札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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『爬虫類館』カテゴリーの投稿一覧

日本産爬虫類の巨匠。星野氏来園。

爬虫類好きなら誰もが知ってるこのお方、星野一三雄氏。
生活総合情報サイト「ALL ABOUT」の「爬虫類・両生類」を管理されているお方です。
先日、遠き宮崎から当園に遊びにきてくれました。

以前メールで何度かやりとりしたことはあったのですが、お会いするのははじめて。
まあお互い「爬虫類バカ」ってことで逢った瞬間からハイジとクララですよ。

おみやげはもちろん「宮崎地鶏真空パック」と「焼酎」。
下戸の僕には豚に真珠、スペングラーヤマガメにモロヘイヤでしたが
「泥酔会」(べろんべろん会)なる秘密結社を率いていた酒好きの父に飲んでもらう予定でおります。
ありがとうございます。

星野氏の専門は日本産の爬虫類両生類。
飼育ばかりではなく、フィールドワークもこなす筋金入り。

3時間程爬虫類について議論し、その後僕の家へ。
いやーほんとに刺激的なお話をたくさん聞けてよかったです。

んでずーっと星野さんに聞いてみたかった質問を一つ
「どーしてサイトを管理してるのですか?ものすごい大変ですよね?」

「モチベーションを保ち続けるためですよ。」と即答。
自分ばかりではなく、日本の爬虫類飼育技術向上のため自ら荒波に身を置くその姿勢。
本当に頭が下がります。勉強させていただきました。

動物園業界においては
「ドタキャンの本田」「最もあてにならない男」として名を馳せている次男坊な僕としては、
爪の垢をそのままむしゃぶりつきたい気分でした。

これからも情報発信基地として、さらなるご活躍を期待しております。
星野さんに感謝。


では
最後は僕が手塩にかけて育て上げた日本一美しいアオダイショウで締めくくらさせていただきます。
日本一美しいアオダイショウ

さよならのかわりに

全国1200万人のアナコンダファンの皆様こんばんは。

アナコンダが脱皮いたしました。なんともいえない美しさでございます。
アナコンダ
脱皮前。体全体が白濁し、艶もないです。目も白いでしょ?

んで脱皮直後
ツヤツヤ
ツヤツヤです。この妖艶さは、かたせ梨乃でも出せないでしょう。


世界最長のヘビはアジアに住むアミメニシキヘビで全長9.9mという公式記録があります。
でも体重ではダントツ、アナコンダ。たぶんアミメニシキは最大でも100kg程度だと思われます。
でもアナコンダは、記録では体長9m、体重250kg・・・・・半端じゃねーぜ。

んでうちの個体は現在体長4m半の♀。たぶん国内では最大級の個体だな。
太さは僕の太ももくらいあります。
こいつは本当に愛しい個体、大切に育ててるんだなー。

動物園に来た時は長さこそ4mありましたが、ガリガリ激やせ。
背骨は浮き出て、骨と皮膚だけの爪楊枝みたいな状態。
あーこりゃ死ぬな・・・・・不安が脳裏を過ぎりましたね。

アナコンダは水中で暮らすヘビです。体が重いんで浮力を利用しながら生きてるわけです。
とりあえず大きなプールのある展示場にてゆっくりケアすることに。

うちの個体はどっかのイベントで展示(アマゾン展)されていて、終了後に円山にやってきました。
イベントの飼育環境なんて最悪ですよ、不適切な環境でストレスかかりまくりで状態も最悪です。

案の定餌をまったく食べません。当然ですね。
爬虫類はまず餌を食べさすことに苦労することが多いんですよ。
それぐらい繊細な生き物なんです。餌を拒否し続けてそのまま死ぬ個体もいます。

強制的に餌を食わす方法もあるのですが、あせらず待つことに。
ここであせれば全てが台無しです。しっかり観察しながらタイミングを見極めます。
んで待つこと半年・・・・・・・

やっと1匹のラット(でかいネズミ)を飲み込みました。
粘り勝ちですよ。いやーこの時はほんとにうれしかったなー。

その後は順調に餌を食べどんどん太くなっていきました。
掃除の時なんて飛びかかってくることもありますからねーまじ気がぬけないっす。

このヘビ世話してて思うんですけど、ほんっとに変わってますよ。
他のヘビとは発するオーラが全然違いますからね。
独特の雰囲気を醸し出してて、何となく読めないヘビなんです。

