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100マイル試写会『ジュリー&ジュリア』(改訂版)

   

先週あった、映画『ジュリー&ジュリア』の試写会
オフィシャルサイトhttp://www.julie-julia.jp/
マジメに映画の内容について感想を書こうと思います。

『バベットの晩餐会』『ギャルソン!』を観て以来、
料理がテーマの映画を観るのが好きな私としては、
この映画の試写会には非常にそそられました。
メリル・ストリープが出るのなら安心感があるし・・・
女性受けする映画を作るノーラ・エフロン監督なら、
鑑賞後の後味もよさそうだし・・・

観終わって、しばらく考える時間が必要でした。
映画は料理だけではなく、ブログというテーマも孕んでいたので、
双方についての考えをまとめる必要性が出てきたのです。
ジュリーとジュリア、二人の女性を主人公とした時点で、
この映画からの読み取りは、多岐にわたると思います。
私は料理に興味があるといえど料理のプロではないので、
ジュリーに照準をあてて考えてみました。

作家志望だったジュリーはとにかく自分を表現したくて、
ブログというシステムを使ってみようと思った。
テーマが必要だったので料理にした。
何か確たる対象の方がいいだろうと、
ジュリア・チャイルドという料理研究家を選択した。
漠然と始めたのでは続けられない不安があったので、
一年で彼女のレシピを達成しようと決めた。
そんなこんなで開始した彼女のブログは、時に失敗を挟みながら、
でも料理紹介ではなく“料理に打ち込む自分”がテーマゆえ、
失敗もまたネタにして続く。
夫との諍いすらネタにして進む。
その姿に共感した読者や出版社からは持ち上げられるが、
“憧れの”ジュリア・チャイルドからは、
好意的でないコメントを頂いてしまう。

ジュリー自ら
「彼女のレシピを作ることで自信がつきました。
今後も“料理する立場として”頑張っていこうと思います」
というオチをつけたのなら、そうはならなかったかもしれない。
純粋に料理に自分の生きる道を求めたジュリア・チャイルドは、
自分自身がネタにされたような感覚を抱いてしまったのではないか。
ブログに関しての見解の違いが、はっきり表れた場面でもある
(実際、アメリカ本国では、ジュリーのブログや本に対し、
「ジュリア・チャイルドの名を汚した」という抗議もあったらしい。
そのことがジュリー・パウエルを傷つけ、
この映画へのコメント依頼を断ったという情報も)。

そしてもしかするとジュリアも感じたのかもしれない
ジュリーの料理に対するスタンスは、
「自分が作りたい」「愛する人に食べさせてあげたい」という思いよりも、
自分自身が立てた目標に対する執着の上に成り立っていた。
可愛いといえば可愛い人なのだが、
ジュリアの方に私は、より可愛さを感じる。
ジュリーもジュリアも実在の人物で会ったことなどないのだが、
ジュリアの方が、他のためにも動ける人のように映画では感じた
(「私って嫌な奴よね」とジュリーが訊いて、
「うん、嫌な奴」と友人に返されるシーンがある。
ジュリー本人も自覚していたのではあるまいか・・・)。

そして改めて思いました。
料理をするのは、食べてくれる人がいるから。
「もっと美味しいものを作ろう」と思うのは、その人を愛しているから。
そのすったもんだを綴ることなら、
確たるテーマなどなくても、私たちにも出来ます。
失敗して、変てこな料理を食べさせる羽目になっても、
「大丈夫だよ」と言ってもらえれば、また頑張ろうと思える。
日々の食事はその繰り返し。
人目は引かなくても、
料理の持つ本来の意味を見失わないように、
時々は振り返る必要があるのかもしれません。
そして、ブログとの付き合い方に関しても。




映画『サイドウェイズ』

  

  2009年 日本
  監督:チェリン・グラック
  原作:レックス・ピケット
  オリジナル脚本:アレクサンダー・ペイン ジム・テイラー
  日本版脚本:上杉隆之
  キャスト:小日向文世 生瀬勝久 菊地凛子 鈴木京香


