札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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『新爬虫類・両生類館』カテゴリーの投稿一覧

お知らせ。

えー昨日のアマガエルの件ですが、
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/331

大変言い難いのですが、本日全個体の体色がグレーに戻っているのを確認いたしました。





昨日まであんなに澄んだペパーミントグリーンだったのに、今はもう煮物みたいな色になってます。
ほんと、はかないものです。あっという間です。
もしグリーンのカエルを期待して来られた方がいましたら、本当にすいません。

擬岩の圧力に完敗です。
これも生命の神秘です、どうぞご了承願います。

ニホンアマガエル。

苦節2年と半年、灰色だったニホンアマガエルがやっと緑色になってくれました。


ここの展示場の背景は灰色の擬岩。
アマガエルは保護色の機能を持っていますから、その灰色に合わせて体色を変えてしまうんですね。

でも元々ここは緑色のかわいらしい個体の他に、青や黄色の美しい色彩変異個体たちも暮らす空間だったんです。
しかし、そんなことも束の間、数日後には全個体が見事灰色一色に・・・
あんなカラフルでキャラ弁みたいにファンシーだった空間が、あっという間におばあちゃんが作った煮物ばっかりの弁当みたいな空間に。


いやー無念でしたね。
当然植物もたくさん生えています。でも負けてしまうんです。
地面はコケで覆われ、シダが生い茂っているにも関わらずカエル達はいつも灰色。
擬岩恐るべし、カエルに対して主張が強すぎ。圧力かけすぎです。

そう、ここの中では日々「植物と擬岩」「グリーンとグレー」という壮絶な戦いが繰り広げられていたわけなんですよ。

しかし今春、リョウメンシダがこれまでになくグングン生い茂り、背景の半分近くを覆いました。
するとどうでしょう、あんなに地味だったカエルたちが美しいグリーンに。
まさに図鑑でよく見るアマガエルがそこにいたのです。
有機物が無機物に打ち勝った瞬間、念願の風景でした。

では皆様、是非この図鑑で見かけるようなアマガエルらしいアマガエルに会いにきてくださいね。
ちなみに2匹だけです。
あ、あと明日にはまたグレーに戻っているかもしれません。
野生動物の能力って本当に素晴らしい。
では。






ジャノメイシガメ。

ジャノメイシガメは中国の一部に生息している絶滅危惧種。
円山動物園では密輸摘発によって税関に保護された1ペアを預かり、バックヤードにて管理しております。
もうかれこれ7年くらいたちまして、最近やっと繁殖が視野に入るまで成長したところです。
現在は繁殖行動誘起のため11℃に設定された恒温器内で冬眠しております。


このカメ、人が見ている前ではほとんど首を出さない神経質で陰気なカメでして、職場内での存在感も限りなくゼロに近いんです。
きっと社会においてもそうでして、生態系の大切な一員であるにも関わらず表舞台に出ることなく静かに絶滅していってしまう、そんな危惧の念を抱いてしまうほど地味な存在なのです。

でもね、僕はこういった存在と真剣に関わり、スポットを当てていくためにこの世に産まれてきたような人間です。
幼少の頃からアカレンジャーやガンダム、新田恵理には目もくれず、ひたすらミドレンジャーやアッガイ、スーザン久美子を愛してきた筋金入りのマイノリティ&アンチスター体質。
当然彼らのためならいつでもTシャツ一枚脱ぐつもりでいるわけです。

まずよく見てください、部分部分で見ていくと本当に美しいカメなんですよ。


甲羅の細かい放射模様、怪しく光る目の光彩と顔や首回りの色彩。
まさにオリエンタルビューティーコロシアム。



しかし一歩引いてトータルで見るとなぜか地味。ほんと不思議です。ある意味奇跡です。


まあでもいますよね、パーツは派手なんだけどなぜか地味な印象の人って。クラスに二人くらいはいましたよ。でも一見地味で目立ちはしないんだけど、実は隠れファンが多い。接近することで初めて感じ取れる魅力を持っていて、ふとした時に気になってしまう、そしていつのまにやら夢中になっている自分に気付かされるんですよ。
ええ、そんなカメです。

そしてもう一つ特徴があります。
クサいんです。
甲羅のケアの際など、何か刺激を受けると独特の臭気を放ってくるんですね。
地味な存在とは裏腹に、その臭気はいつでもぶれることなく強く主張してきます。
ヘビ類が臭腺から出す攻撃的な刺激臭とは違い、こちらはライトな異臭をそっと風に乗せて漂わせてくるんです。鼻粘膜にじわっと浸透してきて、あれ?なんかくさくない?ってな具合になんとなく周囲を気まずい雰囲気にさせてくれるんですね。ヘビ臭が「動の臭気」ならこちらは「静の臭気」といったところでしょうか。

そしてこの臭気が意外と強く脳に記憶されるんですよ。何でもないふとした時に「思い出し臭い」としていきなり漂ってくることがあるんです。個人的にけっこう苦手な臭いなもんで不意打ちによるダメージは若干ありますね。まあそんな「精神的残り香」という飛び道具までやってのける侮れないカメでもあるわけです。

そんな様々な魅力溢れるジャノメイシガメ、近い将来皆様に良い結果が報告できるよう精進したいと思います。

冬眠、より深く。

薄暗い北海道ゾーン。
冬眠開始から約一ヶ月、住人達はより深い眠りについています。








冬眠中のアオダイショウ。



展示場内の温度計は10℃前後を示していますが、


実温度はもっと低いんですよ。


5〜8℃で推移。

外気の吸気量は最大のレベル4、しかも排気量を減らすことでよりキンキンに冷やしております。



他のヘビやカメたちも同時にこの場所で冬眠中。


ヒラセガメやジャノメイシガメ。


そして近々、アメリカドクトカゲ、マレーベニナメラなども冬眠に入る予定です。
多くの爬虫類、両生類の習性である「冬眠」の再現。
いよいよ爬虫類両生類館の本領発揮です。

この恐ろしく地味な展示を、是非ホッキョクグマと抱き合わせで堪能してください。





アオに続きミドリホソオオトカゲ。

アオホソオオトカゲのBaby。
妖艶な美しさを存分にまき散らしながら、すくすくと成長しております。





実はですね、同時期にもう一種のオオトカゲも孵化していたんですよ。


そう、アオホソ同様真剣に繁殖に取り組んできたミドリホソオオトカゲです。

これが孵化のようす。
若干画像が暗いですが、アオにも劣らない美しさ。


 しかし残念ながら虚弱な状態で孵化したらしく翌日に死亡してしまいました。
たっとひとつの有精卵だっただけに本当に残念。
でもですね、今回だけはもうほんとに悔やんでも悔やみきれないんですよ。

というのも、僕自身孵化にも死に目にも立ち会っていないのです。
何の因果か僕が遠出している時に孵化が起こってしまったのですよ。
自分で記録を取ることも写真を撮ることもできなかったわけです・・・

ほんとね、いっつもそうなんです。
何の法則なのかよくわからないけど、とにかく大事な事が担当者不在の時に起きてしまうんです。
いつもながらのタイミングの悪さに、僕は中学2年生バリにふてくされ、ひどくイラつき、どこにもぶつけられない怒りでしばし我を失います。2時間半くらい。

いやーでもこの美しい仔に一目逢いたかった。


今年はアオホソとミドリホソの同時繁殖成功でアカデミー賞を総なめにしたかったんです。
でも相変わらずの詰めの甘さ。まだまだ精進が足りません。



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