札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

2009年07月 の投稿一覧

キノコ日和。

毎日雨でほんとイヤになっちゃいますね。
かれこれ33年間札幌で暮らしていますけどね、こんなのは初めてですよ。
気温も低いしね、これじゃあ海にも行けないですよ。
まあ晴れてても行きませんけどね。
ほんとナメクジには悪いんだけど、もう雨は勘弁していただきたいものです。

この雨のおけげで園内の生態系にも異変が起きているんですよ。
キノコが大発生しているんです。


もうね、芝生のとことかあちこちにキノコが生えまくってるんですよ。
様々なキノコが生えててかなりおもしろいですよ。


これなんてすごいですよね。
もう100点満点のキノコですよ、誰の期待も裏切らないその完璧なスタイル。
まさにキングオブキノコですね。

でもね、こういうキノコを見ると必ず居るんですよね。
「これ食べたら大きくなっちゃうよ」っていう人。
そう、スーパーマリオのあのやつね。
もうね、僕はそれを聞くたびに胸を掻きむしりたくなるほどイライラしちゃうんですよ。
なんせキノコ見つけるたびに何回も言われるんですから。
実際小学生の時からすでに7万回くらい聞いてますよ。
ほんともっと気の利いた比喩は出てこないのかね。

まあ僕だったら「あっポールマッカートニーだ。来日してたんだね」くらいは言うわけですよ。
せめてこれくらいウイットに富んだ比喩が言えないとダメですね。
これなら間違いなく大爆笑ですから。




シマウマ舎向かいの柳の木の下に群生していたキノコです。
これはあれだな、ムーミン谷をうろうろしてる奴みたいだな。
逆鍾乳洞みたいでかなり神秘的な風景です。




そしてこれね、一瞬ジャガイモかと思ったんだけどよく見るとこれもキノコ。
僕はこれみてピンっときたんですよ、「踏むと煙が出るキノコだ」ってね。
昔遠足に行った先でこれを踏んづけて遊んでた記憶が蘇ったんですよ。
ちょうど実習生も一緒に居たもんで、キノコ煙で驚かせてやろうと思いましてね。
んで目の前まで近寄ってもらってから、思いっきり踏んづけたんですよ。



身が出ただけでした。
煙が出たらそのままドロンしようと構えていたんですけどね。
んー記憶違いでした、種類が違うのかな。
このキノコには悪いことをしてしまいました。

他にも


特にインパクトはないけど、こういうのとか



こんな白いもち肌キノコとか



あとこんなのもあったりして観察してると実に楽しいのですよ。

こんなステキなキノコ達に会えるのも、この天気のおかげ。
雨の動物園でキノコウォッチングを楽しむのもまたいとをかしでございます。
この長雨の季節、共にキノコで乗り切りましょう。
やまない雨はないんですから。
ではでは。



オレゴンの森とオオサンショウウオ。

ホッキョクグマの不思議展と同時に開催されている「オレゴンの森」
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-217.html

札幌市とオレゴン州ポートランド市は姉妹都市でして、今年で50周年なんですね。
そんなことから動物科学館の片隅でひっそりと始まったオレゴンの森。

オレゴン州ってのは札幌と同緯度でありながら、そこに抱える生態系は実に多様性に富んでおります。
温暖で広大な森林地帯、南へ下れば灼熱の砂漠。
なんとも素晴らしいところなんですよ。
行ったことないけどね。




まあこんなことがないかぎり、オレゴン州やポートランドのことを知る機会ってのはないと思うんですよ。
札幌市民として一度学んでみるのも良いと思いますよ。



酪農学園大学作成「オレゴンの自然」のサイン。
オレゴンと札幌の自然の比較がわかりやすく説明されております。



オレゴンに生息する動物達、7種類だけですが展示しております。



サバクツノトカゲ。
目から血しぶきを飛ばし外敵を撃退するという、ものすごい技を使うトカゲ。
コヨーテなんかも驚いて退散するそうです。
以前テレビで目から牛乳を出す人を観たことがありますが、同じくらいの防御力ですね。

