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さよならのかわりに
Posted by zoohonda on 2007年3月3日(土) 01:28
全国1200万人のアナコンダファンの皆様こんばんは。
アナコンダが脱皮いたしました。なんともいえない美しさでございます。
脱皮前。体全体が白濁し、艶もないです。目も白いでしょ?
んで脱皮直後
ツヤツヤです。この妖艶さは、かたせ梨乃でも出せないでしょう。
世界最長のヘビはアジアに住むアミメニシキヘビで全長9.9mという公式記録があります。
でも体重ではダントツ、アナコンダ。たぶんアミメニシキは最大でも100kg程度だと思われます。
でもアナコンダは、記録では体長9m、体重250kg・・・・・半端じゃねーぜ。
んでうちの個体は現在体長4m半の♀。たぶん国内では最大級の個体だな。
太さは僕の太ももくらいあります。
こいつは本当に愛しい個体、大切に育ててるんだなー。
動物園に来た時は長さこそ4mありましたが、ガリガリ激やせ。
背骨は浮き出て、骨と皮膚だけの爪楊枝みたいな状態。
あーこりゃ死ぬな・・・・・不安が脳裏を過ぎりましたね。
アナコンダは水中で暮らすヘビです。体が重いんで浮力を利用しながら生きてるわけです。
とりあえず大きなプールのある展示場にてゆっくりケアすることに。
うちの個体はどっかのイベントで展示(アマゾン展)されていて、終了後に円山にやってきました。
イベントの飼育環境なんて最悪ですよ、不適切な環境でストレスかかりまくりで状態も最悪です。
案の定餌をまったく食べません。当然ですね。
爬虫類はまず餌を食べさすことに苦労することが多いんですよ。
それぐらい繊細な生き物なんです。餌を拒否し続けてそのまま死ぬ個体もいます。
強制的に餌を食わす方法もあるのですが、あせらず待つことに。
ここであせれば全てが台無しです。しっかり観察しながらタイミングを見極めます。
んで待つこと半年・・・・・・・
やっと1匹のラット(でかいネズミ)を飲み込みました。
粘り勝ちですよ。いやーこの時はほんとにうれしかったなー。
その後は順調に餌を食べどんどん太くなっていきました。
掃除の時なんて飛びかかってくることもありますからねーまじ気がぬけないっす。
このヘビ世話してて思うんですけど、ほんっとに変わってますよ。
他のヘビとは発するオーラが全然違いますからね。
独特の雰囲気を醸し出してて、何となく読めないヘビなんです。
僕は中学生の時から家でいっぱい大蛇を飼ってたから(近所の方へ、今はいませんよ)
でかいヘビの扱いは慣れてるんです。でもアナコンダはなんか違う。すげー。とにかくすげー。
今では、2,3ヶ月に1度ラットを10匹前後食わしています。
ゆっくりどんどんでかくして、世界最大のアナコンダにするつもりでおります。
そして体長9,5mに達した時、最後は僕自らが彼女に飲まれて飼育人生を引退するのです。
涙を流しながら展示場の真ん中に白いデッキブラシを1本おいて・・・・・
鷹狩り犬ルーツ
Posted by zoohonda on 2007年2月28日(水) 21:11
イングリッシュポインター。名前はルーツ♂
アホ面です。
でも生粋の鳥猟犬。山では凛々しく美しい。
うちの伴侶犬でもあるが、本業は「鷹狩り犬」
こいつのおかげで楽しい鷹狩りライフ。
性格は陽気で温厚、鷹を持っていれば誰にでもついていきます。
こいつは元円山動物園獣医師、白水さんの実家(九州)で産まれた子。
白水家はハンター一家で犬もいたくさんいるんですよ。
生後4ヶ月まで親兄弟犬達と暮らし、犬社会を経験した後に僕のところへ。
最高の環境で育った犬なんですわ。
おしゃれな首輪とリードで小粋にお散歩・・・ではないんだな。
うちのスタイルは山野に放獣。
冬山って歩きやすいんです。笹薮もなくなるし、特に今年は雪が少なく締まっている。
カンジキもいらないですな。
ラッセルしながら猛スピードで駆け下ります。
散歩というより、これはもう「下山」です。
長い歴史の中で人間と犬はお互い必要な存在だったんですよ。
犬が居なけりゃ人類も文明も繁栄しなかったんじゃないかな。
だから犬と暮らすことはごく自然なことです。
デザインと建築とスネークの融合
Posted by zoohonda on 2007年2月28日(水) 03:34
動物のことしか頭にない、動物と絡まないと自分を見出す事ができない。
そんな異質な非社会的集団、それは飼育係。
そんな僕達が積極的に社会と関わり、活動拠点を広げております。
てんやわんやっすよ。
僕なんか高校出て飼育係となり、十数年間カメと鷹しかいじってないんですから。
家なんてリビング10畳、カメ部屋14畳なんですから、常識なんて通用しませんって。
世間知らずのアホボンがスネークアート展開催のため実行委員に助けられ、