僕は中学生の時から家でいっぱい大蛇を飼ってたから(近所の方へ、今はいませんよ)
でかいヘビの扱いは慣れてるんです。でもアナコンダはなんか違う。すげー。とにかくすげー。

今では、2,3ヶ月に1度ラットを10匹前後食わしています。
ゆっくりどんどんでかくして、世界最大のアナコンダにするつもりでおります。

そして体長9,5mに達した時、最後は僕自らが彼女に飲まれて飼育人生を引退するのです。
涙を流しながら展示場の真ん中に白いデッキブラシを1本おいて・・・・・

辛くはないわ、この東京砂漠

クモノスガメの展示場です。
クモノスガメの展示場

カッサカサです。湿度20%です。人間だったら速攻でインフルです。

クモノスガメに対しては毎年12〜2月まで、「カッサカサ飼育」をしております。
展示場の散水を減らし砂漠化させてしまうのです。
この時期のカメたちはまさにカッサカサです。ほとんど動きません、てゆーか動けません。
あえて過酷な環境にさらして、カメの活動スイッチをオフにしてるのです。

餌は通常期は週に3回、でもこの時期は週に1〜2回程度で量も質も下げております。
んで餌を与える前はお風呂に入れ温浴させ、水も飲まします。
ちょっとだけスイッチを入れてあげるのです。
ゼンマイを少しだけ巻いてあげるって感じです。短時間動けるけどまたすぐに止まってしまう状態ね。

んじゃなんでわざわざそんなことするの?って話ですよ。

クモノスガメはマダガスカルに生息しています。
雨期と乾期がある場所です。んで夏は高温で多湿です。そして冬は低温で乾燥してます。

彼らが活動するのは温暖で多湿な雨期。
この時期に栄養を十分とって繁殖も行ない、乾期にはほとんど活動しません。
だから年間に活動している期間って実は結構短いんですよ。
温帯に生息している爬虫類もそうです。冬は冬眠してしまいますからね。

でも動物園という環境は動物に対して常に良い環境を提供するのが普通です。
常に快適な環境を提供し、いつでも活動できる状態を保っているわけです。
動物園で展示している温帯産の爬虫類達も冬眠することなく年中快適な温度の中で暮らしてます。
冬眠なんかしなくても普通に元気だし餌もよく食べてます。


が、しかーし!

実は長期間の快適な状態に耐えられない種もいるんだなこれが。
それがズバリ、
このクモノスガメと同じマダガスカルに生息する「ヒラオリクガメ」(バックヤード飼育・非公開)。
特にヒラオリクガメはほんとに弱い・・・

野生動物ってのは、種それぞれの生息地の環境の中で進化・適応してきた存在。
だから本来であれば、その生息地の環境(温度や湿度、日長時間、食物など)の中でしか
体調や繁殖など生活そのものを持続させることができないわけです。

んなーこたーない!動物園の動物は元気に長生きしてるじゃねーか!って思う方もいるでしょう。
正解です。

普通の動物達は「適応能力」ってものがあって快適な環境に適応して野生よりも長く生きれるんです。
通常哺乳類や鳥類などの恒温動物は適応力が強いっす。動物園の中では元気に長生きできる部類。
(長生きはできでも繁殖ができるかは別問題。それはまた今度)

しかし、きわめて特殊な環境で暮らす動物、または爬虫類を含む変温動物(外温性動物)などは
適応能力が低い。

特にリクガメは長命な動物。
10年くらい飼育したからって飼育法が正しいとは言えないんですよ。
50年以上元気に維持してれば良い環境ですねっ言えるくらい。
「ソロモンの指輪」でローレンツ博士も言ってます。
「リクガメは飼育をはじめた時から死がはじまってる」ってね。
例えばリクガメを飼育してて20年で死んでしまったとします。
それは20年も生きたんですねーではなく、20年かけて死んでいったというだけなんです。
本来であれば100年生きる動物ですよって。

爬虫類の中で常時快適な環境で問題がでずらいのは赤道付近に生息する種類。
赤道直下は気候変動も少なく、常時安定していますからね。
しかし熱帯であろうが、温帯であろうが安定した自然環境ってのはありません。

冷たい雨期もあれば、あったかい雨期もあるし
灼熱の乾期もあればマダガスカルのように低温の乾期もある
北海道のように寒い冬もあれば、沖縄のように温暖な冬もあるわけです。
ぜーんぶ地域によってバラバラ。