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北米に広く分布するゴファースネーク。
大型の美しいヘビでございます。

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賛否両論の巨大サンショウウオ、オビタイガーサラマンダー。
僕は大好きです。
他にもキタアリゲータートカゲ、クビワトカゲ、カリフォルニアキングスネーク、ウチダザリガニを展示しておりますよ。

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巨大松ぼっくり。
自由に触れますが、マツヤニで手がベトベトになります。

そしてオレゴンとは関係ないですが、夏休み特別展示中のオオサンショウウオ。
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長年オオサンショウウオの保護を行っている広島の安佐動物公園からお借りしました。
体長は70cm、まだまだ小ぶりです。
でもね、日本が最も世界に誇れる動物はこのオオサンショウウオだと思うんですよ。
中国とアメリカにも近縁種が生息してますが、この日本のが世界最大。
過去150cmを超えるものもいたんですよ。
ほんと日本の宝でございます。

では皆様、夏休みはオレゴンとオオサンショウウオの絶妙コラボでお楽しみください。

ヨウスコウワニ16+1。

全国1500万人のヨウスコウワニファンの皆様こんばんは。
本日よりヨウスコウワニベイベー達の展示を開始いたしまいた。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-218.html


二つのマスをぶち抜いた広々としたスペース
緑が茂るさわやかな空間
(劇的ビフォーアフター・ナレーション風)

昨年産まれの子と一緒に計17匹の大所帯で展示開始です。
よくお客さんから「昨年のヨウスコウの赤ちゃん全然大きくなってませんよね?」といわれます。
んなこたーないっすよ。比較すると一目瞭然でしょ?


僕だって飼育員のはしくれなんですから、ちゃんとお世話してるのですよ。
ヨウスコウワニって成長が遅いんですよ、最大サイズになるまでには10年くらいかかります。



仔ワニ達は思い思いの時間を心地良く過ごしておりますよ。
餌のコオロギに飛びつくやんちゃ者、環境変化に驚きセミのように壁に張り付く者、個性もいろいろです。


展示開始にあたり、「ヨウスコウワニの給餌&ガイド」も行う予定でございます。
クールでパッション、陽気でキュートなワニ達が待っております。
皆様、ご近所お誘いあわせの上お越しくださいませ。

悲しき、美しきホウシャガメ。

ホウシャガメ4頭の展示を開始しました。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-214.html
横浜市野毛山動物園からやってきた3頭と円山のバックヤードにて飼育していた1頭です。


この放射柄、ほんとうに美しいカメですよね。
ホウシャガメはマダガスカルに生息するリクガメで、絶滅に瀕した貴重な種です。
欧米の動物園では以前から飼育下繁殖が進められておりまして、成果を挙げております。
日本では野毛山動物園が成功しましたね。

でもね、ほんと素晴らしいカメなんだけど、僕ら業界の人間にとっては複雑な気分にさせられるカメなんですよ。
ホウシャガメはサイテス(ワシントン条約)Ⅰ類という最も厳しいレベルで国際取引が規制されてるんですね。
本来であれば輸入できる種ではないんだけど、日本では密輸が絶えないんですよ。
この個体も密輸されて動物園に保護されてきた個体達なんですね。
残念なんだけどそんな背景があって、どうしてもダークなイメージが付きまとう。
インドホシガメとこのホウシャガメが二大巨頭ですね。


唯一の救いは、非常に丈夫で扱いやすいということですね。
餌食いも良好、ハイビスカスの花と野草をバリバリ食べております。
今後は円山動物園においても飼育下繁殖を進めていく予定です。

リクガメ全般に言えることだけど、このホウシャガメもすごく長生きするんですよ。
英国の探検家キャプテン・クックがこのホウシャガメを連れ帰り、トンガ王国王妃に献上したんですね。
それが1777年、そのカメは「トゥイ・マリラ」と名付けられ大切に育てられたんですよ。
んでそのカメが死んだのは1965年、つい最近ですよ。実に188年も生きていたことになります。
泉重千代さんを余裕で越してますからね、見事でございますよ。
ちなみに泉重千代さんは徳之島出身の世界長寿記録の持ち主です。
114歳のときに「好きな女性のタイプは?」と聞かれ、「やっぱり年上かのう・・」と答えた伝説の人です。

