札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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『脱皮』タグの付いた投稿

さよならのかわりに

全国1200万人のアナコンダファンの皆様こんばんは。

アナコンダが脱皮いたしました。なんともいえない美しさでございます。
アナコンダ
脱皮前。体全体が白濁し、艶もないです。目も白いでしょ?

んで脱皮直後
ツヤツヤ
ツヤツヤです。この妖艶さは、かたせ梨乃でも出せないでしょう。


世界最長のヘビはアジアに住むアミメニシキヘビで全長9.9mという公式記録があります。
でも体重ではダントツ、アナコンダ。たぶんアミメニシキは最大でも100kg程度だと思われます。
でもアナコンダは、記録では体長9m、体重250kg・・・・・半端じゃねーぜ。

んでうちの個体は現在体長4m半の♀。たぶん国内では最大級の個体だな。
太さは僕の太ももくらいあります。
こいつは本当に愛しい個体、大切に育ててるんだなー。

動物園に来た時は長さこそ4mありましたが、ガリガリ激やせ。
背骨は浮き出て、骨と皮膚だけの爪楊枝みたいな状態。
あーこりゃ死ぬな・・・・・不安が脳裏を過ぎりましたね。

アナコンダは水中で暮らすヘビです。体が重いんで浮力を利用しながら生きてるわけです。
とりあえず大きなプールのある展示場にてゆっくりケアすることに。

うちの個体はどっかのイベントで展示(アマゾン展)されていて、終了後に円山にやってきました。
イベントの飼育環境なんて最悪ですよ、不適切な環境でストレスかかりまくりで状態も最悪です。

案の定餌をまったく食べません。当然ですね。
爬虫類はまず餌を食べさすことに苦労することが多いんですよ。
それぐらい繊細な生き物なんです。餌を拒否し続けてそのまま死ぬ個体もいます。

強制的に餌を食わす方法もあるのですが、あせらず待つことに。
ここであせれば全てが台無しです。しっかり観察しながらタイミングを見極めます。
んで待つこと半年・・・・・・・

やっと1匹のラット(でかいネズミ)を飲み込みました。
粘り勝ちですよ。いやーこの時はほんとにうれしかったなー。

その後は順調に餌を食べどんどん太くなっていきました。
掃除の時なんて飛びかかってくることもありますからねーまじ気がぬけないっす。

このヘビ世話してて思うんですけど、ほんっとに変わってますよ。
他のヘビとは発するオーラが全然違いますからね。
独特の雰囲気を醸し出してて、何となく読めないヘビなんです。

僕は中学生の時から家でいっぱい大蛇を飼ってたから(近所の方へ、今はいませんよ)
でかいヘビの扱いは慣れてるんです。でもアナコンダはなんか違う。すげー。とにかくすげー。

今では、2,3ヶ月に1度ラットを10匹前後食わしています。
ゆっくりどんどんでかくして、世界最大のアナコンダにするつもりでおります。

そして体長9,5mに達した時、最後は僕自らが彼女に飲まれて飼育人生を引退するのです。
涙を流しながら展示場の真ん中に白いデッキブラシを1本おいて・・・・・

危険なあいつとメロンネット

えー全国200万人の大蛇ファンの皆様こんばんは。

ビルマニシキヘビのアルビノ(突然変異による色素欠乏した個体)が脱皮しました。
脱皮直後のヘビは本当に妖艶で美しい。

ビルマニシキヘビ

アルビノ個体は視力が弱い個体が多いため、ノーマルに比べると神経質で敏感な面が多々あります。
例にもれず、この個体も神経質で攻撃的な面をもっております。

んで僕はこいつに頭を噛まれたことがるんです。
てゆーか獲物と間違えられて本気締められたことがあるんです。
いやーほんとにうかつでした。

掃除のため、ヘビの部屋に入った直後、背後から後頭部にガブリンコ。
ドアのすぐ上のでっぱりで休んでいたヘビ、僕は位置確認せずに入ってしまったんですね。
しかも運の悪いことに、僕は餌用のネズミを飼育している部屋から戻ってきた直後だったんですよ。

ヘビは非常に臭いに敏感な動物です。ヘビって舌をチロチロだしてますよね?
あれは臭いを嗅いでるんですよ。
空気中の粒子を舌にくっつけてそれを頭の中にある「臭いを分析する器官」に送り込んでるんです。
んでヘビって二枚舌ですよね?
あれは舌の表面積を広げてより多くの粒子をくっつけてやろうって魂胆なんです。
そんだけ臭いを頼りに生きてる動物なんですね。

だから体中ネズミの匂いをくっつけてきた僕は完全に「獲物」なんですわ。
単なる攻撃で噛んできたんなら大した事はありません、すぐに放しますしね。
しかし今回は獲物・・・・入った途端に本気でロックオン。

あっ噛まれたっと思った瞬間、太い胴体でグルグルギューッです。
ニシキヘビの武器は太い胴体、これで獲物の鼓動が完全に止まるまで締め付けるんです。
いやー奴さん本気でしたねー、確実に僕を絞め殺そうとしてましたから。

端から見ればほんと異様な風景ですよ。
展示場内で、痩せたおっさんが頭に白い大蛇を巻きつけて空虚な目でポツリと立ってるんですから。
ターバンを巻いてるかのごとく・・・・・

その時多くの来園者の方がその瞬間を見てたんですよ。
でもなぜか皆さんふつーに微笑ましい顔してるんですよね。
てゆーか噛まれたことに気付いてないんです。獲物を狩る奴さんの動きが早すぎて。
「あーちょっと心が病んでる飼育係がヘビとたわむれてるねー楽しそうだねーハハー」
ってな感じなんです。

「おっ!ばれてない!ラッキー!」
だって爬虫類の担当者がニシキヘビに食われかけてるんですよ?
こんな恥ずかしいことってないっすよ。

だから僕も「噛まれてなんかいませんよー」ってな調子でヘビをゆっくり頭から外したんです。
まあ牙は完全に食いこんでたんで少し時間はかかったんですけどね。
バレないよう、完全に死角になるよう立ち位置にも必死ですよ。
そのうちヘビも獲物じゃないことを認識して力をゆるめて大人しくなりました。

んですぐに展示場を出てお客さんたちのもとへ走りましたね。
ほんとに気付いてないのかの確認と「ただ遊んでただけなんですよー」って伝えに。

そしたらお客さん「いやーよく慣れててかわいいーヘビですねー」って。
おっほんとに気付いてない・・・・・
だから僕も気を良くして、ちょっとハイテンションでヘビについてガイドしてたんですね。
でも少したって皆さんザワザワしだしたんですよ。さっきまでの笑顔も消えてるし。

「ん?どしたの?」と僕。「いや、それ・・」ってお客さん。
指差す方向を見たらすごいことになってましたよ。
大量の流血。もちろん僕の頭から背中にかけて。

その時点で皆さん、全てを理解されたようです。
「あっこいつ噛まれてたんだ。ターバン巻いた陽気なインド人じゃないんだ」って。

もう恥ずかしくてなのか流血でなのかもわかんないくらい顔真っ赤ですよ。ほてりまくりっすよ。
その後事務所に下がって獣医さんに消毒していただきました。

そして被りましたよ、あのネットみたいなやつ。
メロンについてるような。

その晩は涙で枕ぬらしました。


では今夜はこのへんで・・・・・・

次回は「今度は巨大アナコンダに噛まれる」の巻きです。

では。

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