んでここですんごく重要なキーになるのが「基礎代謝」。
恒温動物ってのは体温を維持できます。
そのかわり体温を保つために食べ続けなきゃいけないわけです。
燃費が悪いんですよ。

人間も冬は体温維持のために多少代謝が上がり食欲も増しますけど、
夏であろうが冬であろうがちゃんと規則的に食事をしないと体がもちませんよね?
恒温動物は基礎代謝が高く、常時「一定」だからです。

でも爬虫類のような変温動物の場合、体温を保つことができません。
寒くなれば体温は下がりそのまま動かなくなるだけ。
冬眠中は半年であろうと1年であろうと飲まず食わずでも全然平気です。
燃費が良い。


爬虫類は、
温暖で雨が降る時期にだけ代謝が上がり活動します。
んで暑すぎたり寒すぎたりする時期は代謝が下がり動かない。
つまり哺乳類とは違い、生息地の中で大幅な基礎代謝の変化を経験するわけです。

一見「冬眠」や「夏眠」ってのは動物にとっては過酷なだけで意味のない行為に思えますよね?
まして飼育において再現することなんて残酷だ!と思われるでしょう。

でも僕は最初に述べました、彼らはその環境の中で進化適応してきたと・・・
「冬眠」「夏眠」といった過程の中で経験する「代謝の変化」は生きていくために
非常に重要なことなんです。体調の維持や繁殖、生理のリズムを整えるために必要なことなんですよ。

だから爬虫類の飼育には「代謝のコントロール」ってのも常に考えていかないといけないわけです。
温度や湿度や光や餌なんかを積極的にいじりながらね。

んじゃいよいよ答えです。
クモノスガメやヒラオリクガメ、常時快適環境(高温で多湿)で飼育すると
結局最後には「オーバーヒート」しちゃうんですよ。
代謝のスイッチを切って休ます時期が必要なんです。

丈夫なエンジンもまわしっぱなしだと壊れてしまうわけです。
数年は平気でも最後には体のあちこちに負担がかかって病気になってしまうんですね。

ヒラオリクガメなんてまだ7cmくらいの子ガメですが、期間中の3,4ヶ月は全く餌も食べないんですよ。
でも痩せもしないし、体調も崩しません。
代謝が低下してエネルギーを使わないから食べなくても平気なんです。

毎年3月くらいから、温度も湿度も上げていきます。
んで餌の回数も増やし、新鮮な野草や花をたくさん食べさせるんです。
日長時間も伸びてますんで、この時期彼らは積極的に繁殖活動を行なうんですよ。
動物園でも2年前からやっと産卵するようになりました。
孵化までは成功してないんですけどね。

ヒラオリクガメ

すんげー長くなっちゃいました。ごめんちゃいね。
Deepだから仕方ないんですわ。

危険なあいつとメロンネット

えー全国200万人の大蛇ファンの皆様こんばんは。

ビルマニシキヘビのアルビノ(突然変異による色素欠乏した個体)が脱皮しました。
脱皮直後のヘビは本当に妖艶で美しい。

ビルマニシキヘビ

アルビノ個体は視力が弱い個体が多いため、ノーマルに比べると神経質で敏感な面が多々あります。
例にもれず、この個体も神経質で攻撃的な面をもっております。

んで僕はこいつに頭を噛まれたことがるんです。
てゆーか獲物と間違えられて本気締められたことがあるんです。
いやーほんとにうかつでした。

掃除のため、ヘビの部屋に入った直後、背後から後頭部にガブリンコ。
ドアのすぐ上のでっぱりで休んでいたヘビ、僕は位置確認せずに入ってしまったんですね。
しかも運の悪いことに、僕は餌用のネズミを飼育している部屋から戻ってきた直後だったんですよ。

ヘビは非常に臭いに敏感な動物です。ヘビって舌をチロチロだしてますよね?
あれは臭いを嗅いでるんですよ。
空気中の粒子を舌にくっつけてそれを頭の中にある「臭いを分析する器官」に送り込んでるんです。
んでヘビって二枚舌ですよね?
あれは舌の表面積を広げてより多くの粒子をくっつけてやろうって魂胆なんです。
そんだけ臭いを頼りに生きてる動物なんですね。

