものさしなんかで単純に測ることのできない関係なんです。

でも違いましたね。
今回、発案企画したディレクターの大海さん。
自然番組専門に作っている方でしてね、でもこの方はすごかったですよ、ほんと。
僕よりも全然年下なんだけど、強烈に熱心でしつこくておもしろい人。
まあ僕もこの方の熱心さに惚れ込んでしまいましたよ。

最初は彼もなかなか僕の動物観が理解できなかったようなんですね。
でもそのまま番組を作ってしまったらそれは全部「うそ」になってしまうわけです。
だから自分自身が納得できるまでとことん突っ込んでくるんです。
二時間、三時間の話し合いは当たり前でしたからね。

前夜朝方まで仕事してても朝薄暗いうちに家にやってきて鷹の訓練に同行。
そして職場では爬虫類の世話を一緒にやって、再度打ち合わせ。
休日は一緒に鷹狩りへ出かけ、自ら勢子(獲物の追い出し)をやってくれる。
とにかく理解しようと必死なんですね。
ほんとこんな方に番組を作ってもらえるんならこちらも気合が入りますって。
とりあえずどんな感じで映し出されているのか楽しみですよ。

ま、僕が希望するようなストーリーはこんな感じかな。
越後のちりめん問屋になりすました僕が諸国漫遊しながら鷹狩りをするみたいな。
印籠を出すタイミングも難しいよなーここでどれだけの人に鳥肌を立たせられるかですよ。
んでラストはなぜか断崖絶壁ね。
ここで襲い掛かってくる犯人を間一髪で逮捕、見事事件解決ですよ。
そしてエンディングテーマはもちろん「聖母たちのララバイ」。
岩崎宏美の美声に乗せてエンディングロール。
ほんとゾクゾクしてきますよね。

ええ、僕はドキュメンタリーにはうるさい方なんです。

エンリッチメント大賞授賞式。

エンリッチメント大賞授賞式のため上野ZOOへと行ってまいりました。

今回は2006,07年度合同授賞式ってこともあってサル山担当朝倉飼育員と一緒です。
結局記念講演に使うスライドを完成させることができず、ノートPCとバリカン持参で出発。
上野ZOO見学後、夜ホテルで作業を実施し深夜に無事完成。

その後バリカンで頭を丸める。
しかし頭頂部を刈っている途中でバリカンが故障(調子が悪い)、逆モヒカン姿にしばし呆然。
鏡に写る浴衣を羽織った痩せた逆モヒカン男・・・
そう、このままだと間違いなく授賞式辞退という緊急事態です。
気を紛らわすためとりあえずカミソリで髭だけそってみるものの、当然なんの解決にもなりません。
その後、何とか再起動させることに成功。
今にも止まりそうな弱々しい状態で何とか刈りあげることができそっと胸をなでおろしました。

そしてバタバタしたままいよいよ本番です。


演題は「爬虫類のエンリッチメントって何?」(内容についてはまたブログで改めて)
誰もが疑問に思っている内容についてお話させていただきました。
まあ僕ったら喋る喋る、分泌されたアドレナリンは誰にも止められません。

そんな中、主催者側から文字が書かれた紙をそっと渡されました。
こう書かれてあります、「まいてください・・・・」 と。
そうイエローカードです。主催者様の悲痛な叫びです。
ただでさえ時間が押してるのにさらに喋り続ける僕に対し危機感を感じたのでしょう。

結局20分オーバーで終了。
主催者様はハラハラドキドキ、満足した僕だけが恍惚の表情でございました。
市民ZOOネットワーク、京都大学の皆様大変ご迷惑おかけいたしました。
このような機会を作っていただけたことに感謝しております。



でも上野動物園はほんと落ち着きますよ。
なんだかんで一番足を運んでいる動物園ですしね。

今回も人生の師、長坂拓也氏と初日から合流。
いつものように敏腕飼育員、斉藤☆真理子嬢にお願いし爬虫類館、小獣館などくまなく見学させていただきました。
上野動物園の皆様ありがとうございました。

最終日は多摩動物園にてモグラ館を見学。
トウキョウトガリネズミの飼育についてお話を伺ってきました。
この恐ろしく飼育困難な種をきちんと管理されているその技術に脱帽。
飼育員の菊池さんありがとうございました。
20071122-02.JPG



今回は全国で実施されている様々な取り組みを目の当たりにすることができましたね。
とっても刺激的で良い機会になりましたよ。
まだまだがんばらないとな。

ナチュラルガーデニング2。

四季折々に様々な表情を見せてくれる庭、それがナチュラルガーデニング。
手を加えることなく育まれてきた我が家の庭は、まさにナチュラル。
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/53
そう、伝説のナチュラルガーデニングがここにあるのです。

パブリックな空間で来客や通行人の目を楽しませてきた我が家のシンボルフラワー「フキ」



冬が近づき自己主張をやめた模様、力無い最後の姿からは当時の威厳さは感じられない。
正直わずらわしい。





今では極めて普通の「草」に主役の座を奪われている。






ここで唯一の実のなる植物、僕はこれを「フルーツ」と呼んでいる。
リスや小鳥、カラスさえも決して寄り付かない。





奥の鷹小屋へと続く道には巨大な草。冬なのに青々している。
僕はこれを「ラフレシア」と呼んでいる。
表面はザラザラ、歩くたびにズボンの裾が引っかかり、とてもわずらわしい。




