札幌100マイル

RSS 爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

by zoohonda

zoohonda
プロフィール

本田 直也

◆ 1976年 札幌生まれ
◆ 1996年より円山動物園勤務
◆ 担当は爬虫類館と猛禽類のフリーフライト
◆ NPO法人日本放鷹協会認定 諏訪流鷹匠。

春から夏は爬虫類を求め、北海道、沖縄のフィールドワークへ、
秋から冬は愛鷹、愛犬と共に鷹狩りへと素敵な日々を送っている。

鷹やら犬やら爬虫類やらと山の方で暮らしている。


投稿したブログ数:395件

ジャノメイシガメ。

ジャノメイシガメは中国の一部に生息している絶滅危惧種。
円山動物園では密輸摘発によって税関に保護された1ペアを預かり、バックヤードにて管理しております。
もうかれこれ7年くらいたちまして、最近やっと繁殖が視野に入るまで成長したところです。
現在は繁殖行動誘起のため11℃に設定された恒温器内で冬眠しております。


このカメ、人が見ている前ではほとんど首を出さない神経質で陰気なカメでして、職場内での存在感も限りなくゼロに近いんです。
きっと社会においてもそうでして、生態系の大切な一員であるにも関わらず表舞台に出ることなく静かに絶滅していってしまう、そんな危惧の念を抱いてしまうほど地味な存在なのです。

でもね、僕はこういった存在と真剣に関わり、スポットを当てていくためにこの世に産まれてきたような人間です。
幼少の頃からアカレンジャーやガンダム、新田恵理には目もくれず、ひたすらミドレンジャーやアッガイ、スーザン久美子を愛してきた筋金入りのマイノリティ&アンチスター体質。
当然彼らのためならいつでもTシャツ一枚脱ぐつもりでいるわけです。

まずよく見てください、部分部分で見ていくと本当に美しいカメなんですよ。


甲羅の細かい放射模様、怪しく光る目の光彩と顔や首回りの色彩。
まさにオリエンタルビューティーコロシアム。



しかし一歩引いてトータルで見るとなぜか地味。ほんと不思議です。ある意味奇跡です。


まあでもいますよね、パーツは派手なんだけどなぜか地味な印象の人って。クラスに二人くらいはいましたよ。でも一見地味で目立ちはしないんだけど、実は隠れファンが多い。接近することで初めて感じ取れる魅力を持っていて、ふとした時に気になってしまう、そしていつのまにやら夢中になっている自分に気付かされるんですよ。
ええ、そんなカメです。

そしてもう一つ特徴があります。
クサいんです。
甲羅のケアの際など、何か刺激を受けると独特の臭気を放ってくるんですね。
地味な存在とは裏腹に、その臭気はいつでもぶれることなく強く主張してきます。
ヘビ類が臭腺から出す攻撃的な刺激臭とは違い、こちらはライトな異臭をそっと風に乗せて漂わせてくるんです。鼻粘膜にじわっと浸透してきて、あれ?なんかくさくない?ってな具合になんとなく周囲を気まずい雰囲気にさせてくれるんですね。ヘビ臭が「動の臭気」ならこちらは「静の臭気」といったところでしょうか。

そしてこの臭気が意外と強く脳に記憶されるんですよ。何でもないふとした時に「思い出し臭い」としていきなり漂ってくることがあるんです。個人的にけっこう苦手な臭いなもんで不意打ちによるダメージは若干ありますね。まあそんな「精神的残り香」という飛び道具までやってのける侮れないカメでもあるわけです。

そんな様々な魅力溢れるジャノメイシガメ、近い将来皆様に良い結果が報告できるよう精進したいと思います。

コメントをどうぞ

メールアドレス (必須・公開されません)
コメント本文

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

  • スパム・迷惑コメント投稿防止のため、メールアドレスの入力が必須ですが、公開はされません。何卒ご協力のほどお願いいたします。
  • 投稿いただいたコメントは管理者のチェック後掲載しておりますので、即時には反映されません。
pageTop