それでは皆様、この神々しさすら感じるホウシャガメたちをじっくり観察してくださいね。
そしていよいよ明日からヨウスコウワニ16つ仔の展示開始です。


ワニムーブメントよ巻き起これ。
僕のささやかなる願いでございます。

カメ三昧。

カンボジアモエギハコガメ。
先月に続き今年2卵目の卵が無事に孵化いたしましたよ。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-215.html


いやーこの卵、実は中止卵になったと思ってたんですよ。
先日の暑い日に爬虫類館の温度が上がりすぎましてね、卵の一部が破裂して血が流れ出てたんですよ。
ありゃーこりゃダメだなーって感じだったもんで、無事孵化したことに少し驚いたしだいでございます。
まあこれで円山動物園誕生したモエギハコガメは6匹目ですね。
そろそろ累代繁殖も考えていかなくてはならない時期にきております。



卵から出た直後のベイビー。
まだ体が縦に折れ曲がっていて、細長いですね。
ほんと美しいカメでございますよ。



先月産まれた個体と一緒に。
年に2匹産まれたってのは数年ぶりなんですね。
やっぱり今年はツインズブーム。そう、円山名物ツインズですよ。
まあ全くブームに乗り切れてませんけどね。
実に無念でございます。

でもね、2匹の動画はちゃんと撮ってあるんですよ。
微動だにしないツインズ映像を。

僕はね、この映像を観てツインズが発信してるメッセージを完全に感じ取りましたね。
この荒んだ現代社会に「物言い」をつけてるなって。
何でもスピード重視のこの時代に一石を投じてるなって。
実に奥深いですよ。。彼らの熱い生き様を痛いほど感じましたね。
なぜ彼らがこの現世まで生き残ってこれたのか、その理由が垣間見れた気がしましたよ。

まあそんなこんなでこのハコガメツインズの静止動画をDVD化したいっていうツワモノは現れませんかね。
イギリスのBBCだったら反応してくれそうな気がするんだよなー。
BBCってほんとマニアックな動物ドキュメンタリーを作りますからね。
まあそんな時を期待しながら大切に育てていきたいと思っておりますよ。
では皆様、楽しいカメライフを。



ファミリーモエギ。

ヨウスコウワニ16.

いやー無事にヨウスコウワニが孵化しましたよ。


ういす。

http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-212.html
有精卵17卵のうち、16卵がハッチ。
残り1卵は残念ながら中止卵。

まあ卵数ってのは人為的にある程度コントロールが効くわけなんですね。
問題は有精率、なぜ今年は有精率が高かったのかに関しては検証の必要があります。
ある程度の推測はできているのですが、現在のところ仮説に過ぎません。。
まあ飼育ってのはそもそも全てが仮説なのかもしれませんが。

今回孵化温度設定は28~29℃、いつもよりも低温で管理したのですよ。
全てのワニは温度性決定でありまして、この温度帯では♀が産まれることになっております。
でもね、今年は異常に暑い日があったりで、設定温度を超えたりもしちゃってるんですよ。
孵化日数も短かったしね。
まだ性別チェックはしておりませんが、少し不安でございます。



16匹の仔ワニたち。
ほんと気分爽快でございますよ、この風景。
世界三大絶景の一つと言っても過言ではないですね。
この貴重なワニの増殖に貢献できていることを誇りに思っております。

遅くても来週中には展示公開する予定でおります。
現在必死に展示場整備を行っているところでございます。
もうしばらくお待ちくださいませ。

いやーしかしこれは確実にくると思うんですよね、ワニフィーバーが。
ホッキョクグマやユキヒョウには悪いんだけど、たぶんきちゃいますよ。
もうね、僕も心ウキウキで同僚達に今後のイメージをいつも話してるんですよ。
まあ、同僚達の顔は思いっきり「」ですけどね。