先日の出張当日の朝のこと。
遅刻しそうで慌てて準備してたら犬のウンコを踏んでしまい、頭にきて地面に叩きつけたスニーカー。
それからずっと放置プレー。
こんなアクセントもナチュラルガーデンには良く似合う。





幻想的な風景で強い存在感を示していた「フキ畑」も今はこんな感じ。


コロポックルはもういない みんな仲間だ 仲良しなんだ。

スギナやフキやタンポポやセイダカアワダチソウとも来春までしばしのお別れです。
季節が移っていくごとに様々な表情を見せてくれたナチュラルガーデニング。
それは時にはやさしく、時には厳しく、そして季節を問わず常にわずらわしい。


動画のご紹介。

新トビのデューク、かなり良い飛びしてましてね。
やはり短くとも野生を経験した分、飛翔技術の上達は目を見張るものがあります。
飼育下生まれのビリーはかなり時間かかりましたからね。
すこぶる良い感じでございます。市民の皆様、ぜひご来園ください。

まあそんなこんなで今宵は動画の紹介をさせてもらいます。
皆様ご存知円山ズーチャンネルでございます。






「猛禽類のフリーフライトと鷹匠体験」
http://www.maruyama-zoo.jp/dokidoki/eagle.shtml

シロフクロウのセーベルと本田飼育員
http://www.maruyama-zoo.jp/staff/b_scandiacus01.shtml

皆様是非ご覧ください。
まあこの動画僕も出てるわけなんですが、相変わらずボソボソ喋って覇気がないですね。
ハートは熱いんですけど、それが表面に出てこない民族なんですよ。

母親とか兄貴にもいつも注意されてましてね、「ちゃんと喋れ」て。
こっちはとてもご機嫌だしテンション高めで話してるつもりなんですけどね。
でも実際見てみるとものすごい暗いんです。
たぶんテンションの上げ方が間違ってると思うんですね。

徐々にクレッシェンドしていき、最後にフォルテシモってのが僕のスタイル。
でも実際映像を観て分析してみるとクレッシェンドが長すぎるんですよ。
フォルテにすら行ってない、その前に終わってしまっている状態なんだな。
まあわかりやすく例えると「鈴木大地はバサロで進みすぎ」って感じですね。

でもね、この映像見てわかる人にはわかると思うんですよ。
そこはかと滲み出るオーラが写りこんでるのがね。
エクトプラズムではない、オーブでもない何かがね。

ぜひ皆様暇な時にでも観てくださいね。
できれば100万回くらい観てもらえるとありがたいです。

秘密の会議。

会議出席のため大阪へ行っておりました。
その会議の名は「全国動物園・水族館両生類爬虫類会議」

全国の動物園、水族館の爬虫類担当者が結集し研究発表や今後のやるべきことなどを議論しあう会議です。



今回のホスト園は大阪は天王寺動物園。
この会議、以前は毎年出席してたんですが、ここ数年はご無沙汰してましてね。
次回の開催地は我が円山動物園ってこともあって参加してまいりました。
行きの機内では横山ホットブラザーズのロックンロールで鋭気を養い気合も十分です。

会議は繁殖に関する研究報告や、希少両生類の保護事業など多岐にわたります。
まあそんな中でも話題の中心はやはり「カエルツボカビ症」問題。

この病気の国内進出により希少両生類の個体数に壊滅的な影響を与えるのではないか?
この問題はまだ研究最中であり、ここでは詳しい件はお話できません。
でも近々ある程度の見解が発表されることと思います。

あとは両生類の「域外保護事業」 つまり飼育下での繁殖事業です。
日本には多くのカエルや有尾類が生息してます。
しかし生息地の破壊などにより多くの種が絶滅に瀕しているんですね。
このまま放っておけば確実に絶滅するだけ。
だから一旦動物園や水族館で保護し、しかるべき時まで飼育下で保護増殖させましょうっていう計画です。

ね、こういう時が来たでしょ?
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/64
いつまでも外国産種ばかりをもてはやしてないで国産種の飼育・繁殖技術の確立を目指す必要があるって。
いつまでも国産種を仮設水槽で飼ってるんじゃありませんって。
この計画、当然我が園としても気合を入れてやらせていただきたいと思っております。
このときが来ることを想定し、今までやってきたんですから。

もうね、今後の動物園ってのは自分勝手に好きなことをやってる場合でもないんですよ。
全国的、また世界的視野で物を見て、自分達が何をすべきかを明確にする必要があるんです。
国内の園館が協力し合って様々な事業を行っていく。
今後は間違いなくこういう流れになっていくと思いますよ。
特に北海道なんて場所は世界的に見ても貴重な生態系があって多くの希少動物が暮らしてるんです。
そんな地盤の中、特に道内園館なんかは密接な協力が必要となるでしょうね。

うん、すごく有意義な会議でございましたよ。





pageTop