札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

『爬虫類館』カテゴリーの投稿一覧

訃報、ゾウガメのうめちゃん。

アルダブラゾウガメのうめちゃんが死んでしまいました。

https://www.city.sapporo.jp/zoo/zougamefuhou.html

zougame

直接的な接触の少ない爬虫類の中でも、このゾウガメのうめちゃんときくちゃんとだけは、積極的にコミニュケーションをとり、他種とは違ってちょっだけ哺乳類的な感覚で日々接しておりました。

とても無念です。

食欲もあり一見それほど問題ないような状態であったのですが、すでに病魔は体を蝕んでおり体調は一気に悪化。

解剖の際は、胃にはまだ未消化の大量の草、腸には健康的な排泄物も確認できましたが、腎臓が全く機能していないひどい状態で、最終的には消化器官全ての機能も失っていたであろうとのことでした。

最後はさぞ苦しかったと思います。

 

うめちゃんはアメリカの飼育下繁殖個体で、平成5年生まれと聞いています。

とにかく飼育下で育ったとは思えない、美しいゾウガメでした。

通常飼育下で育ったゾウガメは様々な要因により甲羅が歪になり、野生個体のように健康的なプロポーション育つ事は非常に困難です。

うめちゃんは素晴らしい飼育者によって育てられたのは間違いありません。

しかし本来なら100年以上は生きる動物、残念でなりません。

直接的な原因ははっきりわかりませんが、再度様々な環境要因を再考し、同環境で暮らすきくちゃんが同じことにならぬよう、注意深く管理していかなくてはなりません。

うめちゃん、これまでありがとう!

 

 

情報は冷蔵庫に貼れ。

どこの家庭でも重要な情報はたいてい冷蔵庫の扉に貼ってあるわけです。

例えばゴミの収集カレンダーや給食の献立表、占いカレンダーや座右の銘、そして犬のフィラリアの薬を飲ませる日など、暮らしの中で日々確認していかなくてはならない情報が多いのではないでしょうか。

実は爬虫類両生類館でも全く同じでして。

IMG_6006

それがこれ。

これは今後新たに繁殖を進めていく種の生息地の「最高最低気温」と「降水量」のグラフです。

爬虫両生類は、一定の環境下で管理していても生きてはいけますがそれ以上は何にも起きません。

彼らはそれぞれ生息地の環境に晒される中で一年の暮らしのリズムを確立し、適切な時期に繁殖し種を残していくという習性を獲得してきたわけです。

そのため、飼育下で繁殖を行うためには種それぞれの生息地における「季節性」をある程度再現し提供していく事が必要となるんですね。

爬虫類両生類館ではゾーンごとに環境を操作できるように設計されておりまして、施設内において様々な季節性を同時に作り出すことが可能となってます。

だから施設の中は、ここのゾーンは冬で隣は秋、向かいは春で、あちらは夏、そしてこっちは雨季であっちは乾季、みたいに季節の移ろいが不規則に同時進行しているわけです。

しかし日々同時進行で流動させていく様々なパターンの環境の調整と確認は意外と大変でして、ちょっと気を抜いたりすると、絶好の機会を逃してしまうという事も多々あるんですよ。そうなると来年またやり直しです。だから常日頃から種ごとにおいての季節性のデザインを意識的に確認していくことが重要となるわけです。

「情報は冷蔵庫に貼れ」人類が編み出した最大の知恵ですね。

 

 

 

 

2つの繁殖賞をいただきました。

今年度は2つの繁殖賞をいただきました。

爬虫類両生類館センターラボのガラス面にひっそりと飾っております。

IMG_4650

そもそも繁殖賞とは何ぞやと申しますと、(社)日本動物園水族館協会が繁殖技術の向上のために1957年度に設けたものでして、

「動物の種ごとに、協会に加盟する園館においてわが国で初めて繁殖に成功し、かつ誕生後6ヶ月を過ぎて飼育されている場合に、授与されるもの」となっております。

今回はアオホソオオトカゲ、スペングラーヤマガメの2種において受賞いたしました。

IMG_4046IMG_4987

まあ爬虫類両生類の場合は、動物園だけに限らず個人によっても盛んに飼育繁殖が行われている現状がありまして、いくら「繁殖賞受賞!」と言っても、

すでに一般レベルではとっくに技術が確立されている種も少なくはありません。

逆に日本の動物園がまだそんな事もできていなかったのかという「恥ずかしい事実」を世間に知らしめてしまう機会になることもありまして、我々動物園人にとっては現状を再認識し、襟を正す良いきっかけにもなるわけです。

やはり動物園はこの分野においてはパイオニアであれという信念を持ってやっておりますが、現実はまだまだ。

爬虫類両生類の繁殖技術においてもっともっとレベルの底上げをしていかなくてはなりませんね。

 

 

ムオヒラセガメ(Cuora mouhotii mouhotii)のペアリング。

長い冬眠期間を終え、活動を開始したヒラセガメたち。

今年初のペアリングです。

IMG_3711

さすが「奇跡のオス」、見事5秒で結果を出します。

昨年は産卵しなかったので、今年こそは成功させたいです。

IMG_3712

見てください、この勇姿。

躍動感溢れるこの風景。

本田家オリジナルカレンダー、4月の写真はこれで決まりですね。

春、両生類の繁殖。

爬虫類両生類館名物「冬眠展示」も無事に終了し、「全く行動させない展示」から「若干動きまわる展示」へと移行してます。

IMG_3593

気温上昇に伴い、さっそく両生類達は繁殖行動にはいりました。

IMG_3524

エゾサンショウウオはすでに産卵を終え、孵化が始まったところです。

IMG_3600

幼生たちはバックヤード管理ですが、一部展示場内にも残っています。

IMG_3675

目を凝らして探してみてください。

IMG_3601

そしてエゾアカガエルの産卵もはじまりました。

IMG_3581

プリップリの元気な卵です。

孵化が待ち遠しいですね。

IMG_3705

これら2種はとっても身近な種でありながら、飼育下での繁殖技術は全く確立されていないんです。

我々にとって大切な種、気合いを入れて技術確立に努めていかなくてはいけません。

 

 

pageTop