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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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『外国』カテゴリーの投稿一覧

スイス・チューリッヒ動物園 ドイツ連載5。



美しい町並みとリトマ川。
ここはスイス最大の都市、チューリッヒ。
そう、ウォッチマンの故郷である。



森の奥にそびえ立つのはアルプス山脈。(たぶん違うと思う)


目的はドイツだったんで、スイスに行く予定はなかったんですよ。
でもたまたまチューリッヒ空港を拠点に動くことになったんで、ついでに寄ったのがチューリッヒ動物園。
予定外だったもんで、ここはアポなしで客として行ってまいりました。

ほんとすばらしい園でしたね。
市立大斉藤先生もアポを取りしなかったことを悔やみ、その場で必死に担当者を呼んでもらっていましたから。

全体の印象はアメリカっぽい。
以前訪れたニューヨークのブロンクス動物園にいるかのような錯覚を受けましたね。
アメリカっぽいってのは、サイン(説明看板など)がとても充実しており、デザインもいい。
つまり、メッセージ性が強いってことですね。



動物舎内は動物に関することだけではなく、生息地の現状、人々の文化や歴史に関する展示物などもきれいに配置してあって、博物館の中に動物がいるって感じです。



それらは新しい施設になればなるほど、顕著に表れていましたね。
メッセージの発信の仕方が研究されている証拠です。進化しているんですね。
教育部門、デザイン部門がかなりしっかり機能していることが伺えました。

そして動物の飼育環境はというと、やはりヨーロッパスタイル。



こちらはゴリラの屋内飼育場。
決して広くはないけど、立体的な空間利用、放射式暖房が作り出す良質の熱。
まさに「環境の質はスペースよりも重要である」とういうことを強く認識させてくれるものでした。

特徴的なのは屋内飼育場にも必ず土を敷いていること、ゴリラに限らずほとんどの動物にね。


土を敷くことで、動物の精神面に良い影響を与えるし、何よりも湿度が維持できるんですね。
ここの動物達は気中の水に包まれていましたから。

これは飼育という概念が「対動物」ではなく「対環境」であることが伺えます。
僕はこれらの施設を観て、「これって全部水槽だわ」って強く感じたんですよ。
水槽ってのは限られたスペースに魚が生活するための様々な条件を作り出しますよね?
まさにそれなんです。
限られた中で良質な環境を作り出し、要素である動物をその中に溶け込ませる。

衛生面重視の日本では、大きな動物の室内には土を敷くってことはあまりないです。
まあ暖房も温風対流式だから、土を敷いても良い方には機能しないですね。
そのような環境の中で動物だけが浮いて見えちゃうんですよ。
環境に溶け込んでいない要素(動物)がそこにポツンとしてるように見えるんですね。
やはり熱の質湿度など目に見えない条件をしっかり提供してあげないと、そこに溶け込むことはできないんですよ。
景観的ではなく本質的にね。




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ゴリラは神経質だから、飼育下では腫れ物にさわるかのような扱いをされがちです。
でもここはガラス張りで思いっきり来園者に晒していましたね。
神経質な動物を神経質に扱うと、飼育環境に馴化できず悪循環に繋がることって結構あるんですよ。
短期的にストレスをかけてでも一気に様々な物に馴化させてしまうことってとても大切だと思いますね。
こちらの群れは非常に安定しており、来園者が騒ごうが何しようが全く気にしておりません。
繁殖も普通にうまくいっているようですね。


あとブロンクス動物園もそうだったけど来園者の環境がとってもよく考えられてるんですよ。
ここも動物舎の前がくつろぎスペースになっていて、そこで食事したりできるんです。
メッセージ伝えるためには来園者が心地よく長時間滞在できる環境が必要なんですね。
それがないとただ通り過ぎるだけの施設になってしまいますから。
寝っころがってコーヒー飲みながら、豆菓子食って大好きな動物を観察できたら最高でしょ?
そんな環境であれば何時間でも滞在するし、初めてサインをゆっくり眺める余裕もできてくるわけです。
メッセージを伝えるためには大切なことですよね。

まあそんなこんなでたまたま寄ったチューリッヒ。
ほんとうに素敵な動物園でした。
他にも素晴らしい施設がたくさんありました。それはまたの機会にね。
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子供を押しのけ必死に写メを撮る、大人げない東洋人(僕)。

洞爺湖サミットに向けて提案。ドイツ連載4

今年は洞爺湖サミット。
環境サミットってこともあってメディアも様々な情報を発信しておりますね。
だからね、僕もこれに便乗して「キャンペーン」を提案したいと思ってるわけですよ。
名付けて「今何℃だ?運動」。