オフィシャルサイト
http://movies.foxjapan.com/sideways_jpn/

グランヴァンセラーに立ち寄って戴いた招待券で、試写会に行ってきました。
オリジナルを観ていたので、「全くの焼き直しだったらどうしよう・・・」
という危惧は、はっきりいってありました。
しかしこれは、日本ならではの映画と言えるでしょう。

アメリカで、自分の居場所を作ろうとする日本人。
日本を自分の居場所としながらも、
行き詰まりから抜け出すために、アメリカの空気を吸おうとする日本人。
前者の立場にあるのが生瀬勝久演じる大介と、
鈴木京香演じる麻有子
後者は小日向文世演じる道雄

大介のバチェラー・パーティ(ツアー)から始まった、
カリフォルニアのワイナリー巡り。

独身最後の浮気のつもりが、
日本人のミナ(菊地凛子)と出会い、
日本への郷愁を掻き立てられてしまうというあたりに、
異国に生きる日本人のしんどさを垣間見る。
麻有子は、アメリカで生きようと必死なあまり 自らを、
何処にあっても自分を曲げないカベルネ・ソーヴィニョンに喩えたりする。

結果、大介はアメリカに根を下ろすことを決め、
麻有子は日本に活路を求める。
その導きとなるのが道雄で、
映画にスイートな味わいを与えているのが、ミナという役どころ。
生瀬と小日向の軽妙なやり取りが、映画のテンポを小気味良くしている。
全体的に、ややドライな作りです。
「日本版リメイクなのに、なぜ長野や山梨で撮影しないんだ??」
という声が、私の周りのワインラバーからあがってもいたのですが、
アメリカ西海岸のカラッとした空気が、
この映画のテーマには必要だったのでしょう。

ワインは、とかく人生に喩えられる飲み物だと つくづく。
世界中にこういう飲み物、他にはありませんね。
「私たちは、まだワインになる前の葡萄だった」
麻有子のようにそう言って、
人生の巻き返しをはかるのも、いいかもしれません^^

100マイル試写会『幸せはシャンソニア劇場から』

    

原題 Faubourg1936
2008年 フランス・チェコ・ドイツ


キャスト・・・ジェラール・ジュニョ クロヴィス・コルニアック
       ノラ・アルネゼデール ピエール・リシャール 他
監督・脚本・・・クリストフ・バラティエ
製作・・・ジャック・ペラン ニコラ・モヴェルネ
音楽・・・ラインハルト・ワーグナー



初めてシアターキノで試写を観ました。
まったく予備知識なしで行きました。

製作・・・ジャック・ペラン   ほ~う
子役・・・マクサンス・ペラン   お?身内か?

パンフをよく読んだら

息子

父 68歳。 息子 14歳。  そうか・・・(なにがじゃ)。

それはともかく

「古きよき時代」というよりは、「古く大変だった時代」のパリが舞台の物語です。
世界恐慌による不況の中で、夢を失わずに生きる人たちの。
というか、世の中厳しくなれば、最後は夢に生きるしかないのかもしれないなぁ。

「世も末になれば、娯楽やサービス業なんか真っ先に削られるんじゃないか」
と悲観したソムリエの友人がいましたが、意外とそうでもないかもよ・・・
いえ 確かにやっていくのは厳しいけれど、それはどの業種でも同じだし、
人って 本当に辛ければ、綺麗なもの、元気の出るものに惹かれると思うのです。
それすら無くなれば、ほんとうに世界は終わりですもの。

ということを、歌と踊りで伝えてくれた映画でした(ミュージカル仕立てです)。

ヒロイン役のノラ・アルネゼデールは、実に別嬪さん。
オーストリアとエジプトのハーフだそうで、
繊細な美貌はオーストリアの、温かみと情熱を感じさせる目の輝きはエジプトの血かな。
透明だけど強度の高いクリスタル、という印象。
歌声は小鳥のように可憐。
撮影時は若干20歳前だったそうですが・・・完成度高し。