では皆様、気分はNaiNai16(BYシブガキ隊)で、この貴重なワニたちに会いにきてください。







お知らせ。

今週の土曜日、野生動物救護研究会主催のフォーラムが開催されます。
会場は円山動物園動物科学館ホールです。
野生動物保護などに関心のある方は是非お越しくださいませ。
僕も発表する予定でおります。



http://blog.goo.ne.jp/kitanet-staff/e/abf7e888a2a36bf1f136b99094594c4f
 野生動物救護研究会 平成21年度フォーラム
「傷ついた動物からわかる環境問題」

[日時] 7月11日(土)13:00~17:00
[場所] 札幌市円山動物園 動物科学館ホール(札幌市中央区宮ヶ丘3番地1)
[内容]
 13:00:フォーラム開会式
 13:10~14:10:事例報告
「鷹匠技術を使った保護チゴハヤブサの放鳥までの訓練について」
 円山動物園 本田直也 氏
「羅網死が疑われたハイイロミズナギドリの症例」
 野生動物救護研究会副会長 黒沢信道 氏 ほか
 14:30~15:30:基調講演
「身近な野鳥の異変からの自然環境モニタリング」
 旭山動物園・札幌カラス研究会 福井大祐 氏
「ウトナイ湖野生鳥獣保護センターにおける共育活動」
 ウトナイ湖野生鳥獣保護センター 加藤智子 氏
 15:30~16:30:総合討論
 16:30~16:40:まとめ
 16:40:フォーラム閉会
[対象] 野生動物救護研究会会員および野生動物救護・環境教育に関心のある
     一般来園者
[定員] 80名
[参加費] 無料。ただし、野生動物救護会員以外の方、
      または時間に遅れた会員の方は入園料として大人600円
      (年間パスポート1,000円)がかかります。
[申込み] 不要
[お問合せ先・主催]
・野生動物救護研究会会長 盛田徹
 tel/fax 0144-73-8949
 E-mail:mini-sanc[at]mx32.tiki.ne.jp
※[at]を@に変えて送信してください。
・野生動物救護研究会副会長 黒沢信道
 tel/fax 0154-64-2328 
 E-mail:kuromail[at]d2.dion.ne.jp
※[at]を@に変えて送信してください。

若人たち。

4月から新体制で実施しておりました「猛禽類のフリーフライト」


一昨日から新メンバーの若人二人が、修行期間を終了し独り立ちいたしました。
左がパーマネントでおなじみの渡邊飼育員、そして紅一点の葛西飼育員。
いやーしかし早いっすよ、元々センスが良かったとはいえたった1ヵ月半でここまでできるんですからね。
やはりね「やる気、元気、イワキ」(BY 小泉チルドレン)ですよ。
その技術習得のための貪欲な意欲と努力に感服いたしました。


猛禽類のフリーフライトは鳥を飛ばせれば良いってもんじゃありません。
鳥はあくまでもメッセージを伝えるための手段であって、主役は飼育員のガイドなんです。
実際ね、このパンチの効いた動物が目の前を飛んでいたら誰だってガイドなんて耳に入りませんよ。
その状況の中で、いかにしっかりとメッセージを伝えるか。
鳥をコントロールしつつ、臨機応変に且つ効果的にガイドを進める必要があるんですね。
これがなかなか難しい。


まあバンドで例えれば、ボーカル兼ギターですよ。
ギターを掻き鳴らしながら唄い、時にはブレイクでシャウトできるくらいじゃないと務まりません。
ボーカル&ギターなのでベンチャーズでもCCBでもトムキャットでもダメなわけです。
しかもリハーサルにはなかった突然のアドリブソロを要求されることもあります。
時には加山雄三ように、時にはイッセー尾形のようにと高度なテクが必要なのです。
特に渡邊飼育員のパーマネントを振り乱し鳥を操るその姿は、グレッチを掻き鳴らしながら詩を叫ぶ往年の浅井健一(元BJC)を思い出させます。

では皆様、この若人二人を今後ともよろしくお願いいたします。
とりあえず僕の任務は終わりました、老兵は去るのみでございます。


いつもトムキャット気分でノリノリの吉田飼育員。
されどロケンロー。

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