札幌100マイル

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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

by zoohonda

zoohonda
プロフィール

本田 直也

◆ 1976年 札幌生まれ
◆ 1996年より円山動物園勤務
◆ 担当は爬虫類館と猛禽類のフリーフライト
◆ NPO法人日本放鷹協会認定 諏訪流鷹匠。

春から夏は爬虫類を求め、北海道、沖縄のフィールドワークへ、
秋から冬は愛鷹、愛犬と共に鷹狩りへと素敵な日々を送っている。

鷹やら犬やら爬虫類やらと山の方で暮らしている。


投稿したブログ数:395件

冬眠展示。

爬虫類・両生類館は「展示しながらも冬眠が可能」という画期的な施設になっているわけですが、今年はヘビ年ということでヘビ達の出番が多く冬眠開始が遅れておりました。
2月に入り干支展も終わりましたので、ちょっと遅いですが冬眠展示の準備に入りました。
今回の冬眠展示は北海道産ヘビ類、両生類のゾーンが対象です。


展示場の様子はこんな感じ。
まあはっきり言って照明が薄暗いだけで夏場と何も変わりません。



ヘビの様子。


夏場と同様、いつもの場所でいつものようにじっとしております。
風雪に晒されるわけでもないですし、部屋全体が冬眠に適切な環境に保たれているのでどこかに潜り込んだりする必要はないんです。

エゾサンショウウオとエゾアカガエルは低温になってくると水に入ります。



現在温度は7〜10℃。



この施設は外気を直接入れることで温度を下げています。
ダイヤルをイジリながら風量を調節していくんです。



外気はこの蛇腹から入ってきます。
これも位置を調整しながら効率的に温度を下げていきます。


爬虫類・両生類館は高断熱、高機密で魔法瓶のような構造になっているんですが、冬眠可能な展示ゾーンはさらに断熱材で包まれています。
魔法瓶の中にさらに小さな魔法瓶がいくつも入っている感じです。
まあドア一枚開ければ隣は熱帯のゾーンですからね。
周りに影響を与えずに特定の場所を冷やすには、このような構造にする必要があるんです。

現在の設定温度は7℃。
−10℃まで調整できます。



外気を直接入れていくので、そのままだと凍ってしまいます。
だからサーモと暖房を連動させて、ゆるく暖房しながら適切な温度を保っているんです。



ハイテクと思わせて実はすごく単純な仕組みなんです。
正直ハイテク装置は使い物にならないんですよ。
故障が多かったり、修理費用も高額だったりで結局は機能しなくなることがほとんど。
繊細な野生動物の環境作りを全て機械まかせってのもなんだか怖いし信用できませんしね。

やっぱりね、頼るべきものは人間の肌感覚なんですよ。
それを前提にした上で、シンプルな仕組みで故障しても簡単に修理可能な設備を導入するのがベストだと思います。

動物飼育ってのは人為的に環境を作ること。
こういった飼育環境作りに直接関係する設備に関しては、飼育員が直接管理していかないと話になりません。

では皆さん、夏場とほとんど変わらない貴重な冬眠の様子を是非観察してみてくださいね。




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