札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

2007年10月 の投稿一覧

出陣。

紅葉がとってもきれいですね。
前田耕陽、キーボード担当って感じです。
円山の紅葉もとてもきれいなのでぜひいらしてくださいね。

僕の場合紅葉狩りというよりも鷹狩りでしてね。
愛鷹を連れ、いよいよ昨日、今日と鷹狩りへと行ってまいりました。
休日がかぶっている我がフライトチーム鈴木真実と子供ZOO清水道明をお供に三人で出陣です。

鷹狩りってのは調教した鷹を山野に放ち野生の獲物を捕らえるという伝統的な狩猟法です。
日本にこの技術が伝わったのは約1600年前、ものすごい歴史と伝統があるわけです。

僕が学んでいる諏訪流放鷹術(ほうようじゅつ)は初代は織田信長、その後徳川家直参、宮内省にと仕えてきた由緒ある流派なんですよ。
だから僕もこの歴史と伝統を途切れさせないよう努力しているわけです。
歴史の中に自分を見出しながらね。
伝統っていうものは一度途切れてしまうと二度と復活できませんから。

鷹狩りで捕らえる獲物と言えば、カモ、キジ、ウサギなんかが挙げられます。
鷹は簡単に獲物を捕らえると思っている方が多いようですが、とんでもないです。
鷹ってのは実は遅い動物なんですよ。カモやキジのほうが全然早いんですね。
鷹より遅い獲物なんて非常に少ない。

しかもカモやキジは逃避の天才。
逃げることで種を存続してきたんですから、その逃避術は天才的なんですよ。
だから鷹で獲物を捕らえるってことは非常に難しいことなんですね。

あと北海道って鷹狩りするには良い環境に思えますが、実はそうじゃないんですよ。
雪が降れば川は凍りカモはいなくなるでしょ。
凍らない川は街中か、川幅100mもあるような大河だけ。
当然そのような場所は狩りには向いていないんですよね。

あとキジやウサギは札幌周辺ではほとんど見かけません。
エゾライチョウなんてもってのほかです。
だから北海道での鷹狩りは雪が降るまでの「カモ狩り」がメインになるんですよ。




必ず立ち寄る狩場。
獲物はほとんどいませんが、川の藪の中に2,3羽のカモが入っていることがあるんです。
隠れているカモってのは人が脅かしても絶対に出てきません。
飛び立てば危険ってことを知っていますからね。
こうなったらこちらも手も足も出ません。
だから猟犬が必要になるわけなんですよ。
数少ないチャンスを確実に物にするためにね。

郊外のカモは特に警戒心が強いんで、100m先でも逃げてしまいますよ。
いかに獲物に近づき、いかに獲物をうまく出せるかが重要になるんです。

まあ、今回は真実、道明の勢子(獲物追い出し役、普段はうちの犬)がいましたから助かりましたね。
うまく獲物を出してくれて、見事カモゲットでございます。
愛鷹「柊」も良く仕上がってて、素晴らしい追いをしてましたよ。

20071026-02.JPG

諏訪流基本技のひとつ「丸上げ」、鷹にはカモの心臓だけ食べさせます。
鷹は捕った獲物をその場ですぐに食べはじめるんですよ。
だからすぐにその場に向かわないとほとんど食べられちゃうんですよ。

「丸上げ」の後は、獲物と鷹を一緒に持ち上げ、気分を害さないようにうまく獲物だけを取り上げます。
これが「据え上げ」。
一見地味ですが、こういった技が実はもっとも難しいんですよ。
鷹が嫌がるような扱いをすれば人の接近を嫌がるようになり、獲物を持って逃げてしまいますからね。



柊を手に据えご満悦のお二人。
近々我が家でカモパーティーだな。

んで本日も狩りへ。
今回は知人のマスコミの方が同行。
その方も勢子として良い働きをしてくれましてね。
再びカモゲットです。

いやー最高の休日を過ごさせてもらいましたよ。
ありがとう!


