札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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小さな後悔。

あのね、今年のカンボジアモエギハコガメの卵、孵化に失敗しちゃいましてね。
毎年恒例の孵化に失敗するとは、いつも通り詰めが甘い。



こんなに元気な卵だったのにね。
もう今じゃカビだらけで、ケセランパセランみたいになってますよ。

原因はわかってるんです、この種の孵化でとっても大切な条件は「通気性」。
まあモエギハコガメに限らずアジアの森に暮らすカメってのは、他種とは違って産卵時に深い穴を掘らない。
落ち葉や倒木の下なんかにかるーく産み付けるって感じなんですね。
地表近いその場所は通気性が良くて、それが孵化の成功に関係しているんだろうってのが僕の持論。
現に他種のように、密閉された環境だと卵はすぐに死んでしまってましたしね。
この事は対外的に発表する時には、いつも口をすっぱくして言ってたんですよ。


でもね、今回はいつもと違う方法をとってしまいまして・・・
通気性が悪かったんだな・・・・
結果失敗してしまいました。



人はね、誰しも後悔しないよう生きていきたいもんですよ。
でも実際は、日々小さな後悔をしながら暮らしてるってのが現実なんだな。

今夜もね、風呂上りにトイレに行ってしまいましてね。
トイレに座りながら、ふと思ったんですよ。
「なんで風呂入る前に行っておかなかったんだろう」ってね。
あんなにご機嫌だった入浴タイムが、一瞬で水の泡ですよ。

まあそんな矛盾も愛し、受け止め、前向きに生きていこうと思ってますよ。
いざとなったら妄想の世界に逃げ込めば済むことです。




ロッケンロール!

青く塗れ!

皆様ご無沙汰しております。
またまた久々に更新させていただきますね。
いやーここ1ヶ月間もいろいろありましたよ。
紹介しきれないくらいいろいろあったので、また胸の奥にしまっておきますね。

あっ前回紹介しました伝説のアオダイショウ、「エゾブルー」も無事に孵化しております。
こちらです
20080908-00.JPG

うん、ものすごく普通。
まあね、アオダイショウってのは生まれた時はどれも同じなんです。
これから成長にともない、どんどん発色し、妖艶な美しさを醸し出していくんですよ。
まあ1年もしたら、ものすごく美しい青色2号になってると思いますよ。
ほんとに楽しみです。


んでこちらも孵化しております。



シマヘビね。
20080908-02.jpg

こちらが産卵したときの様子。
♂親はノーマルシマヘビ、♀親は黒化型のカラスヘビね。
んでもって子供は全部ノーマル。

やっぱね、何万回も言いますけど、身近な種こそコツコツ真剣にやっていかなくてはなりませんね。
愛すべきヘビ達よ、オレに飼育されて幸せかい?


20080908-03.JPG


20080908-04.JPG

今回生まれた子の親御さん達です。
千年に一度見れるか見れないかの完璧なトグロでございます。

ヨウスコウワニのベイビー。

先月産まれのヨウスコウワニの赤ちゃん。
展示開始しました。
とりあえず場所がないので、アルマジロトカゲは一時バックヤードへ収容。




ただ水槽を置いただけのシンプルさ。
現段階は管理重視のスタイルです。




餌付けも順調に済ませ、元気いっぱいでございます。
幼体特有の美しい体色は今しか観察できませんよ。
見る価値大です。てゆーか日本産まれの個体はここでしか見れません。
皆様のご来園、心よりお待ちしております。


バックヤードのアルマジロトカゲたち。

北国の宝石 エゾブルー

あっお久しぶりです・・
元気ですか?

とりあえず死ぬほどおもしろいことがたくさんあったんですが、皆様に報告できずにおりました。
このまま心の中にしまっておきます。

すごく前にここで報告したアオダイショウの交尾。
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/127

その後無事に産卵しました。






まあ初産ってこともあってか、卵の状態はいまいち。
6個中、3個は無精卵、残りは近々孵化する予定です。

円山動物園で飼育しているアオダイショウはすごく特別な個体。
僕はこのケタ外れに美しいアオダイショウ達を「エゾブルー(EZOBLUE)」と名付けその魅力を世界に発信してるんです。
皆さんも一度「EZO BLUE」で検索してみてください。
全く関係ないサイトに飛びますから。


