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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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熱い男の栄養学

毎日暑いですね。
最近の爬虫類館の温度はこんな感じ


35℃ね。
喉はカラカラ、腹はペコペコ。
でも館内全体がこの温度ってわけではありません。
これじゃあ動物も死んじゃいますからね。

この温度に達するのは、飼育員が作業する場所だけ。
この爬虫類館、なぜか人が利用する場所にだけ直射日光が当たる仕組みになってるんです。
ほんと訳がわかりません。
安藤忠雄もびっくりの建築設計なんですよ。

餌を作る調理台や各展示場へ続くキーパー通路。
行くとこ行くとこ全てスポットライトが当たるんですからね、毎日ライブライトでスター気分ですよ。

だから室内作業がメンイなのに僕の肌は真っ黒です。
しかもいつも頭にタオル巻いてるから、おでこの上半分は真っ白です。
ほんと「白黒つけるぜ!(ショウ アイカワ)」って感じですよ。

あと汗をかかない体質なもんで、体内に熱がこもっちゃっいましてね。
たまに吐き気なんかしたりしながらがんばってるんです。
ほんと心も体も熱い男ですよ、僕って奴は・・・
この前なんかもネットオークションの競り合いでつい熱くなってしまいましてね。
見事ハンドクリーナーを定価以上の価格で競り落としてやりましたよ。
そのくらい熱い男なんです。

まあそんな人を熱くさせる日光燦燦ライブライトな爬虫類館。
でもね、直射日光は人間にも爬虫類にもすごく大切なもの。骨の形成にね。
特にカメ類なんかは骨の塊みたいな生き物だから特に日光が必要なんですよ。

骨代謝に必要なのはビタミンD(D2とD3)という物質。
このビタミンDがカルシウムの吸収を促進してくれるんですね。

ビタミンDは食物からも摂取できるけど効率は良くないです。
口から摂取するよりも体内で作り出した方が断然効率的なのです。

もともと僕らは体の中にプロビタミンDっていう物質を持ってます。
このプロビタミンDってのはそれだけでは何の役にもたちません。

でもね、紫外線を浴びるとこれらの物質がたちまち活性化して「ビタミンD」へと変身するんです。
そしてカルシウム吸収を促進し、丈夫で強い骨を作ってくれるわけなんですよ。
だから日光を浴びるってことはすごく大切なことなんですね。
ビタミンDが体内で生成されていないといくらカルシウムを摂取しても意味がないんです。
例えフライドチキンを骨まで食らってもね(吉田飼育員)

そんなライブライトの下で働いている僕、皆さんはさぞビタミンDに包まれた骨太ガイだと思うでしょう。
でもそれは違います。

実はビタミンDってのはね、紫外線の中の「ある波長(UBV)」を浴びないと生成されないんです。
でも僕が浴びてるのはガラス越しの日光、つまり有効な波長はカットされてしまっているんですね。
これじゃあ全然意味がナイチンゲール。
直接日光を浴びないとダメってことなんですよ。

だから爬虫類館の動物達には特殊なライトを使ってます。
これはビタミンD生成に必要な紫外線を出すライトなんですね。
だから室内にいても健康に生活してられるんです。

んで僕はというと・・・
有効な紫外線はカットされ、単なる熱と光だけを浴びてるのです。
骨太になるどころか、体力と水分を奪われながらカッサカサになってるにすぎないわけです。
以上、熱い男の栄養学でした。
ぶひ。



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