だから体中ネズミの匂いをくっつけてきた僕は完全に「獲物」なんですわ。
単なる攻撃で噛んできたんなら大した事はありません、すぐに放しますしね。
しかし今回は獲物・・・・入った途端に本気でロックオン。

あっ噛まれたっと思った瞬間、太い胴体でグルグルギューッです。
ニシキヘビの武器は太い胴体、これで獲物の鼓動が完全に止まるまで締め付けるんです。
いやー奴さん本気でしたねー、確実に僕を絞め殺そうとしてましたから。

端から見ればほんと異様な風景ですよ。
展示場内で、痩せたおっさんが頭に白い大蛇を巻きつけて空虚な目でポツリと立ってるんですから。
ターバンを巻いてるかのごとく・・・・・

その時多くの来園者の方がその瞬間を見てたんですよ。
でもなぜか皆さんふつーに微笑ましい顔してるんですよね。
てゆーか噛まれたことに気付いてないんです。獲物を狩る奴さんの動きが早すぎて。
「あーちょっと心が病んでる飼育係がヘビとたわむれてるねー楽しそうだねーハハー」
ってな感じなんです。

「おっ!ばれてない!ラッキー!」
だって爬虫類の担当者がニシキヘビに食われかけてるんですよ?
こんな恥ずかしいことってないっすよ。

だから僕も「噛まれてなんかいませんよー」ってな調子でヘビをゆっくり頭から外したんです。
まあ牙は完全に食いこんでたんで少し時間はかかったんですけどね。
バレないよう、完全に死角になるよう立ち位置にも必死ですよ。
そのうちヘビも獲物じゃないことを認識して力をゆるめて大人しくなりました。

んですぐに展示場を出てお客さんたちのもとへ走りましたね。
ほんとに気付いてないのかの確認と「ただ遊んでただけなんですよー」って伝えに。

そしたらお客さん「いやーよく慣れててかわいいーヘビですねー」って。
おっほんとに気付いてない・・・・・
だから僕も気を良くして、ちょっとハイテンションでヘビについてガイドしてたんですね。
でも少したって皆さんザワザワしだしたんですよ。さっきまでの笑顔も消えてるし。

「ん?どしたの?」と僕。「いや、それ・・」ってお客さん。
指差す方向を見たらすごいことになってましたよ。
大量の流血。もちろん僕の頭から背中にかけて。

その時点で皆さん、全てを理解されたようです。
「あっこいつ噛まれてたんだ。ターバン巻いた陽気なインド人じゃないんだ」って。

もう恥ずかしくてなのか流血でなのかもわかんないくらい顔真っ赤ですよ。ほてりまくりっすよ。
その後事務所に下がって獣医さんに消毒していただきました。

そして被りましたよ、あのネットみたいなやつ。
メロンについてるような。

その晩は涙で枕ぬらしました。


では今夜はこのへんで・・・・・・

次回は「今度は巨大アナコンダに噛まれる」の巻きです。

では。

交尾のさせかた(カンボジアモエギハコガメ編)

3日前から湿度を下げカラカラにしとく


飼育ケージ内の物(水入れや隠れ家)を全部とりだす

♂のケージに♀を入れる

上からぬるま湯をたっぷりかけて湿度を上げる(カメにもかけてね)

10分待つ(覗いちゃダメよ)

んで・・・・・・・

カンボジアモエギハコガメ01

交尾成立

行為が終わったら(30分程度)再び♀を取り出し元のケージへもどす

最近♂の行動がもちょもちょしてきたため本日交尾を実施いたしました。
2月に入ると日長時間がのびますよね、爬虫類館は年中暖房しているんで、本来繁殖行動を引き出すために必要不可欠な「温度変化」を提供してやることができないんですよ。

だから、この日長変化を利用して発情のタイミングを調整しているんです。
2月に♂と♀の「やる気」が最高潮に達するように飼育管理を行なうのです。
彼らの行為がスムーズにいくよう事前にしっかりお膳立てをして、
最高のムードを演出してあげるのが飼育係の役割なんですよ。

他に2月に「やる気」を設定しているのは「ヨウスコウワニ」
動物園に来た際は観察してみてくださいね。
あと、かるーく展示場のガラスをドンって叩いてみてください。
きっとエキサイティングな光景を目の当たりにすることができますぜい。

カンボジアモエギハコガメ02

交尾を終えた♂
恍惚の表情・・・・・・・・

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