これは世界中の人々が皮膚感覚を研ぎ澄まし、テンプマンになってもらうことを目的とした草の根運動です。
まず国民一人一人にイカしたデザインの「温度計ストラップ」を配布し、携帯に付けてもらうんですよ。
これで皆さん温度というものを確実に意識していく。
よく配布されてるペラペラ温度計じゃダメっすよ。あれじゃあすぐにゴミ箱行きですから。
誰もがシビれるデザイン、絶対にかっちょよくないとダメですね。

このキャンペーンのスローガンは「今何℃だ?」。
とにかく遭う人ごとに「今何℃だ?」って互いにクイズを出し合うんですよ、挨拶代わりにね。
「今なーんどだっ?」って少しおどけて言ってみせるのがより効果的です。

このクイズによって人々は楽しみながら温度や環境について関心を持っていくわけです。
みんな結構テンション上がると思うし、ムキになると思うんですよね。
温度当て対決に負けたくないもんだから、常に温度計をチェックする習慣が付く。
皮膚に全神経を集中させて、情報を得ようと必死になっていくんです。

もう常に頭の中は温度のことでいっぱいですよ。
これによってイヤでも皮膚感覚がどんどん研ぎ澄まされていくんですね。
そして気付いたころには「テンプマン誕生」ってわけです。

そしてね、年に一回「今何℃だ?全国大会」を開催するんです。
全国からテンプ猛者達を集め、温度当て対決を実施。たぶんかなりの激戦が期待できますよ。
たぶん0.2℃の差で勝負が決まるでしょうね。
そして優勝者には「テンプマンジャケット」と「白いギター」をプレゼント。

これらの活動は同時に世界にも発信していかなくてはなりません。
世界各国にテンプマン大使を置き、積極的なキャンペーンを行うわけですよ。
そうだなー日本大使は西田敏行、米国ならジョニーデップ、英国ならサイモン・ペグって具合にね。
そして4年に一度、「今何℃だ?世界祭典」の開催。
優勝者にはテンプマンジャケット、白いギターの他に「テンプマンマスク」をプレゼント。
ミル・マスカラスばりのね。
このマスクを被っていれば、社会的に様々な特典が与えられ人々から尊敬の念を集めることができるのです。
でも決して素顔を明かしていけません。



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「今なーんどだっ?」


「爬虫類と猛禽類のDeepな世界」は7割妄想、2割幻想、1割作り話でお送りしております。
でも僕はみんなが言うほど嘘つきではありません、ホラを吹くだけです。
ダンケダンケ。

皮膚感覚を研ぎ澄ませ。ドイツ連載3

ドイツ連載、皆さんとっくに頓挫したと思ってたでしょ?
いえいえ、まだまだ序文にすぎません。
「こち亀」ばりの超大作にしていきますんで、皆様適当に流してくださいね。

僕はね、市立大の斉藤先生と出会ってから、自分の持ってる「ある優れた感覚」に気付かされたんですよ。
それは「皮膚感覚」。
僕はね、温度がわかるんです。例えば部屋の温度とか壁や机といった物質の温度。
つまりね、体内温度計を持っているんですよ。

これはね、長年爬虫類という生き物を飼育する中で、常に温度を意識して生活してきたからなんですよ。
爬虫類って微妙な温度管理が必須だから、僕は常に温度計と向き合う習慣があるわけなんですね。
まあ長年そんな生活を続けていれば、イヤでも皮膚感覚が研ぎ澄まされていくわけですよ。
別に生まれつき持ってる特殊な能力ではなくて、後天的に鍛えられた感覚ね。
そう、僕は温度男、かっこよく言うと「テンプマン」ってわけです(弱そう)。

でもね、斉藤先生と話をしているうちに実はこの感覚ってのがすごく重要だってことに気付いたんですよ。
環境を考える上でね。

斉藤先生は現代人の皮膚感覚のズレに危機感を持っておりましてね。
例えば大学で生徒さん達に「今教室の温度は何度でしょう?」って質問したところ、その答えは実温度と大きなズレがあったそうです。
それくらい人々は生活する上で温度というものを意識していないし、無関心なんですね。

日本は今国を挙げて省エネに取り組んでますよね。
環境省は夏は28度、冬は20度って室内推奨温度を設定し、盛んにキャンペーンを行ってます。
でも皮膚感覚が鈍ってる状態では、あまり効果的ではないし本質を射てないと思うんですよ。