クロヴィス・コルニアックが、ゴツいディカプリオみたいで、好みですw
(まぁレオ君も、今や大分貫禄が出てきましたが・・・)

“シャンソニア劇場”という名のとおり、ず~っとシャンソンが流れるのですが、
久々に歌で涙が出そうになりました(『ダンスホールに埋めて』という歌だったかな?)。


秋なので・・・これからの季節にぴったりの映画かも。
次に来る夏を期待しながら・・・。


シアターキノ http://theaterkino.net/
この映画のオフィシャルサイト http://www.chansonia.jp/






100マイル試写会『南極料理人』

    

            『南極料理人』  2009 日本
            監督・脚本:沖田修一  原作:西村淳 『面白南極料理人』
            出演:堺雅人 生瀬勝久 きたろう 高良健吾 豊原功補 他


映画のオフィシャルサイト→http://nankyoku-ryori.com/

『かもめ食堂』が好きな私としては、
同じフードスタイリストが参加した映画ということで、目で料理を堪能しました。

南極という、細菌も死滅する極限の地で観測を続ける男たち。
そんな彼らの楽しみは、日本から送られるビデオと国際電話と酒盛りと

毎日の食事。

なんにもない状況で、食べること・作ることは必須科目で、且つ果てがない。
それゆえの楽しみと、一抹の哀しみが描かれています。
もしかしたら、食材や、作ってくれたことの有難味を十分に堪能するには、
こういった極限状態も必要なのかもしれません。

なんでもが溢れかえる世の中で、チョイスする自由と捨てる勇気。
長く続く不況の為に、選択の自由さえ許されない流れになってきてはいますが、
自分のベクトルは見失わずにいたいです。

毎日3食、観測隊員たちの為に料理をしてきた西村(堺雅人)が、
日本に帰ってから、脂ぎったファストフードのハンバーガーを食べて、
「旨」といっていたのが印象的でした。

印象的といえば、豊原功補がいい味出してました。
あんまり好きな役者さんではなかったのですが(失礼)、
食べっぷりが素敵で、「こういう人と、ご飯食べたい・・・」と思っちゃいました。
そして、きたろうがラーメンを啜るシーン・・・。
周囲の方々、すみません。
私がごくんと大きなつばを飲み込んだ音が、暗い館内に響き渡ったかと思います。


原作者の方に、サインも頂きました。ご馳走様です^^

         

100マイル試写会『レスラー』

20090522-16.jpg
        (C) Niko Tavernise for all Wrestler photos

原題:THE WRESTLER  2008年 アメリカ・フランス
キャスト:ミッキー・ローク  マリサ・トメイ  エヴァン・レイチェル・ウッド 他
スタッフ~監督:ダーレン・アロノフスキー
      脚本:ロバート・シーゲル

      
オフィシャルサイト http://www.wrestler.jp/

ミッキー・ローク演ずる、孤独な老いたレスラーの“人生のオトシマエ”のつけ方。
まずはミッキー・ローク。
いっとき(といっても80年代)、ファンでした。・・・変わりましたねぇ。
その頃から知性が感じられたマリサ・トメイが、いい感じの熟女になっているのに。
彼は若い時から、どこかフィーリングで生きてるっぽいところはありました。
それを残酷に映し出したような肉体を使っての、セミ・ドキュメンタリー感のある映画。
今を盛りと透明度のある美しさを見せるE.R.ウッド(『ダイアナの選択』)
との対照も、やや皮肉。

生きることは、死へと向かうこと。
いつか、“死に様”を考えなくてはいけない。それが“生き様”に繋がるのだから。
そう思って観ると、主人公の生き方は寧ろ爽快。
終盤、愛する女の姿をリングから探し、「いない」とわかった時の彼の表情。
ミッキー・ロークの苦笑。
こんな表情が出来る男になっていたならば、波乱と不遇の彼の人生も、
捨てたもんじゃなかったんだろう。
そう思えるほど、格好良かった。
男前な人生を送りたい諸兄、諸姉は必見。

          

              

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