『映画』カテゴリーの投稿一覧
100マイル試写会『ミルク』
Posted by vanilla on 2009年3月12日(木) 16:40
原題:MILK 2008年アメリカ
キャスト:ショーン・ペン エミール・ハーシュ ジョシュ・ブローリン
ディエゴ・ルナ 他
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本/製作総指揮:ダスティン・ランス・ブラック
「40年生きてきたけど 成し遂げたことは何もなかった」
「違う場所に行けよ。友達が出来る。新しい世界が広がる」
そうして 恋人とNYからサンフランシスコへと移ったハーヴィー・ミルク。
時代は、自由の息吹と根強い偏見との狭間でうごめく70年代。
恋人は同性。住み着いた場所は、同性愛者やヒッピー達が流れ込むカストロ地区。
そこからミルクは、同性愛者や障害を持つ者、人種差別に苦しむ人々の為に、
力を尽くそうと思うようになる。
実在したハーヴィー・ミルクを演じるのは、
かつて「映画界の問題児」と呼ばれたショーン・ペン。
たびたび暴力沙汰を起こすのは、実は彼のナーヴァスさからではなかったか・・・
と思わせるほど、ゲイの主人公を繊細に演じている。
監督は、ガス・ヴァン・サント。
ゲイとして生きてきた彼自身の内部を反映したかのような、細部まで入り込んだ、
且つ客観性を失わない撮り方で、偏りのない視点からの人間ドラマを作り上げた。
この映画を観た後で、ハーヴィー・ミルクの録音テープの肉声を聴いた。
時折大きくなり、語尾がうっすら消え入るような喋り方は、
S・ペンが映画で演じたミルクの声に似ていた。
You gotta give'em hope.(彼らには希望を与えなければならない)
『ミルク』オフィシャルサイト http://milk-movie.jp/
札幌ではスガイシネプレックス札幌劇場、ユナイテッド・シネマ札幌にて4/18~の公開
試写会とアカデミー
Posted by vanilla on 2009年2月24日(火) 09:45
昨日、100マイル枠で『ミルク』の試写会に行きました。
会場に向かう途中、
日本映画の『おくりびと』『つみきのいえ』が見事、
アカデミー外国語映画賞、短編賞(アニメーション)を受賞したことを知りました。
会場に到着すると 受付で配られたのは
第81回アカデミー賞受賞タイトル一覧(これはその一部分)
試写会関係者の方による上映挨拶の際、
「本日上映いたします『ミルク』が、主演男優賞と脚本賞の二冠を達成しました。
どうぞ ごゆっくりお楽しみください」というアナウンスが。
こういうタイムリーな偶然はすごく素敵です。
映画の感想は、のちほどゆっくり時間をいただいてアップしたいと思いますが、
大変に美しい映画でした。
これは、すべての方々に是非観ていただきたいです。
観終わった後は、
『ミルク』からもらった優しさと、日本映画の快挙と、
映画というものの素晴らしさで胸がいっぱいになりながら、
家路につきました。
ともあれ、おめでとう&有難うございます。
『ミルク』オフィシャルサイト http://milk-movie.jp/
100マイル試写会 『ピンクパンサー2』
Posted by vanilla on 2009年2月23日(月) 08:28
あのテーマ曲にのって クルーゾー警部が世界を駆け巡る・・・
ピンクパンサー2 2009年アメリカ
主演・脚本 スティーヴ・マーティン
出演:ジャン・レノ アルフレッド・モリーナ
エミリー・モーティマー アンディ・ガルシア 他
監督:ハラルド・ズワルト
製作:ショーン・レヴィ、ロバート・シモンズ
世界的大泥棒トルネードがあの、ピンクパンサーをも盗み出した。
ヤツを掴まえるべく 世界各地から呼び寄せられたその道のエキスパート達。
はてさてどうなるか・・・
『ピンクパンサー』は 劇場で初めて観ました。
しかも、ピーター・セラーズのクルーゾー警部版をあまり記憶していないので、
ほぼ「お初」と言ってもいい状態。
映画が始まって思う
「あれ?台詞が聞き取りづらい・・・」
スティーヴ・マーティンってアメリカ人俳優だよね・・・。
が~ん 私の(もともと低い)語学力もここまで落ちたか。
途中でやっと気づく。クルーゾーが「HAT」を「AT」というシーンで。
あ!フランス訛りだったのね!!
