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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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2014年10月 の投稿一覧

アイゾメヤドクガエルの繁殖。

センターラボにて飼育中のアイゾメヤドクガエル。

苦節4年、やっと初の仔ガエルが無事に上陸しました。

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円山では1ペアのみ飼育しているのですが、その夫婦ときたらあまり相性が良くない感じで、お互い無関心だったんですね。

まあこればっかりは一飼育員がどうこうできる問題でもないですから、とりあえず冷え切った関係をなんとか改善させるべく、地道にお膳立てをしていくしかないわけなんです。

日々雨をザンザン降らせたり時にはカラッカラに乾燥させたりと、祈りを込めながら彼らに刺激を与えてきましたが、結局何も起こらない穏やかな日々が数年続いたんですね。

しかし今年に入って急に行動の変化が見られるように。

雨を降らすごとにお互い急接近、あれほど距離をとっていたペアがクリンチできるくらいまで寄り添うようになったんです。

そして念願のcallingを確認、蚊の泣くような小さな声でオスが「ぐ〜」って鳴きはじめました。

その後産卵が行われ、今では卵の状態こそバラツキがありますが定期的に産卵し、オタマジャクシも孵化するようになりました。

そして今回初めての上陸が確認できたんですね。

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こちらはオス親。

ほんと美しいカエルです。完全に一歩先を行ってますね。

「アイゾメ」って名前もなんだか妖艶で、その響だけでとってもセクシーな気分になってしまいます。

今後もこの貴重で魅力溢れるカエルの繁殖が、より安定するよう日々お膳立てしていきたいと思っておりますよ。

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そしてモウドクフキヤガエルの仔たちは順調に生育しております。

うじゃうじゃいます。

2つの繁殖賞をいただきました。

今年度は2つの繁殖賞をいただきました。

爬虫類両生類館センターラボのガラス面にひっそりと飾っております。

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そもそも繁殖賞とは何ぞやと申しますと、(社)日本動物園水族館協会が繁殖技術の向上のために1957年度に設けたものでして、

「動物の種ごとに、協会に加盟する園館においてわが国で初めて繁殖に成功し、かつ誕生後6ヶ月を過ぎて飼育されている場合に、授与されるもの」となっております。

今回はアオホソオオトカゲ、スペングラーヤマガメの2種において受賞いたしました。

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まあ爬虫類両生類の場合は、動物園だけに限らず個人によっても盛んに飼育繁殖が行われている現状がありまして、いくら「繁殖賞受賞!」と言っても、

すでに一般レベルではとっくに技術が確立されている種も少なくはありません。

逆に日本の動物園がまだそんな事もできていなかったのかという「恥ずかしい事実」を世間に知らしめてしまう機会になることもありまして、我々動物園人にとっては現状を再認識し、襟を正す良いきっかけにもなるわけです。

やはり動物園はこの分野においてはパイオニアであれという信念を持ってやっておりますが、現実はまだまだ。

爬虫類両生類の繁殖技術においてもっともっとレベルの底上げをしていかなくてはなりませんね。

 

 

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