20071026-04.JPG

今回は出る幕なしのルーツ。
「留守番かよ」って感じで不満気。
帰宅したら部屋の中でウンコしてました。

突然ですが、告知です。

突然ですが、告知でございます。

札幌市立大学主催の「市民公開セミナー」が開催されております。

詳細はこちら
http://www.scu.ac.jp/news/kouza_070905.pdf
10月23日「動物の暮らしと環境」というテーマで、僕がお話させていただきます。

場所は札幌市立大学サテライトキャンパス
(中央区北3条西4丁目 日本生命札幌ビル5階) 


18時30分から二時間、定員は40名ですので、お時間のある方はぜひお越しくださいませ。

ちゃんとまじめにお話させていただきます。
ではよろしくお願いいたします。



Cuora zhoui

真打登場

昨日ね、携帯を替えたんですよ。
この国際社会を乗り切るために海外でも使えちゃう機種にしましてね。
ほんと新しい携帯はいいですよねー意味もなくいじくってしまう。

いやーでも参りましたよ、自宅が圏外ね。
まあ山暮らしだからちょっとだけ予想はしてたんですけどね。
やっぱ山をなめたらいけませんよ。

「世界で使えて自宅で圏外」
そんなお決まりのセリフを鼻唄まじりで連呼しながら、現実逃避しております。
消え行くアンテナを見つめ部屋中ウロウロしながらね。




んでもって我が家の新鷹、名前はKKJr。
ゆっくり時間をかけて懐けてます。

でもね、ウカウカしてられんのですよ。
もう、北海道は猟が解禁になってるんです。
もう鷹狩りやっても良い期間に入ってるんですよ。

例年ならもう狩り三昧ですよ。
でも今シーズンはまだ一度も行ってない・・・
KKJrはまだ時間かかりそうだし・・・

ってことでね、ここで真打登場ですよ。



柊(ひいらぎ)ね。
軽くソフトモヒカン。
彼ならちょっと仕込めばすぐに仕上がるってことで訓練開始です。
オオタカの二羽同時訓練はちときついですが、まあうまいことやっていこうと思っています。
また寝れない日々が続きそうです。
来週には鷹狩りに行きたいとこですね。

20071016-02.JPG

「お前はまだまだだな。」
先輩面のルーツさん。

シロフクロウ。

シロフクロウのセーベル。
結局トレーニングなしでそのままデビューにいたりました。

やはり3年目、今まで積んだきた経験は何よりも変えがたいですよ。
その経験がきちっと今の飛行に出てますね。
うるさかった鳴きも今はほとんどありません、精神的に成長した証拠です。
人間に刷り込みの入った鳥ってのは人への依存度が高く様々な悪癖が出てくるんですよ。
一度人間との関係きっちりと断ち切ることが必要ですね。

それができるのは換羽中。
換羽中は飼育小屋に放してしまって給餌する際も極力人の姿を見せないようにしてるんですね。
「人=餌」という彼の中にある絶対的な方程式を崩してしまうんですよ。

人を見ると少しビビッて警戒するくらいになれば良い感じです。
あと狭い小屋の中でも様々な経験をさせるのも重要ですね。
止まり木と止まり木の間を自分の意思で飛び回るだけでも鳥のスキルアップに繋がるんですよ。

まあこんな生活を半年もさせると見違えるほどパリっとした鳥になってくれるわけなんです。
フクロウ類はたったこれだけの管理をするだけでほんと変わりますよ。



より白くなったセーベル。
ほんと美しい鳥ですよね。

この鳥は北極圏に分布してますけど、たまに冬鳥として北海道にやってくるんですよ。
札幌近郊でも過去確認されてますからね。
ほんとこんな鳥を見かけたらびっくりしますわな。



