札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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蝦夷のスネークハンター。

ご無沙汰しておりました。
ほんと夏はいろいろあって大変ですよ。
特にこの一ヶ月は公私共にいろいろなことがありましてね。
たくさんお伝えしたいこともあるのですが、ここはやはり心の中に締まっておきます。
ブログの更新も滞っておりましたが、心のブログは毎日更新しておりましたよ。

実は今ヘビの調査を行っておりましてね。
全道から情報を募っているところなんですよ。
探しているヘビというのはこれ


シロマダラというヘビです。(撮影 徳田龍弘氏)
本州、四国、九州などに分布している小型のヘビです。
夜行性で発見例も非常に少なく幻のヘビと呼ばれているんですよ。
北海道では過去札幌の南区と奥尻島での発見例がありましてね。
一応北海道にも分布していることにはなっているんです。
でも発見例が少なすぎて、ほんとに分布しているかは疑問だったんですね。
荷物とかに紛れ込んで本州からやってきたんではないかって。

でもね、昨年ある方から北海道の厚田で撮影されたヘビの写真が送られてきたんですよ。
んで見てびっくりシロマダラだったんです。
あらーシロマダラいたのかー!って感じでほんと驚いてしまいましてね。
そして急遽、円山動物園、酪農学園大学、野生動物写真家の徳田さんにも協力していただきシロマダラ調査隊を結成したんですよ。
徳田さんはほんとすごい人でしてね。
爬虫類業界ではカリスマ的スネークハンターなんですよ。
http://baikada.com/PC/

自分達で探すのはもちろん、開発局や自治体などにも協力いただいて情報収集を行っているんですね。
これが配布しているチラシです。
http://baikada.com/shiromadara/shiromadara.pdf
皆様もこのチラシを印刷して、ご近所、ご親戚にお配りしてくださいね。

まあそんなこともあって目撃情報もちらほら集まってきております。
あと明治時代に書かれた北海道厚田地区の探検記なんかも発見されましてね。
なんとそこにはシロマダラのことが記載されているんですよ。
そう、間違いなくシロマダラは北海道にもいるんです。
でも生息しているにも関わらず、全然目撃されてないってことがほんと不思議でしてね。
まさに幻のヘビでございます。



昨年シロマダラが発見された場所。
落ちたら即死の断崖絶壁。
昨年は夜な夜なここに通いましてね。
落石ゴロゴロの中、命綱なしでこの崖をひたすら登って横移動しながら探してたんですよ。
でもやはり相手は幻のヘビ、そう簡単には見つかりません。
見かけるのはマムシやコウモリだけでしたよ。

今年は断崖絶壁は危険すぎるので中止して、主に山中を探索しております。



こんな道を蛇眼力を駆使しながら黙ってひたすら歩き続けるんです。


土佐、足利両飼育員も出動しております。

では皆様、もし近所でシロマダラを発見したらすぐに円山動物園までお知らせください。
共に伝説を作りましょう。

妊婦さんに誘われて

以前紹介した伝説の場所。
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/35
通称「ヘビオトープ」。
野生のヘビ達が集団生活をおくっている場所でございます。

ヘビの求愛が活発になるのは春、日長、温度の変化が刺激となって発情いたします。
交尾はだいたい5~6月にかけてですね。


野生のヘビの交尾画像(激レア)

そんで産卵がはじまるのは7月に入ってから。
8月になる前にほとんどの個体が産卵を終えてしまいますね。
だから7月ってのはヘビ達にとって人生最大のイベントの時期なんですよ。

この時期♂ってのはほとんど姿を見せませんね、早朝にょろっと活動する程度です。
日中は強い日差しを避けて隠れてるんですよ。

んで日中でも姿を見せてるのは9割方♀です。
しかも全てお腹に卵を持った妊娠個体。



これはシマヘビね。
この妊婦さんはかなりでかいです、たぶん10個くらいの卵を持っていると思いますね。




こちらもシマヘビ、彼女はここで暮らす最も美しいシマヘビなんですよ。
産まれて来る子ヘビ達もさぞ美しいことでしょう。
隣でトグロ巻いてるのはアオダイショウの♂。




20070718-02.JPG

そしてアオダイショウ。
彼女も非常に美しい個体です。




20070718-03.JPG

こちらもアオダイショウ。
腹パンパンですよ。
「産ませてよ!」って感じでございますね。




20070718-04.JPG

こちらはちょっと見づらいけど、仲良く並ぶ二匹の妊婦さんです。
右側の個体はまだ若いですね、初産かもしれません。
「ねえ、マタニティー教室って行ったほうがいいの?」
「んー強制参加ではないからね、でも呼吸法は覚えたほうがいいわよ」
若い個体は少し神経質でしたね、マタニティーブルーってやつですかね。

