札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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2008年09月 の投稿一覧

マムシで覚える遺伝学。

こんばんは、毒蝮三太夫です。
今日ね、朝一番にメールが届いたんですよ。
んで内容はたった一行、「マムシは卵を産みません」 それだけ。
なんのことやらさっぱりわからず、「おっ、新手のギャグだな」くらいにしか思ってなかったんですよ。
そうこうしてたら、さらにメールが数件。相手は全国に散らばる知り合いの飼育員達。
内容はすべてマムシの件・・・・
速攻でパソコンを立ち上げ、速攻で検索。
はいはい、やっとわかりました。この記事ですね。
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20080912hog00m040002000c.html
マムシは胎生で直接子ヘビを産みます。
だから「産卵の兆候」という表現は不適切なんですね。
なぜこのような記事になったのかはわかりません。
でも間違った情報が伝えられることは非常に残念なことです。


でもこのマムシ、本当に美しいですよね。
アルビノってのは、突然変異や劣性遺伝により先天的に色素が欠乏している個体のことを言います。
特定の種においてはペット用として盛んに作出されてるけど、野外で見つかることは非常に稀、めちゃくちゃ珍しいですよ。
しかもこの体色、目立ちますから外敵に狙われやすいというリスクも考えられます。
まあ、マムシは夜行性だからこの個体もここまで生き残ってこれたのかもしれませんね。

んでこの個体、たぶんお腹に子ヘビを宿しております。
マムシは夏から秋にかけて交尾をし、翌年の秋に出産します。
人間並みに妊娠期間が長いんですよ。
だからね、この時期に捕獲された成♀の場合、妊娠していると考えて間違いないわけです。
そんなこともあって、展示は出産を終え、餌付けを済ませた後に開始いたします。
ご了承くださいね。

ではどんな子ヘビが産まれると思いますか?半分白いヘビ?
産まれてくる子ヘビは、ノーマルのマムシです。普通の色。

アルビノってのは劣性遺伝するんですね。
つまり一世代目では、アルビノは表現されません。
でも産まれてくる子ヘビ達はアルビノ因子を持ってるんですよ。
見た目はノーマルだけど半分アルビノって感じね。
こういう個体を「アルビノへテロ」って言うんです。

そして産まれたアルビノへテロを育てて、親のアルビノと交配させます。
こういうのを「戻し交配」っていうんですね。
産まれてくる子ヘビは、2分の1がアルビノで残りがアルビノへテロです。
そして、さらに育ててアルビノ同士で交配させると、今度は産まれてくる子ヘビ全てがアルビノとなるわけです。
このようにしていけば、アルビノを固定することができるんですね。
この過程で別血統の個体も繁殖に参加させていけば、遺伝的な問題も解決できます。

ちなみにアルビノへテロ同士で交配させると、4分の1がアルビノ、残りの4分の3はヘテロとさらにアルビノ因子を全く持たないノーマル個体が産まれます。
このような個体を「66%ポッシブルヘテロ」と言うんですね。
例えば4匹の子ヘビが産まれたとします。1匹はアルビノで残り3匹のうち2匹はヘテロで1匹はノーマルなんです。
この3匹、見た目はノーマルでどれがヘテロなのかは区別ができません。
だから「66%の確立でヘテロが含まれてますよ」っていうことなんですね。

学生時代習いましたよね?「メンデルの法則」。
授業では全く理解できなかったけど、ヘビを飼えばよく理解できますよ。


「遺伝はヘビで覚えよう」
貴重な個体を提供していただいた、土田さんに感謝いたします。
大切に飼育しないとね。
あー焼酎にされなくて良かったわ・・まじで・・・

小さな後悔。

あのね、今年のカンボジアモエギハコガメの卵、孵化に失敗しちゃいましてね。
毎年恒例の孵化に失敗するとは、いつも通り詰めが甘い。



こんなに元気な卵だったのにね。
もう今じゃカビだらけで、ケセランパセランみたいになってますよ。

原因はわかってるんです、この種の孵化でとっても大切な条件は「通気性」。
まあモエギハコガメに限らずアジアの森に暮らすカメってのは、他種とは違って産卵時に深い穴を掘らない。
落ち葉や倒木の下なんかにかるーく産み付けるって感じなんですね。
地表近いその場所は通気性が良くて、それが孵化の成功に関係しているんだろうってのが僕の持論。
現に他種のように、密閉された環境だと卵はすぐに死んでしまってましたしね。
この事は対外的に発表する時には、いつも口をすっぱくして言ってたんですよ。


でもね、今回はいつもと違う方法をとってしまいまして・・・
通気性が悪かったんだな・・・・
結果失敗してしまいました。



人はね、誰しも後悔しないよう生きていきたいもんですよ。
でも実際は、日々小さな後悔をしながら暮らしてるってのが現実なんだな。

今夜もね、風呂上りにトイレに行ってしまいましてね。
トイレに座りながら、ふと思ったんですよ。
「なんで風呂入る前に行っておかなかったんだろう」ってね。
あんなにご機嫌だった入浴タイムが、一瞬で水の泡ですよ。

まあそんな矛盾も愛し、受け止め、前向きに生きていこうと思ってますよ。
いざとなったら妄想の世界に逃げ込めば済むことです。




ロッケンロール!

青く塗れ!

皆様ご無沙汰しております。
またまた久々に更新させていただきますね。
いやーここ1ヶ月間もいろいろありましたよ。
紹介しきれないくらいいろいろあったので、また胸の奥にしまっておきますね。

あっ前回紹介しました伝説のアオダイショウ、「エゾブルー」も無事に孵化しております。
こちらです
20080908-00.JPG

うん、ものすごく普通。
まあね、アオダイショウってのは生まれた時はどれも同じなんです。
これから成長にともない、どんどん発色し、妖艶な美しさを醸し出していくんですよ。
まあ1年もしたら、ものすごく美しい青色2号になってると思いますよ。
ほんとに楽しみです。


んでこちらも孵化しております。



シマヘビね。
20080908-02.jpg

こちらが産卵したときの様子。
♂親はノーマルシマヘビ、♀親は黒化型のカラスヘビね。
んでもって子供は全部ノーマル。

やっぱね、何万回も言いますけど、身近な種こそコツコツ真剣にやっていかなくてはなりませんね。
愛すべきヘビ達よ、オレに飼育されて幸せかい?


20080908-03.JPG


20080908-04.JPG

今回生まれた子の親御さん達です。
千年に一度見れるか見れないかの完璧なトグロでございます。

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