良い写真だ。自分のテクに自画自賛。




強風の中でも安定した飛行を見せてくれます。


寒くなったら猛禽の季節です。
猛禽類のフリーフライトは毎日午後2時から。
皆様のご来園を心からお待ち申しております。
では。

お待たせいたしました。

食欲の秋、皆様いかがお過ごしでしょうか?
秋と言えばサンマですね、ほんと今が旬ですよ。
だから今日のランチはサンマを食べました。
昨日戸棚の奥からひょっこり出てきたんですよ「サンマ蒲焼(缶詰)」。
「旬の物を缶詰でいただく」 ほんと最高の贅沢ですよ。








まあそんなこんなで皆様長らくお待たせいたしました。
明日より「猛禽類のフリーフライト」を再開いたします。
蝦夷のスナイパー、トビの「デューク」の登場です。


はっきりいってまだまだです。
皆様の暖かい眼差しで成長を見守っていただければ幸いでございます。

そしてシロフクロウのセーベル。


本日初トレーニングでしたが、さすがです。三年目だけあってすでに準備OKでございます。
数日中に登場予定でございます。


「猛禽類のフリーフライト」は単に飛行姿を見てもらい感動していただくことを目的とはしておりません。
僕ら動物園側から伝えたいメッセージを発信する場でございます。
それらを伝え理解してもらうことが目的でありまして、飛行というものは手段にすぎないわけです。

「客観的に見た猛禽類の性質と習性」
「自然界における猛禽類の役割」
「鷹匠の技術とそれを利用しての動物園の役割」
この3つのメッセージが大きな柱となっております。
だからメンイはあくまでも僕らのトークってわけなのです。

もしこのフリーフライトが入場料1000円だったとします。
そのうち飛行観覧料は100円、残り900円はトーク拝聴料とならなくてはいけないのです(妄想主義)。
そのくらい僕らの中ではトークを重要項目としてやっているわけでございます。

ほんと力不足でございます。
言ってることがムチャクチャです。
滑舌悪いわ、ワタワタしてるわでほんと申し訳ないです。

これらの改善も含めチーム4人一丸となって努力していく所存であります。
僕らの成長も含め今後も暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
では明日からよろしくお願いいたいます。
アデュ。

スナイパー。

調教中の新トビの近況です。
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/75

訓練はすこぶる順調に進んでおりまして、早けりゃ日曜にでもデビューって感じでございます。
でもまだ筋力も弱く、ビリーのような広範囲の力強い飛行はできませんね。
お客様への鷹匠体験も大勢は無理でございます。
ご了承ください。

名前は「デューク」。
彼は野生を経験した鳥、神経質で背中側に回られることを非常に嫌がるんですね。
背中に回られるのを嫌がると言えば・・・・・そうですね、「ゴルゴ13」です。デューク東郷です。
有能なスナイパーは絶対敵に背中を見せません。背中に回られたらお終いですからね。
まあそんな感じでこういう名前が付きました。
飼料担当の袴田氏命名。

ではトレーニングの様子をピンボケ画像とともにお送りいたします。


ルアートレーニングの様子。
ここでのルアーの役割は緊急時に呼び戻すための最終的な手段。
例えばこの鳥がカラスに追われパニックを起こして遠くまで行っちゃったとします。
いくら呼んでも戻って来ない・・そんな時にこのルアーを使うんです。
視力は非常に良いですからね、どっからでも戻ってきますよ。
事前に鳥にとって何よりも魅力的な物として認識させとくんですよ。
「今夜は寿司ですよー」って言われればすぐに家に帰りたくなりますよね?

