札幌100マイル

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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

by zoohonda

zoohonda
プロフィール

本田 直也

◆ 1976年 札幌生まれ
◆ 1996年より円山動物園勤務
◆ 担当は爬虫類館と猛禽類のフリーフライト
◆ NPO法人日本放鷹協会認定 諏訪流鷹匠。

春から夏は爬虫類を求め、北海道、沖縄のフィールドワークへ、
秋から冬は愛鷹、愛犬と共に鷹狩りへと素敵な日々を送っている。

鷹やら犬やら爬虫類やらと山の方で暮らしている。


投稿したブログ数:395件

ヒラセガメ(Cuora mouhotii )の繁殖。

以前こちらでも経過をお知らせしていたムオヒラセガメ(Cuora mouhotii mouhotii)が無事に孵化しました。

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http://sapporo.100miles.jp/zoohonda/2015/07/16/ヒラセガメの産卵%E3%80%82/

数年に渡る親個体の健康維持、その後の約2ヶ月の冬眠、日長と温湿度の上昇からの発情誘起、そしてペアリング、交尾、産卵、そして4ヶ月間の卵管理の後に孵化。

こんな感じで気の遠くなるような様々なプロセスを経て、やっと今この地味なカメたちが誕生したのです。

感無量、飼育員冥利につきるってやつでございます。

ムオヒラセガメはヒラセガメの基亜種で、東南アジアに生息する陸棲のカメです。

まあこの種に限らずアジア産のカメ類は様々な人的な影響により一気に数が減っておりまして、国際的に大きな問題となっております。

欧米主導により生息地の調査、保全、そして飼育下繁殖が行われていますが、残念ながら日本の動物園は直接生息地とはリンクしておりませんので、現状としてはこういった形で飼育員の立場から役割の一端を担い、情報を公開していくしかありません。

こちらが今回孵化した2匹の仔ガメ。残り5卵は近々孵化予定です。

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親よりは若干赤みが強く、派手さはないけどとても奥ゆかしくそこはかとなく滲み出る美しさを備えたカメです。

落ち葉が堆積したような森林で暮らしているので、見た目は完全に落ち葉に擬態してますね。

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お腹の白い部分、ヨークサック(卵黄嚢)が吸収された後。

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鼻先の白いトゲは孵化する際に卵を突き破るための「卵嘴」(らんし)、すでに吸収されつつあります。

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こんな感じでセンターラボ内で管理していますので、ぜひ観察してみてくださいね。

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親御さんも隣で暮らしています。

成長の過程をニヤリと想像してみてくださいね。

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こういった普通に暮らしていれば一生名前を聞くこともないような地味な存在でも、しっかりと向き合い、理念を持って動物園の立場からすべきことを継続していく。

そんな環境を今後も維持していく事が何よりも大切です。

 

 

 

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