また学ばされがんばっておるわけです。
んで今日も朝から出展者様達にメールをシコシコ書いておりました。バタバタしてます。
机の上もこんなんですよ。PC横の「イチゴのなんちゃらデザート」は3日目の放置プレーに突入。
よりクリーミーな感じになってきてます。もう触れません。
でもいろんなジャンルのかっちょいいー作品が続々集まっております。
展示数はART部門だけでも60点以上になりそうです。
やっぱ爬虫類って存在そのものがアートなんだなー。
この企画まじおもしれーと自画自賛。
んで夕方からは札幌高専の斉藤先生と伝説のカフェ、エスキスにて打ち合わせ。
今回のスネークアート展、生体展示ブースは
札幌市立大学デザイン学部、高専の先生方が企画、設計、作成を行なってくれます。
デザインと建築とスネークの融合。
話はどんどん横道に反れ、建築学的な立場から「人間と動物の快適な住空間の比較」
についての議論へ。これはおもしろい!エネルギー問題まで発展する内容のため動物園から
発信するメッセージとして非常に有効でありました。まじ目からウロコのお話。
札幌市立大学の方達には今後
円山動物園の「グラフィック・アーツ部門」として是非活動していただきたいと思っております。
この部門、欧米の動物園には普通に存在しております。
では寝る。
円山猛禽飛行部隊
Posted by zoohonda on 2007年2月25日(日) 23:04
毎日午後2時から行なわれている「猛禽類のフリーフライト」
現在は4名体制で始動しております。
今宵はそのメンバーたちの紹介をさせていただきます。
まずは
オランウータン担当として知られているが、フリーフライトにおいても重要な役割を担う。
癖が強くコントロールが難しいトビの「ビリー」を努力で克服。
現在は4羽全ての鳥を操ることができる。
我慢強く忍耐の人。以前盲腸が破裂するまで我慢し続けたという伝説をも持つ。
フライドチキンは骨まで食らう。異常なほどタフで強力な消化器管。
体はごつくて力持ちであるが、最近脚だけ細くなってきたのが少し気になる。
しかし本当に良い顔をしている。
まさに100万ペソの笑顔である。
つづきましてこの方
「ミスターネガティブ」こと足利さん。
主にフクロウ類を担当する男前。
口癖は「けど」。
以前、祐川飼育員に「けど、けど言うな!」って怒られた時に
「けど」じゃなくて「Get on」って言ってるんですと平然と言い放っていた。
川崎麻世に激似。
最近は西条秀樹にも似てきた。
昭和の匂いがほのかに香る男前である。
最後はキュートなこのお方
マミちゃん。
メンバーの中で最も強靭な精神力の持ち主。
トビのビリーに顔面を蹴られようが、腕を掴まれようが微動だにしない。
動かざる事山の如し。
鳥の扱いが上手く、センスも良い。
鷹が大好き。将来は鷹と暮らしたいと思っている。
でも無口で恥ずかしがり屋。
鷹を呼び戻す際の「ホホッ!」という掛け声を出す時、ちょっとだけ顔を赤らめる。
以上
クールでパッション、陽気でキュートなメンバー達です。
そして僕たち私たちを
健やかなる時も、また病める時も心から愛してくださるようお願い申しあげます。
辛くはないわ、この東京砂漠
Posted by zoohonda on 2007年2月24日(土) 00:42
クモノスガメの展示場です。
カッサカサです。湿度20%です。人間だったら速攻でインフルです。
クモノスガメに対しては毎年12〜2月まで、「カッサカサ飼育」をしております。
展示場の散水を減らし砂漠化させてしまうのです。
この時期のカメたちはまさにカッサカサです。ほとんど動きません、てゆーか動けません。
あえて過酷な環境にさらして、カメの活動スイッチをオフにしてるのです。
餌は通常期は週に3回、でもこの時期は週に1〜2回程度で量も質も下げております。
んで餌を与える前はお風呂に入れ温浴させ、水も飲まします。
ちょっとだけスイッチを入れてあげるのです。
ゼンマイを少しだけ巻いてあげるって感じです。短時間動けるけどまたすぐに止まってしまう状態ね。
んじゃなんでわざわざそんなことするの?って話ですよ。
クモノスガメはマダガスカルに生息しています。
雨期と乾期がある場所です。んで夏は高温で多湿です。そして冬は低温で乾燥してます。
彼らが活動するのは温暖で多湿な雨期。
この時期に栄養を十分とって繁殖も行ない、乾期にはほとんど活動しません。
だから年間に活動している期間って実は結構短いんですよ。
温帯に生息している爬虫類もそうです。冬は冬眠してしまいますからね。
でも動物園という環境は動物に対して常に良い環境を提供するのが普通です。
常に快適な環境を提供し、いつでも活動できる状態を保っているわけです。
動物園で展示している温帯産の爬虫類達も冬眠することなく年中快適な温度の中で暮らしてます。
冬眠なんかしなくても普通に元気だし餌もよく食べてます。
が、しかーし!
