2008年05月 の投稿一覧
卵その後。
Posted by zoohonda on 2008年5月23日(金) 22:04
ヨウスコウワニの卵
すこぶる元気でございますよ。
これは検卵の様子、光を当てて中の様子を観察してるんです。
上部に血管が走ってるのが見えますかね?
順調に生育している証拠でございます。
こちらキバラクモノスガメの卵。
解りづらいけど、こちらも発生しております。
リクガメの卵って表面変化が乏しいんで発生の判断が難しいんですよ。
そしてカンボジアモエギハコガメ。
こっちはすごくわかりやすいですね。
まあ毎年恒例なんで安心して孵化を待ちます。
爬虫類の中で全てのワニ、ほとんどのカメ、一部のトカゲは、卵の時の孵化温度で性別が決定するんです。
これを温度性決定っていうんですね。
ヘビは温度性決定ではなく、性染色体により遺伝的に性が決定します。
じゃあ具体的に何℃で性別が変わるんだって思うでしょ?
これはまだまだ数種類の爬虫類で実験されてるだけで、解明されてはいないようです。
でも、低温と高温で♀が産まれ、中間温度で♂が産まれるってのが基本パターン。
このパターンは大抵の種で当てはまるようですね。
カメの中では低温で♂、高温で♀ってのもいるようですが、データーが少ないので何ともいえません。
んでどの時期に性別が決定するかというと、
トカゲが前期、カメが中期、ワニが後期のようです。
すごくあいまいだけど、この時期の温度が性を決定させるようですね。
例えば前回のヨウスコウワニだと、31℃設定で2匹が♂、1匹が♀でした。
雌雄両方が出る温度だったんですね。
カンボジアモエギハコガメは今まで温度管理をしてなかったから、かなり低温で孵化させてます。
結果3匹が♂、1匹が♀です。
今回は♀が欲しいので31℃設定で孵化させてるんですよ。
まあこんな感じで温度性決定する種は、ある程度人為的に性別をコントロールすることができるんですね。
それによって飼育下において、安定した繁殖体制をとることができるんですよ。
じゃあ自然界ではどうでしょう?
もし地球が本当に温暖化していったら、爬虫類の性別は偏り、バランスがとれなくなっていくでしょうね。
この爬虫類が選んだ効率的な戦略手段が、いつの日か裏目に出てしまう時がきてしまうかもしれません。
嵐の動物園にて。
Posted by zoohonda on 2008年5月21日(水) 00:39
いやー今日は最悪の天気でしたね。
園内もガラガラ、ほんと寂しい気分でしたよ。
まあそんな中、いつも通りコウモリ小屋の掃除をしてたんですね。
んでね、お客様の姿もなかったもんで、僕ったら歌を唄いながら作業してたんですよ。
ジュリーの「勝手にしやがれ」ね、しかもちょっとだけモノマネ気味に。
しばらく気持ち良く唄ってましてね。
気分も上々、ホウキでフンを集めるその動きも実に軽快だったわけですよ。
そしてね、サビも中盤に差し掛かった時ですよ。
ふと後ろに人の気配を感じましてね、さっと振り返るとそこにはお客様。
中年のご夫婦がにこやかな笑顔で、こちらを向いてたわけですよ。
アハ、ずっとご覧になってたんですね。僕のワンマンショーを。
もうね、びっくりしましたよ。ものまね王座で後ろからご本人登場みたいな感じでね。
「あっおはようございます・・・えへ」、2秒で顔真っ赤ですよ。
ほんとね、恥ずかしくて死にそうになりましたね。「恥ずかし死」寸前ですよ。
恥ずかしさのあまり目の前のコウモリを捕まえて、そのまま逃がしてしまおうかと思いましたからね。
とりあえず何が恥ずかしいってね、ちょっとモノマネ気味に唄ってたってことなんです。
しかもね、ちょっと似てるんですよ、僕のジュリーは。
そこがまた微妙に痛いんですね。
ほんとね、今思い出しただけでも胸をかきむしりたくなりますよ。
それくらいショックな出来事でしたね。
そしてご夫婦にきちんと謝罪できなかったことを後悔しております。
この場を借りてお詫び申し上げます。
本当に申し訳ありませんでした。
「我、関せず・・・・」
今夜は朝までふざけよう、ワンマンショーで。
サイエンス・カフェ。
Posted by zoohonda on 2008年5月19日(月) 22:51
コーヒーを片手に
科学を楽しむ
北海道大学科学技術コミュ二ケーター養成ユニット主催「サイエンスカフェ・札幌」のお知らせです。
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/project/cafe/
