札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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2007年08月 の投稿一覧

フリーフライト一時中止のお知らせ

皆様おつかレーションです。
毎日青空ですごく気持ちがいいですね。
ほんと青色1号のように澄んだ空です。

突然ですがお知らせです。
鳥たちを換羽させるため、猛禽類のフリーフライトをしばらく中止させていただきます。
トビのビリーもアメワシのバンジョーも換羽させながらだましだまし飛ばしてきましたがもう限界です。
ここらできちんと換羽させないと来シーズンに影響がでますからね。
皆様ご了承ください。

現在別の鳥のトレーニングに入りました。
近々紹介しますね。
早ければ一ヶ月程度で再開できるかもしれません。



小屋に放たれたビリー、まだまだやる気満々です。
でもあと半月もしたら脂肪も付き代謝も下がり普通の人間嫌いの猛禽に戻ります。
もちろん近寄ると嫌がり逃げますので、近くて写真を撮るのは今のうち。




お久しぶり、白フクロウのセーベル。
現在換羽中です、ほんとに美しい。
この換羽中に彼の中の何かが変わるはず。
今年の冬は見違えるような飛行を見せてくれるでしょう。
こうご期待。



ものすごくお久しぶりというか懐かしさすら漂っているハリスホーク・ロメオ。
ちまたでは死亡説も流れていましたが、そんなことはありません、元気ですよ。
現在換羽中、羽もグレーに生え変わり大人の階段上ってます。

とりあえずみんな元気です。
体調が悪いのは僕だけです。
では皆さんごきげんよう。

お客様の視点から。

先日お客さんの立場でフリーフライトを見学して参りました。

いやー足利・吉田両飼育員のガイドを聞くのは初めてですからね。
実際二人がどんな風にフリーフライトを実施しているのか想像すらできないんですよ。

僕はもう楽しみで、朝からずっとご機嫌でしてね。
「粋な黒塀見越しの松に、あだな姿のムッフフフー(よく知らない)」
もう鼻唄全開で会場に駆けつけましたよ。ほんと父兄参観の気分です。

すでにスタンバイ済みの足利飼育員。


「何で来たの?まじでやりづらいんだけど・・」
と本気でぶっちょう面。

まあそんな微妙な空気の中フリーフライトは開始されました。
20070822-01.JPG

まずはアメリカワシミミズクのバンジョー登場。
爬虫類館裏からステージ上に着地。




ホイッスルでステージから呼び戻す足利さん。
なかなか落ち着いています。
フクロウは不安定な場所を極端に嫌うため拳には呼ばず、安定した止まり木を使います。




鳥も良い飛びです。
ガイドも軽快にこなしておりました。
足利さんは人前でのガイドを苦手としていたんです。
ガイドだけはイヤって感じでね。

でも目の前にはフクロウについて軽快に語る足利さん・・・・・
僕から見ればほんとに信じられない光景でしたよ・
思わずホロっときちゃいましてね。
いつもは見ることのない足利さんの逞しい勇姿に感動いたしました。



そして吉田飼育員がビリーを据えて登場。
本日も100万ルピアの笑顔でお客様をお出迎え。



ビリーの反応はというと・・・・微妙。

20070822-08.JPG

強烈なスクリーマー(鳴きがうるさい)でもあるビリーが一切声を出してません。
鳴きが止まるほど神経質になってしまってるんですよ。
リラックスできていない証拠です。

その理由は据前(鷹を操る人)の精神状態。
吉田さんは「あがり症」です。
しかも今日は僕の登場でさらに緊張度が高まってしまってたんですね。

据前が緊張するとその行動に微妙な変化がおきます。
いつもと違ってぎこちなかったり、鷹を乗せてる拳が不安定になったりとね。
そういった微妙な行動変化が鷹に悪影響を与えてしまうんですよ。
据前は常に平静でリラックスしていることが必要なんです。

しかしそこは経験を積んでる吉田さん、動きは堅いながらも軽快に鷹を操ります。
20070822-09.JPG

所狭しと園内を飛び回るビリー。

そしていよいよクライマックスのルアー(疑似餌)。
紐の付いたルアーを振り回し、鷹が直前まで近づいたら空中高く投げ上げそれを掴ませます。
決まればかっこいいんですが、鳥とのタイミングを合わすのが難しいんですね。