実は長期間の快適な状態に耐えられない種もいるんだなこれが。
それがズバリ、
このクモノスガメと同じマダガスカルに生息する「ヒラオリクガメ」(バックヤード飼育・非公開)。
特にヒラオリクガメはほんとに弱い・・・
野生動物ってのは、種それぞれの生息地の環境の中で進化・適応してきた存在。
だから本来であれば、その生息地の環境(温度や湿度、日長時間、食物など)の中でしか
体調や繁殖など生活そのものを持続させることができないわけです。
んなーこたーない!動物園の動物は元気に長生きしてるじゃねーか!って思う方もいるでしょう。
正解です。
普通の動物達は「適応能力」ってものがあって快適な環境に適応して野生よりも長く生きれるんです。
通常哺乳類や鳥類などの恒温動物は適応力が強いっす。動物園の中では元気に長生きできる部類。
(長生きはできでも繁殖ができるかは別問題。それはまた今度)
しかし、きわめて特殊な環境で暮らす動物、または爬虫類を含む変温動物(外温性動物)などは
適応能力が低い。
特にリクガメは長命な動物。
10年くらい飼育したからって飼育法が正しいとは言えないんですよ。
50年以上元気に維持してれば良い環境ですねっ言えるくらい。
「ソロモンの指輪」でローレンツ博士も言ってます。
「リクガメは飼育をはじめた時から死がはじまってる」ってね。
例えばリクガメを飼育してて20年で死んでしまったとします。
それは20年も生きたんですねーではなく、20年かけて死んでいったというだけなんです。
本来であれば100年生きる動物ですよって。
爬虫類の中で常時快適な環境で問題がでずらいのは赤道付近に生息する種類。
赤道直下は気候変動も少なく、常時安定していますからね。
しかし熱帯であろうが、温帯であろうが安定した自然環境ってのはありません。
冷たい雨期もあれば、あったかい雨期もあるし
灼熱の乾期もあればマダガスカルのように低温の乾期もある
北海道のように寒い冬もあれば、沖縄のように温暖な冬もあるわけです。
ぜーんぶ地域によってバラバラ。
んでここですんごく重要なキーになるのが「基礎代謝」。
恒温動物ってのは体温を維持できます。
そのかわり体温を保つために食べ続けなきゃいけないわけです。
燃費が悪いんですよ。
人間も冬は体温維持のために多少代謝が上がり食欲も増しますけど、
夏であろうが冬であろうがちゃんと規則的に食事をしないと体がもちませんよね?
恒温動物は基礎代謝が高く、常時「一定」だからです。
でも爬虫類のような変温動物の場合、体温を保つことができません。
寒くなれば体温は下がりそのまま動かなくなるだけ。
冬眠中は半年であろうと1年であろうと飲まず食わずでも全然平気です。
燃費が良い。
爬虫類は、
温暖で雨が降る時期にだけ代謝が上がり活動します。
んで暑すぎたり寒すぎたりする時期は代謝が下がり動かない。
つまり哺乳類とは違い、生息地の中で大幅な基礎代謝の変化を経験するわけです。
一見「冬眠」や「夏眠」ってのは動物にとっては過酷なだけで意味のない行為に思えますよね?
まして飼育において再現することなんて残酷だ!と思われるでしょう。
でも僕は最初に述べました、彼らはその環境の中で進化適応してきたと・・・
「冬眠」「夏眠」といった過程の中で経験する「代謝の変化」は生きていくために
非常に重要なことなんです。体調の維持や繁殖、生理のリズムを整えるために必要なことなんですよ。
だから爬虫類の飼育には「代謝のコントロール」ってのも常に考えていかないといけないわけです。
温度や湿度や光や餌なんかを積極的にいじりながらね。
んじゃいよいよ答えです。
クモノスガメやヒラオリクガメ、常時快適環境(高温で多湿)で飼育すると
結局最後には「オーバーヒート」しちゃうんですよ。
代謝のスイッチを切って休ます時期が必要なんです。
丈夫なエンジンもまわしっぱなしだと壊れてしまうわけです。
数年は平気でも最後には体のあちこちに負担がかかって病気になってしまうんですね。
ヒラオリクガメなんてまだ7cmくらいの子ガメですが、期間中の3,4ヶ月は全く餌も食べないんですよ。
でも痩せもしないし、体調も崩しません。
代謝が低下してエネルギーを使わないから食べなくても平気なんです。
毎年3月くらいから、温度も湿度も上げていきます。
んで餌の回数も増やし、新鮮な野草や花をたくさん食べさせるんです。
日長時間も伸びてますんで、この時期彼らは積極的に繁殖活動を行なうんですよ。
動物園でも2年前からやっと産卵するようになりました。
孵化までは成功してないんですけどね。
すんげー長くなっちゃいました。ごめんちゃいね。
Deepだから仕方ないんですわ。