札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

2012年02月 の投稿一覧

カエルンコーリング。

今、閉園後のは虫類・両生類館ではカエル達の鳴き声が響き渡っているんですよ。





なぜかというと原因はこれ、加湿器。
ここ3ヶ月間は低湿度で管理してまして、カエルの鳴き声も産卵もぴたっと止まっていたんですよ。



でもこれのおかげでラボ内の湿度は一気に上昇。
室内ですらこの湿度ですからね。


ケージ内は100%近いです。
そうまさにカエルにとっての恋の季節、雨季が到来したんですね。



美声ナンバーワンはこのキオビヤドクガエル。
高音で伸びのあるビブラート、まさに「のこいのこ」のような澄んだ声を響かせます。



こちらのモウドクフキヤガエルはウンともスんとも言いませんね。
そもそもオスなのかメスなのかもわからない。
このまま鳴かないならオスはいないって事になります。



アイゾメヤドクガエルはあまりにも声が小さくて聞き取れません。
ほんともっと腹から声を出してほしいものです。



そしてマダラヤドクガエル。
子沢山で繁殖結果は良好なのですが、こちらも声は聞き取れません。
たまには男らしくシャウトしてほしいものですね。



最も活発に鳴いているのが、まだ生後一年程度のミツヅノコノハガエルの子供達。


でもね、やっぱりまだまだ子供。
親個体のような、パワフルソウルフルボイスは出ないんです。
何とも微妙な、声変わりが始まってしまった少年合唱団員みたいな、そんな感じの声なんですね。
そして少しだけニホンアマガエルの声と似ているんですよ。
交互に鳴かれるとたまに迷うことがあります。
迷うと言っても上條恒彦と子門真人くらいの違いなんですけどね。
よく聞くと子門真人の方が若干ライトで粘りがあるかな、みたいな。
興味ない人には同じなんだけど、ファンだったらすぐに違いがわかるみたいなね。
ええ、そんな感じなんです。
では風邪をこじらせたので今夜はこの辺で。

モエギハコガメ。

実に美しく成長してくれてますね。
2006~2008年産まれの兄弟たち。



存在感。

アルマジロトカゲ(Cordylus cataphractus)



主張してないのにこの存在感。
素敵です。
ソウイウモノニ、ワタシハナリタイ(By宮賢)

ミズオオトカゲとの素敵な日々。

先日紹介したオマキトカゲもそうだけど、実は最もストレスを感じるのがミズオオトカゲの清掃作業。


まずね、扉が開けられない。
完璧に餌がもらえると勘違いしておりまして、開けた途端に隙間から出てこようとするんです。


もうね、彼ったら興奮が頂点に達してるんでどうしようもないんですよ。
だからとりあえずデッキブラシを突っ込んで一度噛み付かせ、餌じゃないことを知らしめてやるんですね。
そしたら急に警戒してぱっと離れていくんです。


この時点でやっと中に入って作業開始です。

見てくださいこの憎たらしいポーズ。


これはオオトカゲの十八番、「寄らば鞭打つぜ」のポーズです。
尾で僕の事をピシピシ叩いてやろうとスキを伺っているんですよ。

でもね、僕はきっぱりと彼に言いたいんです。
人類舐めるなよと、こっちは義務教育だって受けてきてるんだぞと。
トカゲの考えていることくらいお見通しなんですよ。
だからね、絶妙な距離を保ちつつ射程距離に入らないよう作業を進めて行くんですよ。
案の定、彼も繰り返し攻撃してくるんだけど、鞭攻撃は虚しく空を切るだけ。

「ふっ、100万年早いわ、お前の攻撃など便器ブラシで切り返してくれるわ」


そしてこの人類とトカゲのやり取り、なぜか来園者の方々に好評です。
皆様ニヤニヤしながら最後まで眺めています。
人類とトカゲが繰り出す場末の愉快なハーモニー、このシーンに出会えた方は実にラッキーですね。

掃除も終わり邪魔者も消え、水が貯まりつつあるプール内でのこの表情


あ、そろそろ掃除の時期だな。
では皆様のご来園をお待ちしております。

さよなら千石正一先生。

2月7日、千石正一先生が亡くなられました。

千石先生は研究者としての活動のみならず、メディアを通して様々な動物の魅力を人々に伝える偉大な伝道師でありました。
千石先生に変わるカリスマ動物人はたぶんもう現れないでしょう。
本当に残念です。

 大病を患っての闘病生活、そんな中でも精力的に仕事をこなし、札幌にも毎年のように来られていたんですよ。
その度に円山動物園でも講演や爬虫類ガイド、円山スネークアート展の審査員など快く引き受けていただきまして、園としても大変お世話になっていたのです。
先生と交流した市民の方もたくさんいたのではないでしょうか。
ほんとに子供にやさしく、サービス精神旺盛な方でした。
僕自身も公私ともにお世話になっておりまして、一緒にフィールドに出かけたり、ペット屋巡りしたり、手料理を食わしてもらったり、古い資料をもらったりと、楽しい思い出ばかりです。

でも本当に心残りな事が1つあります。
それは新は虫類・両生類館を見てもらうことができなかったこと。
最後に来札したのは一昨年の5月で、準備の段階からすごく楽しみにしてくれてたんですよ。
「オープンしたら絶対に俺を呼べよ!なんでもやるから!」なんてよく言っておりました。
そしてオープンの4月23日、偶然にもそれは千石先生の誕生日。
しかし体調がすぐれず、結局来札は実現できなかったのです。
本当に残念でなりません。

千石先生のメッセージはどんな立派な動物園よりも多くの人々の心に届いたと思います。
心より感謝、そしてご冥福をお祈りします。






ティランジア・イオナンタ。

皆様、は虫類・両生類館にお越しになった際はソバージュネコメガエルの展示場に注目してください。


ここ。


とっても元気な植物達、ほんと素晴らしい状態です。

そして右下の植物に注目。
ね?子株が三つも出てきているんですよ。


この兵藤ゆきのような植物はティランジア・イオナンタ。
俗にエアプランツと呼ばれてるアレです。
よくホームセンターや100均の片隅で干からびているアレですよ。
水やりなしで育てやすいとか言われてるけど大嘘。
もし安易に栽培を開始したら間違いなく枯らすか、腐らせるかしてしまうでしょうね。

この植物にとって重要なのは水と通気性。
水は夜にたっぷり、そして日中はしっかりと乾かす。
夜間はジメジメ、日中はカラッとする環境が必要なんですね。
もし通気性が悪く蒸れた状態で置いておくと腐ってバラバラになります。
しかもたった一日でね。
ほんと実際は陽炎のようにはかない存在なんですよ。
そんなこともあって僕にとってはストックしたくない植物NO.2なのでございます。

だからね、そんな厄介なティランジアが順調に生育している事がすごくうれしいわけなんですよ。
何もせずに放置しているだけですからね。
それだけ動物や植物にとって適切な環境、特に温度、湿度、光、空気の流れといった形の無い物がしっかりとデザインされているってことなんです。
そんな事も少し知った上でこの展示場を覗いて見てくださいね。
では。ベストリガード。

pageTop