斉藤先生はよくこう言ってます。
「時速60km制限の道を、スピードメーターの付いてない車で走ってるようなもんだ」ってね。
そう、制限を守るにはそれを測るものが必要なんです。
まあ冷暖房機には温度計が付いてるけど、日本の対流式冷暖房だと場所によって温度なんてバラバラ。
つまり当てにならんわけです。
そして多くの人は温度計を見る習慣がないわけですから。

やっぱね、自分の体の中に温度計を設置するのが、いろんな意味で絶対に良いと思うんですよね。
常日頃から温度というものを意識し、みんなでテンプマンになればいいわけです。
地球の味方テンプマンってね。

そんなこともあって、今僕は温度をより強く意識して生活しているんですよ。
トレーニングマシンを駆使してね。


放射温度計。
当てるだけで物質の温度が測れるんですね。
これを常に持ち歩き、いつでもどこでも温度を測る習慣を付けるわけですよ。
世界最強のテンプマンになるためにね。
そして世界の中心でこう叫ぶんです。
「皮膚感覚を研ぎ澄ませ!」ってね。

































I LOVE 放射。 ドイツ連載2。

ドイツ連載2。
どんどんDeepな世界に入っていきます。
どうか僕を止めないで。
記憶をしっかり保存したいから。

僕はね、以前からヨーロッパの人々の暮らしにすごく興味があるんですよ。
ヨーロッパ通のエッセイスト達が書いた本なんかも読みあさってますしね。
別に旅したいとか、土地への憧れってのは特にないんです。
じゃあなんでかって言うと「飼育環境のルーツは人の住環境や暮らしにある」からなんですよ。

動物の飼育環境ってのはその国々によって違いがあるんですね。気候条件が似通っていてもね。
一見同じように見えてもかなり違う。
んでその疑問を探っていくと、必ずその国の人々の暮らしに行き当たるんです。
そしてさらに探っていくと、その国の歴史や文化に行き当たる。
「何事もルーツは歴史にあり」 これ本当です。



これわかります?
スイスのホテルの部屋に設置されてた暖房器。
実はね、僕達の旅の目的はこれなんです。

この中には30℃前後のヌルイお湯が流れていて、これまたヌルイ熱をじわっと放射してるんです。
これがヨーロッパで一般的に利用されている「放射式暖房器」ね。
寒冷な土地でも快適に過ごせるようにヨーロッパ人が開発したシステム。

僕が日本の暖房方式に限界を感じたのは4年くらい前かな。
もうこんな暴力的な暖房じゃ生き物なんて飼えねーやってね。
それで何か良いものないだろうかって行き着いたのがこの「放射式暖房」だったんです。
僕は自宅の爬虫類部屋にすぐ導入したんですよ。

日本の暖房方式ってのはエアコンやファンヒーターといった「対流式暖房」が主流。
温風を出して空気を直接暖めるタイプね。
アメリカなんかも大半がこれです。

この暖房は、動物舎をカラカラに乾燥させ、ホコリやチリなんかも舞い上げちゃう。
北海道はただでさえ乾燥してますからね。
そして狭い獣舎だと動物に直接温風が当たるもんだから体はカサカサに乾き体内の水も奪っていく。
あと暖かい空気は上にいっちゃうから、舎内に温度差ができちゃうんですよ。
キリンの頭と足ではかなり温度差がでるんじゃないかな。

動物舎に限らず、一般住宅でもそうでしょ?
んでそれを補うために加湿器やファンが発達し、エアコン自体もどんどん過剰に機能を進化させてく。
臭いものには蓋方式で、本質を射ぬまま別のとこで発展してっている気がするんですよね。

じゃあ放射式暖房はどうなのか。
ここから放射された熱は空気を暖めず、壁や床や人といった物質を直接暖めるんですね。
空気が汚れることもないし、部屋内に温度差もできない、換気もそれほど必要ない。
温水も高温にするわけじゃないからそれほどエネルギーも使わないんです。
ロボット嫌いのヨーロッパ人が利用しているシステムですから構造も非常にシンプルなようですし。
実際体験してみるとほんと快適ですよ、朝起きて喉が痛いってことも皆無でしたしね。

じゃあなんで日本ではこの放射式が普及しないのか。
それは建物の構造にあるんです。

ヨーロッパの建物ってレンガや石がほとんとですよね。
そう、これ自体が蓄熱体なんですよ。
放射された熱はこの建物にしっかりと蓄熱されるから、弱い熱でも温度を保てるんですね。
日本の住宅は木造で断熱性も低い、だからこの暖房器はあまり効果的ではないんですよ。