今回のタイトルは、「君がいなくちゃだめなんだ~円山動物園と考える生物多様性」
ゲストは酪農学園大学吉田准教授と僕でございます。
科学者でも研究者でもない僕ではありますが、場違いな雰囲気で終始ハッスルいたします。
皆さん、是非遊びに来てくださいね。
第31回サイエンス・カフェ札幌
「君がいなくちゃだめなんだ~円山動物園と考える生物多様性」
2008年05月24日 14:00 ~ 15:30
場所:sapporo55ビル1階インナーガーデン(紀伊國屋書店札幌本店 )
(札幌市中央区北5条西5丁目)
定員:約100人(座席に限りがあるため一部立ち見となります)
参加費:無料(申し込みは不要です。当日直接会場にお越しください)
主催:北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)
〒060-0810 札幌市北区北10条西8丁目
Tel/Fax 011-706-3868
E-mail: cafe@costep.hucc.hokudai.ac.jp
エコ靴下と環境問題。
Posted by zoohonda on 2008年5月9日(金) 01:36
僕はですね、いつも靴下の左右が違うんですよ。
例えば今日だとこんな感じ。
左がボーダーで右がメッシュね、さらに裏返しに履いてます。
僕にとって靴下なんてものは、右も左も、表も裏も関係ないんですよ。
このスタイルをするようになってもう10年くらいかな。
これだけ続けてるのに全く流行る気配はないですけどね。
とにかくね、洗濯後に束ねる作業がダルいんです、僕はこういう作業が大嫌いでね。
洗濯物を干すっていう文化も持ってないですからね、当然乾燥機派でございます。
でも乾燥機は良いですよーそのままタンスにもなるしね。
んである日ね、いつものように靴下を束ねている時にふと気付いてしまったんですよ。
「あっ、束ねる必要なんてないじゃん、左右違ったって別にいいじゃん」って。
いやー悟りを開いた瞬間でしたね。
そう、僕たち私たちは「靴下は左右一緒じゃないといけない」ってマインドコントロールされてるだけなんです。
それからはもう楽チン、乾燥機から適当に取り出して履くだけ。破れても片方だけ捨てればいいのです。
あと極めて稀にですが、取り出した靴下が偶然に一致する時が必ずやってきます。
そんな日はハッピーデイとしてご機嫌に過ごすこともできるんです。
もう良いことだらけですよ。
まあ同僚や友人達はもう誰もつっこみませんけど、初めて会う人には必ず聞かれますね。
「なんで靴下が違うの?」って。以前はいちいち説明してたんだけど、最近はもうめんどくさくなってね。
「これはエコなんです」って答えてます。
そう、この「エコ靴下」という活動はエネルギーの節約に貢献します。
まず、片方しか捨てないから物質の節約になる。
そして束ねる労力を使わないから活動エネルギーの節約になる。
人間が動けば必ずエネルギー消費に繋がりますからね。
例えば靴下を束ねると、疲れるでしょ?喉も渇くし、ストレスも溜まるわけですよ。
喉が渇けばジュースを飲むし、ストレスが溜まればドライブしたり買い物したりしちゃうんです。
そう、靴下を束ねることにより、結果的に他の産業と結びつきエネルギーを使うことになるんですね。
でも節約ってのも注意が必要。
僕がこのエコ靴下活動により節約し、お金も少し浮いたとします。
そしたら僕はその浮いた金でヘビを買うわけですよ。
当然ヘビの輸送は車や飛行機を使いますから、ものすごいエネルギーを使うわけですね。
節約で浮いたお金は、やはり産業と結びつき更なる大きなエネルギー消費につながるんですよ。
エネルギーの循環ってのは複雑なシステムです。
広い視野を持って考えないといけませんね。
5本指靴下を履いても、絶対に指は入れません。
これはエコではなく、主義です。
「一発屋」と呼ばないで。
Posted by zoohonda on 2008年5月6日(火) 21:50
こんばんわ、大事マンブラザーズバンドのボーカルです。
先日ブログに載せたヨウスコウワニ(Alligator sinensis)の写真。
いやー大反響でしたね、日本中の爬虫類マニア達から。
「ほんとに妊娠してるのか?」とか「またどうせダメなんだろ?」とかね。
まあヨウスコウワニってのはそれぐらい人々を魅了してやまない存在なわけなんですよ。