道理で英国人を演じた(もともと英国出身の)アルフレッド・モリーナの台詞だけが
明瞭に聞こえていたわけだ・・・。
って あとからプロダクション・ノーツを見たら、
俳優達がそれぞれの役どころのお国柄を強調する為、
敢えてそのように台詞を喋っていたとのこと。
俳優って 耳も良くなきゃなのね・・・。
まぁ中には「まんま」の人もいたでしょうがw
S・マーティンとE・モーティマーの努力は凄いと感じます。
私は 欧州風のコメディセンスを期待して行ったのですが
同様に旧作のイメージを期待した方は、アメリカナイズされた雰囲気に驚くかも。
これは “スティーヴ・マーティンのピンクパンサー”と認識するとよろしいかと。
アタマをほぐす映画です。
おそらくこの映画でのゴージャスさを体現する存在
インドの美人女優アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャンが、
初めて「演ずる」シーンを今回 観ましたが
う~ん ボリウッド映画の方が魅力を発散してたかな~。
美術と小道具さんのセンスはなかなかだと思います。
クルーゾー警部のアパルトマンは、
サックス・ブルーとブラウンで統一され、とてもシックで落ち着きます。
派茶滅茶なクルーゾー警部も実は、知的センスを備えた人物だということを
ここで表現したかったのでしょうか。
あ 映画ではS・マーティンがフラメンコを披露するシーンあり。
ちゃんと踊れてました。どっちかっていうとタップダンス寄りだったけどw
オフィシャルサイトhttp://www.sonypictures.jp/movies/thepinkpanther2/
雪のCUBANA
Posted by vanilla on 2009年2月6日(金) 08:23
わたくしの「いもうと」こと 大学院生の友人が
キューバ映画祭inサッポロ2009に誘ってくれました。
ゲバラの映画も観たし、今週は期せずしてCUBAN WEEKとなりました。
観た映画は、
『サルサとチャンプルー』 『エル・ベニー』 『低開発の記憶』の3本。
『サルサとチャンプルー』 (2007)
沖縄からキューバに移り住んだ日系移民の姿を描くドキュメンタリー。
移民の背景には、戦争が見え隠れする。切ない。
『エル・ベニー』 (2006)
キューバの国民的歌手ベニー・モレの生涯(1919~1963)を綴る。
ラテンです。ひたすら流れるサルサに身を委ねましょう。
『低開発の記憶』 (1968)
経済的にも精神的にも「低開発」と見做すキューバに、
家族のアメリカ亡命後もなお留まる主人公。
私はこの映画が一番心に残りました。
映画館ロビーには、
ICAIC(キューバ映画芸術産業庁)による映画のポスターが飾られています。
映画の後は、晩ご飯。
私にとって そりゃあ 場所はここ http://homepage.mac.com/salsacubana/
お約束のキューバ・リブレ(ラムコーク)とモヒート
鶏手羽元のトマトソース煮
ひよこ豆のスープ
「キューバ、今のうちに行ってみたいなぁ・・・」と友人が呟いた。
映画祭最終日の本日は、
『低開発の記憶』字幕監修もされたMarysolさんを囲んでの宴が
狸小路6丁目HABANAにて催されます
(21:00~ ワンドリンクつき1200円)。
キューバ映画祭inサッポロ2009のHPはコチラ
http://cubanfilmfes.web.fc2.com/index.html
キューバ・・・奥が深いわ。
私的ゲバラ論
Posted by vanilla on 2009年2月2日(月) 10:28
ゲバラの名と、あの有名すぎるポートレイトは知っていました。
元々はフラメンコをかじっていたこともあり、
スペイン~中南米の流れで知ったのですが
(フラメンコが縁で知り合った元旦那は、
あのゲバラTシャツを新婚旅行先のパリで買っていた)。
今回、ゲバラの映画
『チェ 28歳の革命/39歳別れの手紙』が公開されるとあって、
二部ともまとめて観ちゃえ~と、第二部が日本で封切りとなったばかりの
昨日の日曜、映画館に行きました。
ら。
すごい人込み。
「この中の半分は『20世紀少年』がお目当てだよ・・・」
「それにしてもすごいよ この長蛇の列は・・・」
列の半ばで気がついた。
「あっ。今日は“映画の日”だ」
1日の日曜日だもの、そりゃ~混むわ。
間に昼食を挟んで、観ました約4時間半。
英国人アーティスト C・リーチによるシルクスクリーン作品
(映画公式HP http://che.gyao.jp/ より)
映画はドキュメンタリータッチで描かれ、ドラマチックな盛り上がりには欠けます。
長尺のせいもあり、途中睡魔に襲われる可能性も。
しかし、演出を極力排除しているおかげで、
偏見なく史実やゲバラ像に興味を持てます。
実在の人物を映画化することは、難しいもんですね。
アメリカの権威主義
それにのっかった一部の国内権力者による搾取。
「このままじゃいかん」とカストロと立ち上がったのがゲバラなのですが
あれ?
これって 今の時代とおんなじ?
しかも これからの日本とも被りそうな・・・(冷汗)。
映画第一部では
国民の支持を得て前進し、キューバ革命を成し遂げるゲバラですが、
第二部 ボリビアでは余所者扱いされ、
様々な悪条件が重なりゲリラ活動に失敗、
遂に処刑されるまでが描かれます。
ゲバラの活力の根っこにあったのは、“民衆の支持”だったのでしょう。
他人との共感性が高くなければ、
医師としてそこそこの生活を送れたであろう立場を捨てて、
貧しい人々の為に立ち上がろうなんて考えないし、
物資も兵力も不足していた中で、諦めずにいるなんて有り得ない。
ボリビアでは、救おうとしていた人々からの支援を得られなかった。
それが決定的な敗因であったように、私には思えます。
終盤 ボリビア政府軍に捕らえられ、彼はこんな言葉をぶつけられます。
「頼みもしないのに余計なことをしやがって。
お前の冒険はここで終わりだ、外国人」
おそらくこの言葉は彼にとって、致命的だったでしょう。
それでも最後まで、自暴自棄にはならなかった。
その生き様が、彼が英雄視される所以なのでしょうね。
「死に際は潔くありたいな~」と、思わせられた映画でした(理想だけど)。
この映画から、いろんなゲバラ像が紡ぎ出されると思います。
映画の後、狸小路にあるHABANAに行きましたが、ライブが入ってました。
今度友人と一緒に来て、キューバ・リブレを頼むとしよう。
HABANAのHP→http://homepage.mac.com/salsacubana/