まあこんな感じで、この時期の♀ってのはみんな卵を持っているわけです。
当然お腹の卵を冷やすわけにはいきませんよね、だから長時間の日光浴をするんですよ。
あと、前回説明した紫外線とビタミンDの話ね。
太陽を浴びることでより卵の卵殻の形成を促進させてるんだと思います。

たぶんこのヘビ達も数日中には産卵しますね。
突然姿を見せなくなったら産卵に入った証拠です。
だから産卵日ってのもだいたい推測できるんですよ。

いやーとりあえずうちの妊婦さん達を紹介してきたけど、みんな美しく魅力的な個体ばかりですよね。
やっぱ円山のビバリーヒルズで暮らしてるヘビってのはどっか一味違うんですよ。


20070718-05.JPG

ではまた。

ヘビフィーバー

お久しぶりです。
お久しぶりです、英二さん。

皆様、ゴールデンいかがお過ごしでしょうか?
僕は偏頭痛がひどいです。
コメカミがズキズキします。
中に何者かが住んでる感じがします。
たぶんコロポックルかなんかだな。

いやーでも今日は良い日でしたよ。
円山動物園内には「ヘビの巣」があるんですね。
そこには野生のヘビ達がたくさん住んでるんですよ。

んで僕は春から秋にかけて毎日観察して記録を取ってるんです。
もう7年くらいになりますな。

例年なら4月の中旬~下旬くらいには第一陣のヘビ達が冬眠から起きて活動開始するんです。
でも今年は気温が不安定だったもんで5月に入っても全然姿をみかけない。

でもね、ここ数日の陽気で一気に活動開始ですよ。
今日観察できた一部始終を貴重な画像と共にお送りいたします。
長いですぜ。そしてしつこいですぜ。

まず発見したのは彼。


シマヘビの♂。まあこの時期うろうろしてるのは大抵♂です。
♀を探してさまよってるんですよ。
すごくでかい個体です。そして腹がパンパン、捕食した後だったんでしょうね。

次はいきなり真打登場、我らが世界に誇る「アオダイショウ」です


これも♂、非常に美しい個体。
まあ毎年会ってるんですけどね。
実は僕、ここのヘビ達とはほとんど顔見知りなんですよ。
すげーべ。

そしてふと横の橋を見てみると・・・ん?あれはもしや・・


走り寄ってみると求愛の真っ最中、アオダイショウのペアね。
ヘビ達は冬眠明けすぐに繁殖期に入るんです。
下が♀、この♀も毎年見てるんだよなーでもあまりキレイじゃないんだよね。
この状態から交尾に至るまで早ければ10分程度、だからカメラを構えて待っていたんです。


レンズを通して観察していると・・・ん?
20070505-06.JPG

邪魔者登場。こういう奴ってどこの世界にも絶対いるんですよ。
特にここは局所的にたくさんの個体が暮らしてるんで、日々ニアミスなんです。
秘め事は隠れてやらんとね、こんな目立つ場所は良くないな。

そして何気に横を見てみると・・・・
さらにもう1匹がずんずんこちらへ。
20070505-07.JPG

もう4匹で絡み合いです。
20070505-08.JPG

最初に居た♂はすぐに逃げて僕の尻の下に隠れました。

すごい絵ですよね、これヤラセじゃないですから。
僕はいつも周りから嘘つき扱いされるんですよね。
普通に日常の出来事を話してるだけなのに。
んで後日「え?あれほんとだったの?」ってね。
20070505-09.JPG

こういう状況でもアオダイショウってのは闘争しないんですよ。
彼らはただ本能の赴くまま行動しているだけ。
無駄なことは一切しないんです。
生粋の平和主義者。
ほんと良い奴なんですよ。

その後結局全てバラバラ、♂達は橋から下へ降りていっちゃいました。
20070505-11.JPG

かわいそうなのは残された♀、この顔見てくださいよ。
ボッツーンですよ、しばらくピクリともしなかったですから。


んでバラけた♂達はというと・・・・


二匹でブラーンですよ。
川に落っこちそうになっっちゃって。

まあそんなこんなで満足して帰ろうとしたら
20070505-13.JPG

またシマヘビですわ。
頭だけ隠しちゃって。

さらにすごいことに
20070505-14.JPG

よく見て下さいね、右下がシマヘビ、そして画像左上。
再びアオダイショウです。
シマヘビとの伝説のコラボです。

そしてまたまたアオダイショウ。
20070505-15.JPG


今度こそ帰ろうとしたら・・・
20070505-16.JPG

どっこいアオダイショウ。

疲れたでしょ?
僕も疲れました。

他にもまだいたんですよ。
今日は約30分で11匹のヘビと出会ったんです。

そう、これが伝説の「ヘビフィーバー」なのです。
こんな素敵で情熱的でエキセントリックな場所が他にあるでしょうか?
しかも中央区・・・・本当に貴重です。
この場所がいつまでも残っていて欲しい、それが僕の願いです。

何度も言いますがすべてノンフィクションです。

20070505-17.JPG

「またね」

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