とにかくこのワニ、生態が非常に特殊でして飼育下での繁殖が難しいんですよ。
一番の特徴は「冬眠する」ってこと。
温帯域に生息してる種だから、冬は地中深く穴を掘って冬眠するんですね。
んで繁殖させるためにはこの「冬眠」を経験させることが必要条件とされています。
繁殖に成功している中国やアメリカは屋外飼育をすることでこの条件をクリアしてるんですね。
だから日本やヨーロッパの屋内飼育環境では全く結果が出ていなかったわけです。
がしかし、その「冬眠必要説」を覆し、屋内施設で冬眠させずに繁殖に成功させた動物園があるんです。
そう、我が円山動物園でございます、2001年に繁殖に成功してるんです。
理論と実際を基に計画的に行った繁殖、全てがイメージ通り進んだんですね。
これほどうれしいことはなかったな。
でもね、残念なことにその後はうまくいってなくてね、毎年交尾まではいくんだけど産卵しないんです。
一回きりの繁殖なんて意味がないわけですよ、偶然かもしれませんしね。
もうね、業界からは一発屋扱いですよ、ほんと大事マン扱いですからね。
この辛い状況を脱却するには継続した繁殖実績を残さんといけないわけですよ。
まあそんな訳で前フリは完璧ってことで・・・・
はい、産みました。
5月4日未明。産卵数は少なく9卵、どうりで♀の食欲が落ちなかったわけです。
交尾は例年通り2月中旬から3月上旬にかけて行われてましてね。
妊娠を確信したのは4月13日、僕が飼育場に入るときに♀が一瞬神経質な素振りを見せたんです。
これは前回の繁殖時にも見せた行動だから確信しましたよ、「お前、できたのね」って。
これは産卵数日前に作られた産卵塚、高さは40cmくらい。
材料は腐葉土、落ち葉、スダレの破片、ゴミ少量。
卵は掘り出して、人工孵化させます。
しかし残念ながら9卵中、有精卵は1卵のみ。
後の8卵は無精卵・・・つまり孵化しない卵でございます。
1つだけの有精卵、白い帯が入ってるのがわかりますよね?発生が順調に進んでいる証拠です。
何があってもこの卵だけは守らないといけませんよ、まじで。保険はなしですからね。
孵化するまでの日数は約70日。
僕はその日を心待ちにしておりますよ。
一日千秋の思いでね。
ピータンに憧れて。
Posted by zoohonda on 2008年5月1日(木) 00:49
今日は休日。
「休みの日は何してるんですか?」ってよく聞かれます。
僕はね、鷹狩りシーズンやヘビの活動期はアクティブになるけど、オフシーズンはずっと家に居るんです。
出かけるって言ったら本屋と、あとホームセンターに行ってネジとか見るくらい。
今日なんかは昼間っからYou tubeで「からくりみんなの!替え歌」ずっと見てましたからね。
終わったドラクエのレベル上げてるくらい実のない時間です。
僕ももうすぐ32歳ですよ、いつ親父狩りにあってもおかしくない年頃ですからね。
ホームセンターでずっとネジとか眺めてる場合じゃないんですよ。
このままだと、近所からも「鷹とヘビが好きなちょっと変わったおじさん」っていう評価で終わってしまいます。
だからね、今日はこの穏やかなる時間を利用し真剣に考えてみたんですよ。自分の将来についてね。
んで結果、人生かけてがんばることに決めました。「あるヘビ」の繁殖を。
実は僕、あるヘビの飼育に失敗し続けてましてね、半ばあきらめていたんです。
でも飼育技術者としてやはりどうしても確立したいって改めて思ったんですよ。
キーワードは「挑戦」。そう挑戦って言葉が魂を揺さぶるんですね。
でも相手は強烈に厄介なヘビ・・・
奴さんを攻略するには、やはり突飛で粋な発想力が必要不可欠ですね。
僕にはそれが欠けてるんだな、きっと。
僕は常々、「ピータンのような発想力」を持ちたいって思ってるんですよ。
ピータンってあの卵料理のね。
あれを発明した人ってすごいと思いません?
例えば「これで何か料理を作ってください」って卵を一個渡されたとします。
普通は卵焼きやらオムレツやらを作るわけですよ、「調理する」って概念に囚われてしまいますから。
エプロン姿でフライパンを振っている人達を尻目に、おもむろに卵を粘土で包み土に埋める。
そんな人に僕は憧れますね。
卵焼きやオムレツは全く作れない、でもピータンを完璧に作る発想力を持った男。
ソウイウモノニ ワタシハナリタイ(賢治風)
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