ただあんまり多用してはダメ、ルアー自体の魅力が薄れてしまいますからね。
寿司も毎日食ってれば魅力がなくなるでしょ?たまに食うから良いんです。
そう、だからルアーっていうのは「月末の寿司」みたいな存在でなくてはならないのです。
ルアー仕込みさえやってしまえばすぐに紐をはずし自由に飛ばすことが可能なんですよ。

20071006-01.JPG

落ち着いた飛行で、ビリーのような攻撃的な飛行はしませんね。


拳へ止まるときもフワリと美しい。


無駄な動きも少ないです。
当然ですね、野生ではエネルギーの無駄使いは命とりになりますから。

20071006-05.JPG

上空高く上がるまでは時間がかかりそうです。


20071006-06.JPG

いよいよ彼のトレーニングも開始。

皆様、彼らのメッセージを受け取ってくださいね。
では。

ワニガメ。

先日保護されたワニガメ、昨日より展示開始しています。
この個体は三笠市の川で発見されたんですよ。
誰かが川へ放しちゃったんですね。




その威厳と風格はカメ業界でもトップクラスです。
誇り高き奇怪なカメでございます。

生息地はアメリカ合衆国南東部、池や沼なんかに生息してます。
ほぼ完全な水中生活者で産卵以外で陸に上がることは稀なようです。
この個体は甲長25cmと小さいですが、最大で80cm、体重も80kgを超えるようですね。
この容姿で甲長80cmって・・そりゃもう怪物ですよ。

食性は肉食傾向の強い雑食で生きた獲物を好みます。
狩りの方法は待ち伏せ方でその手法がとても特徴的。
水中で口をあけて、ピンクの突起をユラユラ動かして獲物をおびき寄せるんです。
んでミミズと勘違いした魚なんかが寄ってきて、そのままガブリ。
ルアーフィッシングをするカメなんですよ、ほんと容姿に似合わず器用なお方。



寿命は50年くらいって言われてるけど実際はわかりません。
まあカメは長寿な生物として知られているけど、実年齢がわかっている個体ってのは以外と少ないんです。
まあリクガメ類なら通常100年、大型のゾウガメになると200年くらいは生きますね。
でも僕はね、カメの中で最も長生きするのはこのワニガメじゃないかって思ってるんですよ。
ワニガメは大型でしかも代謝が低いんですね、そんなカメの寿命が50年ってことはないだろうって。
んで水中生活だから人目に付く事ってないと思うんですよ。
だからどっかの沼とかに300年くらい生きている「主」みたいな個体がいるんじゃないかって。
まあ科学的根拠はないんですけどね。でもあながち間違ってはいないと思いますよ。

ワニガメは特に珍しいって種ではありません。以前は普通に売られていましたしね。
でも現在は、動物愛護法で特定動物に指定されていて飼育するには許可が必要です。
まあ危険な動物なので許可なく飼育してはダメですよって。

まあたしかに顎の力は殺人的で、噛まれれば大怪我しますね。
でもワニガメに限らずどんな動物も扱い方を間違えれば危険ですよ。
ワニガメにはワニガメの接し方があって、ちゃんと扱えば何ら問題はありません。
よく比較されるカミツキガメよりも全然おとなしいですしね。
なんでもかんでも危険だーって騒ぎ立てる風潮ってのは良くないですよ。
それで被害を受けるのは動物たちですからね。

以前は普通に売られていたわけですから、法の制定前から飼育されている個体もたくさんいます。
そういう個体に関しても新たに申請して許可を得る必要があるんですね。
んでその許可を得るには手間もお金もかかるわけですよ。
それをめんどくさがって飼育を放棄しちゃう飼い主が後を絶たないんです。
安易に川へ放しちゃうって行為が各地で行われているわけなんです。
この個体もその犠牲者の一人ですね。

ワニガメは日本の気候に適応できます。
まあ繁殖までいかなかったとしても生きていくことは可能です。
こんな状況が続けばそのうち帰化することも考えられますよね。
ほんと深刻な問題なんですよ。

これはもう飼い主のモラルの問題ですからね。
魅力的な種なんですから、きちんと許可をとって堂々と飼育しましょうよ。
こんなことでこんな素敵なカメのイメージが悪くなってしまうのはとても悲しいことですから。

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