ビリーは頭上をクルクル飛んでいます。
ポケットからルアー取り出し振り回そうとする吉田さん。
しかしルアーの紐が完全に絡まっていてほどけません。

あわてる吉田さん。
すでにルアーを見つけこちらに向かって来てるビリー。

ビリーはもう直前まで来ています。
しかし吉田さんはまだもちゃもちゃ・・・・
と、突然何を思ったのか吉田さん、絡まったままのルアーをそのまま放り投げたのです。
そしてビリーはそれをエアーキャッチ。

いやー驚きました。
絡まったままのルアーを放りなげるという荒技を使うとは・・・・
もうその状況を見ているだけで腹がよじれるほど笑ってしまいましてね。
いやーほんと素敵です、吉田さん。

そしてすかさず吉田さん。
「えー今日のルアーは自己採点で75点です」
きっぱりとお客様に言い放っておりました。

「吉田さん・・・・点数高すぎ・・・自分に甘すぎ・・・・・」
そんな超プラス志向の吉田さんが大好きです。

そして無事にフリーフライトが終了。その途端、ビリーが鳴きだしました。
そう、吉田さんの緊張が消失してリラックスしたのです。
鷹は人の心の奥まで覗けるのですよ。

では。

一方その頃我が家では。

いやー毎日暑いっすねー。
ハートが。




今夜も星がきれいですよ。
実は僕、天体マニアでもありましてね。
好きな星座は「こと座」、好きな1等星はアルデバラン。好きな星団はもちろんプレヤデス。
まあロマンチストな一面も備えておるんですよ。

小中学生の時は月刊「天文ガイド」も買ってましたね。
6年生の時なんか天体望遠鏡で太陽を直接見ちゃいましてね。
あやうく目玉を焼いてしまいそうになった経験もあるんですよ。
これがほんとの目玉焼きってまじで洒落にならんですよ。
虫眼鏡ですら火をつけることもできるんですから。
真似しちゃダメです。

爬虫類館同様、我が家の爬虫類達も繁殖真っ最中でございます。
うちには爬虫類部屋ってものがありましてね。飼育個体数も結構多いんですよ。

「何種類飼育してるんですか?」よく聞かれます。
種類は少ないです、6種類だけ。
でも1種につきたくさんの数を飼育してるもんだから個体数は多いんですね。

「なでたり話しかけたりするんですか?」
一切ありません。
愛玩動物って感覚はまったくないんですね。
繁殖を目的とした飼育を行っております。
必要なのは客観的視点。自分の物差しを捨てどこまで頭を真っ白にできるか。
冷めた仕草で熱く見てるわけですよ。

「水槽で飼育してるんですか?」
水槽は使ってません。
ヘビ類は自作の「ヘビマンション」で機能的な管理をしております。
男のDIYです。

「電気代かかりますよね?」
基本的には暖房も冷房も使いません。
冬になれば冬眠させちゃいますから。
春先に一時的に使う場合はありますけどね。
夏場は爬虫類に集中、冬になれば冬眠させて鷹に集中、素敵な生活です。

「餌代かかりますよね?」
ええ、つらいです。
おかげで今夜も西友の半額お惣菜です。七時半くらいに行くのがベストです。

では貴重な産卵・孵化画像の一部をご紹介いたします。

20070816-00.JPG

サキシマスジオ(Orthriophis taeniura schmackeri)
総排泄孔から卵が出てくる瞬間です。
この種は卵がでかい、そして産卵数が少ないのが特徴。
この個体は今回5個とわりと多めでございました。


20070816-01.JPG

こちらもスジオさん。
一個産んで一休み。
まだお腹が膨らんでるのがわかりますよね?結局2個だけでした。

20070816-02.JPG

巨大なご婦人、このたび4個の産卵。


20070816-03.JPG

手の上でまったりと。でかいでしょ。
ピンボケです。

20070816-06.JPG

ご存知ヨナグニシュウダ。
やはりでかいわりには産卵数が少ない。

20070816-04.JPG

スペングラーヤマガメ(Geoemyda spengleri)
我が家で最も飼育個体数が多い種。大好きです。
毎年繁殖させてます、累代繁殖ももうすぐ可能です。
でもかなりの気合が必要。結構厄介な種なんですよね。
でもね、
この種の飼育技術は近縁種であるリュウキュウヤマガメ(天然記念物)の保護増殖に必ず役立ちます。
だからここでの経験やデーターってすごく大切なんですよ。


