札幌100マイル

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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

by zoohonda

zoohonda
プロフィール

本田 直也

◆ 1976年 札幌生まれ
◆ 1996年より円山動物園勤務
◆ 担当は爬虫類館と猛禽類のフリーフライト
◆ NPO法人日本放鷹協会認定 諏訪流鷹匠。

春から夏は爬虫類を求め、北海道、沖縄のフィールドワークへ、
秋から冬は愛鷹、愛犬と共に鷹狩りへと素敵な日々を送っている。

鷹やら犬やら爬虫類やらと山の方で暮らしている。


投稿したブログ数:395件

I LOVE 放射。 ドイツ連載2。

ドイツ連載2。
どんどんDeepな世界に入っていきます。
どうか僕を止めないで。
記憶をしっかり保存したいから。

僕はね、以前からヨーロッパの人々の暮らしにすごく興味があるんですよ。
ヨーロッパ通のエッセイスト達が書いた本なんかも読みあさってますしね。
別に旅したいとか、土地への憧れってのは特にないんです。
じゃあなんでかって言うと「飼育環境のルーツは人の住環境や暮らしにある」からなんですよ。

動物の飼育環境ってのはその国々によって違いがあるんですね。気候条件が似通っていてもね。
一見同じように見えてもかなり違う。
んでその疑問を探っていくと、必ずその国の人々の暮らしに行き当たるんです。
そしてさらに探っていくと、その国の歴史や文化に行き当たる。
「何事もルーツは歴史にあり」 これ本当です。



これわかります?
スイスのホテルの部屋に設置されてた暖房器。
実はね、僕達の旅の目的はこれなんです。

この中には30℃前後のヌルイお湯が流れていて、これまたヌルイ熱をじわっと放射してるんです。
これがヨーロッパで一般的に利用されている「放射式暖房器」ね。
寒冷な土地でも快適に過ごせるようにヨーロッパ人が開発したシステム。

僕が日本の暖房方式に限界を感じたのは4年くらい前かな。
もうこんな暴力的な暖房じゃ生き物なんて飼えねーやってね。
それで何か良いものないだろうかって行き着いたのがこの「放射式暖房」だったんです。
僕は自宅の爬虫類部屋にすぐ導入したんですよ。

日本の暖房方式ってのはエアコンやファンヒーターといった「対流式暖房」が主流。
温風を出して空気を直接暖めるタイプね。
アメリカなんかも大半がこれです。

この暖房は、動物舎をカラカラに乾燥させ、ホコリやチリなんかも舞い上げちゃう。
北海道はただでさえ乾燥してますからね。
そして狭い獣舎だと動物に直接温風が当たるもんだから体はカサカサに乾き体内の水も奪っていく。
あと暖かい空気は上にいっちゃうから、舎内に温度差ができちゃうんですよ。
キリンの頭と足ではかなり温度差がでるんじゃないかな。

動物舎に限らず、一般住宅でもそうでしょ?
んでそれを補うために加湿器やファンが発達し、エアコン自体もどんどん過剰に機能を進化させてく。
臭いものには蓋方式で、本質を射ぬまま別のとこで発展してっている気がするんですよね。

じゃあ放射式暖房はどうなのか。
ここから放射された熱は空気を暖めず、壁や床や人といった物質を直接暖めるんですね。
空気が汚れることもないし、部屋内に温度差もできない、換気もそれほど必要ない。
温水も高温にするわけじゃないからそれほどエネルギーも使わないんです。
ロボット嫌いのヨーロッパ人が利用しているシステムですから構造も非常にシンプルなようですし。
実際体験してみるとほんと快適ですよ、朝起きて喉が痛いってことも皆無でしたしね。

じゃあなんで日本ではこの放射式が普及しないのか。
それは建物の構造にあるんです。

ヨーロッパの建物ってレンガや石がほとんとですよね。
そう、これ自体が蓄熱体なんですよ。
放射された熱はこの建物にしっかりと蓄熱されるから、弱い熱でも温度を保てるんですね。
日本の住宅は木造で断熱性も低い、だからこの暖房器はあまり効果的ではないんですよ。

でもね、北海道は別。
現在の北海道の建物ってのは高気密、高断熱です。
だからね、この放射式暖房が使えるんですよ。

北海道って地域は同じ日本でも本州とは全く気候が違いますよね。
そもそも建築自体を本州と同じ土俵で考えることに、無理があると思うんですよね。
本州の住宅は北海道では通用しないと思いますから。
動物舎に限らず北海道はもっともっとヨーロッパに目を向けるべきだと強く感じますよ。
より快適な環境を作るためにね。

I love 放射.
迎えに行くぜ I need you.
20080305-00.JPG

ベルリン動物園、水族館バックヤードにて。

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