でもね、北海道は別。
現在の北海道の建物ってのは高気密、高断熱です。
だからね、この放射式暖房が使えるんですよ。

北海道って地域は同じ日本でも本州とは全く気候が違いますよね。
そもそも建築自体を本州と同じ土俵で考えることに、無理があると思うんですよね。
本州の住宅は北海道では通用しないと思いますから。
動物舎に限らず北海道はもっともっとヨーロッパに目を向けるべきだと強く感じますよ。
より快適な環境を作るためにね。

I love 放射.
迎えに行くぜ I need you.
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ベルリン動物園、水族館バックヤードにて。

ドイツ連載開始。

皆様、お久しぶりです。
本田☆直也でございます。

実はね、スイスとドイツに行ってたんですよ。

今回は札幌市立大学との共同研究で渡独。
デザイン学部の斉藤雅也先生と行ってきたんですよ。
スイス一箇所、ドイツ六箇所の計七箇所の施設をめぐってきました。

斉藤先生の専門は建築環境学。世界的に活躍されてる研究者です。
先生の研究分野は「住環境」ね。
その中でも「熱」や「光」といった目に見えないものが対象です。
人間が健康に、しかも快適に暮らすための環境を日々研究しておられるんですね。

今回の目的は「寒冷地における熱帯産動物の屋内飼育環境について」。
札幌は寒冷で、熱帯産種は屋内飼育が中心となります。
そこで屋内でも本当の意味で健康、且つ快適に暮らせる環境について視察してきたんです。
主に爬虫類・類人猿・ゾウの環境作りに関してです。
ドイツやスイスは寒冷で屋内飼育が中心ですからね。

だから動物舎のデザインとかではないんですよ。
学んできたものは「熱環境」です。
ヨーロッパにおける暖房システムとそれが作り出す温度や湿度の「質」。
そしてそれをどのように維持しているかってことを知りたかったんです。
目に見えないものこそが本当に重要で、そこに「住の本質」があると思うんですよ、人間も動物もね。
だから動物園と建築環境学という分野がコラボするってのはごく自然であり、最強のコンビです。
浜省にバンダナってくらいしっくりくるわけですよ。
お互いが必要とする関係であり、もともと赤い糸で結ばれていたわけです。


昨今、どの動物園でも環境エンリッチメントが盛んに行われていますよね。
そのほとんどが飼育動物を行動させることで「精神面に良い影響を与える」というものです。
これは「肉体的には健康である」、「精神面をケアすることが、肉体的健康にもつながる」ということが前提にあると思います。

「じゃあ動物達は肉体的にほんとに健康なの?」
僕はいつも疑問に思いますね。
そして真っ向から否定しますよ、「健康ではない」ってね。
ただ体調を崩すほどの影響が出てないだけです。

動物には「適応能力」があります。
たとえ不適切な環境であっても、それに「耐えられる力」があるんですね。
そして長生きもするし、繁殖もする。
その能力のおかげで、僕らは本当に提供すべき必要な条件ってのを見失ってしまってるんですよ。
でも不適切な環境による影響ってのは必ずその動物の姿や行動に現れているんですね。

「繁殖しているから良い環境」ってのは幻想です。
僕はある種のリクガメをダンボール箱で繁殖させてましたから。
繁殖させる条件と健康を維持するための条件はまったく別物です。

適応能力は高等生物ほど高く、下等生物ほど低いです。
僕はずっと適応能力の低い爬虫類をやってきましたから、敏感なんですね。
適応能力が低い分、必要な環境を提供してやらないと死んでしまうんですよ。
だから飼育環境を作る際はその条件を「細かくピンポイントで探る」って視点が必要なんですね。
でも残念ながらその条件を提供できない場合がほとんどなんです。
だからそれを補うための「処置」をしていくことで、健康を維持している状態なんです。
僕はこれを「飼育」とは呼ばないんですね、あくまでも「処置」なんです。

爬虫類は適応能力が低いから処置が必要。
でもね、これは人間や他の高等動物も一緒だと思うんですね。
人間や高等動物は処置をしなくてもただ「耐えれている」だけ。
「死なないから気づかない」ってことが多すぎる。

だから、「健康」という概念をもっともっと高いレベルに設定することが必要だと思うんですね。
そして適応能力の低い爬虫類の飼育環境を徹底的に考えることで、「住環境」というものの本質に迫ることができるのではないか?
それが斉藤先生と僕の共通認識だったんです。
そしてそれを解消する一つの条件が、「熱の質」だったというわけなんですね。
ここから動物園と大学との共同研究が開始されたんですよ。

続く・・・たぶん


スイス・チューリッヒ動物園のゴリラ屋内飼育施設。

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