20070816-05.JPG

ヒラセガメ(Pyxidea mouhotii mouhotii )
これも毎年恒例です。
でもまさかの一個。ちょっと手を抜くとすぐに結果として現れます。

ではまた近況をお知らせしますね。
いやー今夜も死兆星がはっきり見えるわ。

目からウロコ

先日打ち合わせのため釧路に行ってまいりました。
行き先は釧路湿原野生生物保護センターと釧路市動物園。



まず保護センターにて斉藤獣医師と環境省の小野さんと打ち合わせ。
齊藤先生は世界的に活動しておられる猛禽類の研究者。
日本の猛禽類の権威とも言える方です。
オオワシ、シマフクロウなどの保護活動を積極的に行い、日本各地で講演活動も行っております。
非常に細かい多くの情報を提供していただき目からウロコの思いでございました。
お忙しい中丁寧な対応をしていただき非常に感謝しております。

そして釧路市動物園。
僕は全国あちこちの動物園に行っておりますが、最も感動を与えてくれるのはこの釧路市動物園でしてね。

希少な野生動物が多く暮らす釧路湿原のお膝元、釧路市動物園には多くの使命があります。
タンチョウ、シマフクロウの保護増殖事業、希少種クマタカの継続繁殖など、残した功績は本当に偉大です。
それらを地道に実践し、結果を残してきた職員や関係機関の方々に再び目からウロコの思いです。
「種の保存」と「環境教育」を確実に実践している動物園、それが釧路市動物園なのです。

それらの集大成が「北海道ゾーン」。


入り口にはエゾリス。北海道人にとって最も身近な哺乳類かもしれませんね。




もともとは非公開だったタンチョウの保護施設。
保護増殖のために非公開施設を持っている園って少ないですね。

20070809-02.JPG

近くでも見れます。



20070809-03.JPG

様々なサインが充実してます。
野生からのメッセージをいかに人々に伝えるか?
それが本来の目的であって、展示ってのはそれを達成するための手段の一つ。



ゾーン内の木道。
湿原の中を歩けるのです。
なんてすばらしい環境なのでしょうか。
20070809-07.JPG

途中にはここに生息している動物たちのサイン。
これはコウモリね。


20070809-09.JPG

そして巨大な池。
白鳥が優雅に闊歩。
多くの野鳥達が飛来しております。





20070809-04.JPG

ここの象徴、シマフクロウ。
世界最大級のフクロウ。
僕には後光が射しているのが見えましたね。
こんなすばらしい鳥が日本にしかも北海道に生息しているのですよ。

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継続した繁殖にも成功しております。
今年産まれの幼鳥です。


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世界一素敵な猛禽、クマタカ。
野生では繁殖がうまくいっておらず、着実に個体数を減らしてます。
イヌワシ以上に良くない状況なんですよ。
ここ釧路では継続繁殖に成功。もちろん日本でここだけです。


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シマフクロウの巣内が覗けるモニター。
子育ての時期には貴重な映像が観察できます。


20070809-12.JPG

保護活動についてのサイン。
これは環境省がシマフクロウの生息地に設置している巣箱。
シマフクロウの繁殖には大木が必要なんですね。
しかしそのような環境はすでに失われているんですよ、だからこれを変わりに設置しているんです。
いつか森が回復し、この巣箱を取りはずせる日が来ることを祈ります。

日本の動物園って産業と結びつきレジャー施設として発展してきたんです。
だからこのような地道な保護活動は紹介される機会も少なく、人々に知れ渡ることってなかなか難しい。
本当に残念なことです。

このような活動が動物園評価の基準となる時代がきっと来るでしょう。
そのとき初めて釧路市動物園のすばらしさが人々に伝わるのでしょうね。
あくまでも僕の主観ですが・・・・

ではまた。

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