まあとりあえず今回産卵したペアを紹介しますね。
まず♂。


んで♀。


どちらも動物園産まれ、ありえない美しさでございます。
来園者の方々からも
「アオダイショウってこんな綺麗だったかしら」とか「譲ってください」っていう電話をいただくこともあります。

まあ普通アオダイショウってのは、黒っぽくて全然綺麗ではないんですね。
でもね、北海道にはすごく美しい個体がたくさん生息しているんですよ。
これは爬虫類好きには有名な話で、特に道東に美しい個体が多く見られます。
もうほんと北海道に産まれて良かったとつくづく思いますよ。
これはもう道民の誇りであり、なんだったら海外とやりあうための武器にもなりますよ。
「いいのかい?こっちにはエゾブルーが居るんだぜ」ってね。
ヘビ外交です。

実はね、このエゾブルー、何年もかけて作り出した個体なんですよ。
始まりは8年前、園内でぶっ飛ぶくらい美しい♂個体を捕獲したんです。
僕は感動しましてね、「この形質を固定して、残したい」って思ったんです。
そしてその年から、伝説の「エゾブルー計画」が極秘のうちに開始されました。
(職場のみんなから相手にされず、結果的に極秘になった)
この♂を用いて繁殖を行い、将来有望そうな子だけを残して累代繁殖させていったんです。

もう一つ極秘に(こちらも結果的)「エゾグリーン計画」も進めてたんですが、大切な個体が病気で死亡し現在は中止してます。
図鑑にも大きく掲載されたこともあるくらい、ものすごい綺麗だったんですよね。
ほんとショックでしたよ。

今回で4世代目の孵化。
この「青み」がどのように遺伝していくかはまだまだ判断できませんが、今回も確実に表現されると思います。
産まれたらここでまた報告しますね。
それまで皆さんも、もう一度「EZO BLUE」を検索してみてください。
とりあえず全く関係ないサイトに飛びますから。




卵その後。

ヨウスコウワニの卵


すこぶる元気でございますよ。
これは検卵の様子、光を当てて中の様子を観察してるんです。
上部に血管が走ってるのが見えますかね?
順調に生育している証拠でございます。



こちらキバラクモノスガメの卵。
解りづらいけど、こちらも発生しております。
リクガメの卵って表面変化が乏しいんで発生の判断が難しいんですよ。




そしてカンボジアモエギハコガメ。
こっちはすごくわかりやすいですね。
まあ毎年恒例なんで安心して孵化を待ちます。

爬虫類の中で全てのワニ、ほとんどのカメ、一部のトカゲは、卵の時の孵化温度で性別が決定するんです。
これを温度性決定っていうんですね。
ヘビは温度性決定ではなく、性染色体により遺伝的に性が決定します。

じゃあ具体的に何℃で性別が変わるんだって思うでしょ?
これはまだまだ数種類の爬虫類で実験されてるだけで、解明されてはいないようです。
でも、低温と高温で♀が産まれ、中間温度で♂が産まれるってのが基本パターン。
このパターンは大抵の種で当てはまるようですね。
カメの中では低温で♂、高温で♀ってのもいるようですが、データーが少ないので何ともいえません。

んでどの時期に性別が決定するかというと、
トカゲが前期、カメが中期、ワニが後期のようです。
すごくあいまいだけど、この時期の温度が性を決定させるようですね。

例えば前回のヨウスコウワニだと、31℃設定で2匹が♂、1匹が♀でした。
雌雄両方が出る温度だったんですね。
カンボジアモエギハコガメは今まで温度管理をしてなかったから、かなり低温で孵化させてます。
結果3匹が♂、1匹が♀です。
今回は♀が欲しいので31℃設定で孵化させてるんですよ。

まあこんな感じで温度性決定する種は、ある程度人為的に性別をコントロールすることができるんですね。
それによって飼育下において、安定した繁殖体制をとることができるんですよ。

じゃあ自然界ではどうでしょう?
もし地球が本当に温暖化していったら、爬虫類の性別は偏り、バランスがとれなくなっていくでしょうね。
この爬虫類が選んだ効率的な戦略手段が、いつの日か裏目に出てしまう時がきてしまうかもしれません。










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