札幌100マイル

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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

by zoohonda

zoohonda
プロフィール

本田 直也

◆ 1976年 札幌生まれ
◆ 1996年より円山動物園勤務
◆ 担当は爬虫類館と猛禽類のフリーフライト
◆ NPO法人日本放鷹協会認定 諏訪流鷹匠。

春から夏は爬虫類を求め、北海道、沖縄のフィールドワークへ、
秋から冬は愛鷹、愛犬と共に鷹狩りへと素敵な日々を送っている。

鷹やら犬やら爬虫類やらと山の方で暮らしている。


投稿したブログ数:395件

マムシの捕まえ方&危険動物にはマイクロチップを

爬虫類館唯一の毒蛇、「マムシくん」に個体識別のためマイクロチップを挿入しました。
危険動物に指定されている種を管理する場合、法律で義務付けられているんです。
まあ、マムシは毒蛇なもんで危険動物に指定されているんですよ。

ヘビの毒にはね、大きく分けると「神経毒」と「出血毒」ってのがあるんです。
例えばウミヘビやブラックマンバといったコブラ科の種はほとんどが「神経毒」。
んでマムシやハブ、ガラガラヘビなんかのクサリヘビ科の種は「出血毒」ね。

まあどっちが危険かってのは一概には言えないんだけど、やっぱむごいのは出血毒。
神経毒は神経系に作用するので適切な治療を受ければ後遺症も少ないみたい。
それに比べ出血毒ってのは組織を破壊していくから、ものすごく痛いし患部はひどい状態になるのね。

実はマムシの毒ってかなり強いんですよ、沖縄のハブよりも強いんです。
でもね、体が小さいから注入量が少ないんです、だから咬まれて死ぬようなことは少ないんです。
反面ハブは毒は弱くても体がでかいんで注入量が多い。
んで致死量に達して死亡例が出てしまうんですよ。

僕は咬まれたことないけど、咬傷事故なんかがあるとたまに病院から依頼がくるんです。
何ヘビに咬まれたのか調べてってね。

咬まれた人は大抵ヘビに詳しくないからわからないんですね。
ヘビを何種類か連れていって、直接見てもらうんだけど記憶が曖昧なんです。

だからお医者さんもどーしていいのか困ってしまうんですね。
マムシなら血清打てば良いんだけど、もし違ったら大変ですから。
患部がパンパンに腫れあがっていても確信がないから治療できないんです。

でもね、咬み傷を見ればすぐにわかるんです。
マムシは前に長い毒牙が一対あるんです、だから患部には毒牙の痕が残るんですよ。
小さい穴が二ヶ所あったらマムシです。他のヘビの場合はこうはならないですからね。
それに、通常マムシ以外のヘビに咬まれても激痛や腫れの症状なんてでませんよ。

まあそんなこんなで出血毒のマムシくん、動物園には2匹おります。
マイクロチップを埋め込むのは獣医さんです。
とりあえず万が一噛まれても良いよう血清だけは準備されました。
なぜか一人分だけ・・・

マムシくんです



まずなにかで頭をきっちり押さえましょう。
慌てちゃダメですよ。



そして、素早く頭の後ろを親指と人差し指で掴みます。
頭の押さえ方が甘かったりとするとスルッと抜けて咬まれます。
素早く慎重にね。



そしてクネクネしないように尾を持ち体を伸ばします。
ここで獣医さんの登場です。
たぶん、一人分の血清ってのは僕のためみたいですね。



そしてマイクロチップの挿入です。
尾の付近に入れます。
作業は10秒程度、あっと言う間に終わります。



「ぶぎゅー勘弁してくださいよ」



ついでに古い脱皮の皮が残っていたので取ってあげました。


「このクソジジイ!今穴掘ってやるからそこに入れ!」(毒蝮三太夫・毒舌集より)

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